2016.01.21
中古住宅は築15年程度が狙い目
中古住宅も人間同様「第一印象」が大事で、見栄えの良い住宅ほど早く売れる傾向にあります。築年数が浅く建物の劣化がほとんど見当たらないものや、相当の年数が経過していてもリフォーム済みのものは需要が強い、ということです。逆に見栄えのしない住宅は売りにくい。したがって価格も下げて売らざるをえない傾向にあります。
つまり「見栄えは良くないが、実はしっかりした建物」の中に買い得な住宅が眠っている可能性があるのです。おすすめは築15年程度経過した住宅で、内外装に手が加えられていないもの。一戸建ての場合、劣化が進行し外装などの大規模リフォームが必要になるのがちょうどこのころであること。また価格下落率も築15年程度まで急角度で進み、その後なだらかになること、などがその理由です。
【写真1】0.5ミリ以下のクラックは経年により自然発生するもの
【写真2】外壁、サッシ間などのコーキング部分は早く劣化しやすい
Yさんのご依頼でホームインスペクション(住宅診断)を行った築18年の中古住宅。外壁には【写真1】【写真2】のようなひび割れが散見され、一般にはこれだけで敬遠されがちですが、原因は地盤や建物構造、工事の不備などによるものではなく、自然な劣化と判断できます。後に補修工事を施せば大きな問題にはならないでしょう。外壁全体が経年によりくすみ、暗い印象を与えているものの、将来外壁リフォームを施せば見違えるように綺麗になるはず。
基礎内の鉄筋の有無や工事の適正さは、目視確認が不可能なため、探査機を使って確認。機器の反応の状態から推測し、鉄筋が適切に入っていると判定できます。
【写真3】コンクリートの内部の鉄筋に反応する「鉄筋探査機」
またこの住宅は、浴室や洗面台、キッチンなどの水周りがさほど清掃されておらず、特に女性が生理的な嫌悪感を示しそうに思われました。水まわりに生活感があると、特に女性が敬遠する傾向にあるのはいくつかのアンケートでもわかっています。しかしこの住宅の場合はプロの業者に清掃させればきれいに生まれ変わる可能性が高いでしょう。
床下を確認すると、水漏れのあとらしきものが見られます。通常はこれだけで敬遠しそうですが、木部が腐食するなどしていないかぎり、配管を点検、修復することで足ります。念のため木材水分計で計測すると、水分含有率は15%程度。20パーセント以下であれば問題はありません。
【写真4】木材に含まれる水分は「20パーセント以下」が目安
【写真5】水漏れの痕跡もその程度や修復可否により判断は異なる
この住宅は前述したとおり見栄えがあまり良くないこと、水回りに生活感があることなどから長らく売れ残っていましたが、ホームインスペクションで大きな不具合がないことやリフォーム費用の目安を事前確認。Yさんは相当程度の値引き交渉に成功し本物件を契約。それから数年経過したが快適に暮らしています。良い買い物ができた好例といえるでしょう。