2026.10.10

「古い家は寒くて地震に弱い」とは限らない。中古住宅の耐震性と断熱性を確かめる方法

「古い家は地震に弱そう」「冬は寒くて、夏は暑そう」。中古住宅に対して、こんなイメージを持っている方は多いと思います。耐震や断熱は目に見えない性能なので、自分で良し悪しを判断するのは難しく、「性能を考えるなら新築しかない」と感じてしまうのも無理はありません。

結論からお伝えします。中古住宅の耐震性は、築年数ではなく「建築確認日」と「建物の状態」で判断できます。断熱性や気密性は、リノベーションでの工事と測定によって、確かめながら高めることができます。住まいの性能は「新築か中古か」で決まるのではなく、「その建物を正しく判断し、必要な工事をするかどうか」で決まるのです。ここでは、耐震性と断熱性をそれぞれどう確かめればいいのかを整理します。

「中古は性能が低そう」という不安は、どこから来るのか

注文住宅を建てた人の3割が「品質が低そう」と考えている

国土交通省の調査によると、注文住宅を建てた世帯の30.7%が、中古住宅にしなかった理由として「耐震性や断熱性など品質が低そうだから」を挙げています(出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」)。「新築の方が気持ち良いから」に次いで、2番目に多い理由です。

一方、同じ調査で中古の戸建を買った世帯に理由を聞くと、「品質が確保されていることが確認されたから」と答えた人は9.6%にとどまっています。中古住宅の品質が低いのではなく、品質を確かめる機会が少ないことが、不安につながっているのだと私たちは考えています。

性能は目に見えないから、判断できる人が必要になる

一般的な不動産会社の担当者は宅地建物取引士で、建物の構造や性能を判断する訓練は受けていません。目に見えない性能だからこそ、建物を判断できる人と一緒に確かめることが大切です。

耐震性は、どう確かめればいいのか

「築年数」ではなく「建築確認日」で判断する

耐震基準には、1981年に導入された「新耐震基準」があります。ここで間違えやすいのが、新耐震か旧耐震かを分けるのは、建物が完成した日(新築年月日)ではなく、建築確認申請を行った日だということです。建築確認から完成までには時間がかかるため、築年数だけを見て判断すると、耐震基準を取り違えることがあります。

木造戸建は、1981年と2000年の2つの年を覚えておく

木造の戸建では、もうひとつ覚えておきたい年があります。2000年です。2000年6月以降に建築確認を受けた木造住宅は、「耐震等級1」以上の性能が担保されるようになりました。地盤改良が事実上義務化されたのも、この2000年以降です。なお、マンションの耐震基準は2000年には変わっていません。

旧耐震でも、一律に避ける必要はない

では、1981年6月より前に建築確認を受けた旧耐震の建物は避けるべきなのでしょうか。阪神淡路大震災では、新耐震のマンションで大破・中破したのは1.6%でした。一方で、旧耐震のマンションでも80.5%は軽微な損傷、または損傷なしで済んでいます(出典:東京カンテイ「旧耐震と新耐震 阪神淡路大震災 兵庫県下8市のマンション被害状況」)。

新耐震と旧耐震の差ははっきりありますが、旧耐震だからといって一律に危ないわけではありません。建物ごとに状態を確かめ、個別に判断する目が必要です。リノベーションでの耐震補強については、「リノベーション物件の耐震性の確認方法は?耐震補強の内容や費用も解説」も参考にしてください。

吹き抜けのある戸建のリビング

断熱性・気密性は、どう確かめればいいのか

気密性は「C値」という数字で表せる

断熱とあわせて大切なのが、家の隙間の少なさを表す気密性です。気密性は「C値」という数字で表せます。C値は、家全体の隙間の面積(㎠)を延べ床面積(㎡)で割ったもので、数字が小さいほど隙間が少なく、気密性が高いことを意味します。

一般的な住宅の平均は9〜10㎠/㎡ほどです。高気密住宅と呼ばれるのは、1㎠/㎡以下が目安です。気密性が高まると、部屋ごとの温度差が小さくなり、結露を抑え、光熱費を減らし、換気の効率も上がります。

リノベーションで、断熱と気密は高められる

C値は、リノベーションでも高めることができます。骨組みだけの状態にしたうえで断熱材を施工し、隙間をふさぐ気密処理を行えば、古い家でも暮らしの快適さは大きく変わります。

気密測定は、断熱工事のあとと完成後の2回行うことで、精度の高い施工が可能になります。完成してからでは手を入れにくい部分も、工事の途中で確かめておけるからです。気密測定の手順は、「気密測定とは?手順やC値の見方、気密性が高いメリットも解説!」で紹介しています。

性能を高めるリノベーションで気をつけること

耐震と断熱の工事は、物件を選ぶ段階から計画する

耐震工事や断熱工事は、予算1,000万円以内のリノベーションでも行うことができます。ただし、建物によって必要な工事の内容や費用は大きく変わります。たとえば、1981年(昭和56年)5月以前の旧耐震の建物の耐震補強は、費用がかさみやすく難しいケースもあります。

また、配管や断熱材が古いまま内装だけを新しくするリノベーションは、10年以内に後悔することになりかねません。耐震や断熱にどこまで手を入れるのかは、物件を選ぶ段階から、リノベーション費用とあわせて計画しておくことが大切です。

制度や証明書は、買う前に段取りする

住宅ローン控除などの制度を使うために、耐震基準適合証明書が必要になる場合があります。この証明書は、売主の協力と時間が必要で、引渡しのあとに取得しようとしても手遅れになるケースがあります。制度は後から考えるのではなく、物件選びの段階から逆算して段取りしておきましょう。

耐震性と断熱性を確かめる方法を、一覧にまとめます。

性能 確かめること 見るポイント
耐震性 建築確認日 1981年6月以降か(新耐震)
耐震性(木造戸建) 建築確認日 2000年6月以降か(耐震等級1以上が担保)
耐震性 建物の状態 旧耐震でも個別に判断する
気密性 C値 一般住宅は9〜10、高気密住宅は1以下
断熱・気密の工事 測定のタイミング 断熱工事後と完成後の2回測るか
制度・証明書 段取りの時期 引渡し前に準備しているか

住宅購入の相談風景

まとめ

中古住宅の耐震性と断熱性は、「古いから低い」と決めつけるものではありません。耐震性は築年数ではなく建築確認日と建物の状態で判断し、断熱性と気密性はリノベーションで工事と測定を行うことで高められます。

しあわせな家では、物件を見て性能を判断する技術営業が、そのままリノベーションの設計と施工まで担当します。判断する人と工事をする人が同じだからこそ、性能を「確かめて、高める」ところまで一貫して責任を持てます。気になる物件があれば、その性能を一緒に確かめましょう。初回相談で、どんな性能の家に住みたいのかをお聞きするところから始めます。

このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役

積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。

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