2026.10.11

中古リノベは結局割高? 購入前に総額と20年の維持費で確かめる方法

新築と中古で迷っていると、「中古は安いけれど、リフォーム代を足したら結局新築と変わらないのでは」「買ったあとに修繕費がどんどんかかるのでは」という疑問が浮かぶと思います。物件価格だけなら中古が安くても、そのあとにいくらかかるのかが見えなければ、新築のほうが安心に思えるのも無理はありません。

結論からお伝えします。中古住宅が割高になるかどうかは、買う前に判断できます。「物件価格+リノベーション費用」の総額と、その後20年ほどの維持費まで見積もっておけばよいのです。中古住宅が割高になってしまうのは、中古だからではありません。物件とリノベーションの費用をばらばらに考え、買ったあとで見積もりを取ることが原因です。ここでは、購入前に総額と維持費を確かめる方法を整理します。

なぜ「中古は結局割高」と言われるのか

新築を買った人の約3割が「結局割高になる」と考えている

国土交通省の調査によると、三大都市圏で新築マンションを買った世帯の30.4%、新築の分譲戸建を買った世帯の28.0%が、中古住宅にしなかった理由として「リフォーム費用やメンテナンス費用で結局割高になると思ったから」を挙げています(出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」)。

実際に、リノベーションで後悔しやすいポイントとしてよく挙がるのも、予算オーバーや予想外の補修費、諸費用の見落としといったお金の話です。

割高になる原因は、費用を「あとから」知ること

なぜ予算オーバーが起きるのでしょうか。物件の内覧に同行するのは、通常は不動産会社の担当者だけです。リフォーム会社はその場にいません。そのため、物件を買うと決めてからリフォーム会社を探し、見積もりを取ってはじめて「思っていたより高い」と分かることになります。そのときには、もう物件を選び直すことはできません。

つまり、割高になる原因は中古住宅そのものではなく、費用を知るタイミングにあるのです。

購入前に「総額」を出す方法

リノベーション費用の目安を知っておく

まず、リノベーション費用のおおよその目安を知っておきましょう。私たちがセミナーでお伝えしている目安では、戸建のリノベーション費用は平均1,500万円、マンションは平均1,000万円です。

建材費や施工費の高騰が続いていて、フルリノベーションは1㎡あたり20万円からというのが今の現実です(2025年時点)。実績で見ると、50㎡で1,380万円、65㎡で1,550万円、75㎡で1,610万円でした。広さと費用は単純に比例するわけではなく、間取りを変えるかどうか、設備のグレード、築年数によって大きく変わります。

物件を見たその日に、リノベーションの概算を出す

目安を知ったうえで大切なのは、気になる物件ごとに、具体的なリノベーション費用の概算を出すことです。しあわせな家では、建築士やリフォーム業の経験を持つ技術営業が内覧に同行し、内覧のあとすぐにリノベーション費用の概算をお伝えしています。物件価格とリノベーション費用、そして物件価格の8〜10%ほどかかる諸費用を合わせた「総額」で、買うかどうかを判断できます。

住宅ローンでまとめて借りる場合は、リノベーションの予算を住宅ローンの事前審査のタイミングで決めておくことも重要です。融資特約は、あとから減額することはできても、増額することはできないからです。

電卓を使った住宅の資金計画

買ったあとの維持費まで見積もる方法

戸建は15年で300万円、月1.5万円の積立が目安

総額の次に確かめたいのが、買ったあとの維持費です。戸建の場合、外壁塗装や防水工事はおよそ15年のサイクルで必要になり、15年間のメンテナンス費用は300万円が目安です。マンションのような修繕積立金はないので、月1.5万円ほどを自分で積み立てておくことをおすすめしています。

戸建を買うときは、購入価格だけでなく、外壁塗装や防水、設備の交換など、向こう10年にかかるコストを購入前に試算しておくことが大切です。しあわせな家では、さらに入居前に、20年間のメンテナンス費用をシミュレーションした「育家年表」をお渡ししています。マンションの長期修繕計画にあたるもので、いつ、どこに、いくらかかるのかを、住み始める前から見通せるようにするためのものです。

マンションは修繕積立金の「今」と「将来」を確かめる

マンションの場合は、修繕積立金が適正かどうかを確かめます。目安は「お部屋の㎡数×250円」です。これを大きく下回っているマンションは、将来の値上がりや積立不足のリスクがあります。

長期修繕計画を見ると、修繕積立金が10〜15年後に数倍になる計画になっていることも少なくありません。今の金額だけで判断せず、将来の金額まで確認しておきましょう。詳しくは「中古マンション購入では「長期修繕計画」「修繕履歴」の確認が大事!」でまとめています。

割高にならない中古住宅の選び方

価格が下がりきった築年数の物件を狙う

中古住宅の価格は、築年数とともに下がっていきます。ただし、ずっと下がり続けるわけではありません。建物の価格は、戸建なら築20年、マンションなら築30年ほどで下がりきり、底を打ちます。

価格が下がりきったところで買い、リノベーションで自分たちの暮らしに合わせてつくり直す。これが、中古住宅とリノベーションの組み合わせが経済的に理にかなっている理由です。

表面だけのリノベーションで済ませない

反対に、割高になりやすいのが、安く済ませようとして表面だけを整えるリノベーションです。配管や断熱材が古いまま内装だけを新しくすると、10年以内に問題が出て、結局もう一度工事をすることになりかねません。骨組みだけの状態にして、配管の交換や断熱、気密の処理まで一度に行うほうが、長い目で見れば無駄がありません。

リノベーションの見積もりは、使う商品のグレードや工事の範囲によって金額が大きく変わるため、金額だけを比べてもあまり意味がありません。どこまで工事をするのかを一緒に考えてくれる相手かどうかで選ぶことが大切です。

新築と比べるときに出しておきたい費用を、一覧にまとめます。

費用 目安 確かめるタイミング
物件価格 価格が底を打つのは戸建築20年・マンション築30年ほど 物件探しのとき
諸費用 物件価格の8〜10% 物件探しのとき
リノベーション費用 戸建平均1,500万円・マンション平均1,000万円 内覧のすぐあと
戸建の維持費 15年で300万円(月1.5万円の積立) 購入前
マンションの修繕積立金 ㎡数×250円が目安。将来の値上がりも確認 購入前

資料を示しながら住宅ローンの相談に応じる担当者

まとめ

「中古は結局割高になる」かどうかは、買う前に計算できます。物件価格・諸費用・リノベーション費用を合わせた総額と、買ったあとの維持費まで見積もってから新築と比べれば、どちらが自分たちに合っているのかが見えてきます。

そのためには、物件とリノベーションの費用を、同じ人が同じタイミングで出せることが欠かせません。気になる物件があれば、総額を一緒に出してみましょう。初回相談で、物件価格だけでなく「暮らし始めてからのお金」まで整理するところから始めます。

このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役

積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。

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