2026.10.22
中古住宅の住宅ローン控除は「1982年」と「証明書」で決まる。購入前に控除額を確かめる方法
「中古住宅でも、住宅ローン控除は使えますよ」。物件探しの途中で、そう聞いた方は多いと思います。確かに使えます。ただ、同じ価格の中古住宅でも、控除される金額は物件によってかなり違います。そして、その違いは物件の良し悪しではなく、手元にそろう「書類」で決まります。
結論からお伝えします。中古住宅の住宅ローン控除は、登記簿の建築日が1982年より前かどうかと、省エネ性能を証明する書類があるかどうかで、借入限度額と控除期間が変わります。しかも、耐震の証明書は「引渡しの日」までに準備しないと間に合いません。控除額は、買ってから申告するときではなく、物件を決める前に確かめておくものです。
目次
同じ中古住宅でも、控除額は書類で変わる
2026年からの住宅ローン控除、中古の限度額は3段階
住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%を、所得税(一部は翌年の住民税)から差し引く制度です。2026年の税制改正で期限が5年延び、2026年1月1日から2030年12月31日までに入居する人が対象になりました。あわせて、省エネ性能の高い中古住宅への支援が厚くなっています。
中古住宅(既存住宅)の借入限度額と控除期間は、次の3段階です(出典:国土交通省「住宅ローン減税」)。
| 住宅の区分 | 借入限度額 | 子育て・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| その他の住宅 | 2,000万円 | ― | 10年 |
子育て世帯は19歳未満の扶養親族がいる世帯、若者夫婦世帯は夫婦のどちらかが40歳未満の世帯です。
13年間で、最大額にこれだけの差が出る
1年に控除される額の上限は「借入限度額×0.7%」です。区分ごとの最大額を計算すると、差がはっきりします。
- その他の住宅:2,000万円×0.7%=年14万円、10年で最大140万円
- 省エネ基準適合住宅:年14万円、13年で最大182万円
- ZEH水準省エネ住宅など:3,500万円×0.7%=年24.5万円、13年で最大318.5万円
実際の控除額は、その年の年末残高と、納めている税額が上限になります。それでも、同じ中古住宅を買うのに、書類の有無で数十万円から100万円以上の差が出うる、という構造は知っておいてください。

「1982年」より前の家は、証明書がないと使えない
税金の境目は、登記簿の建築日で決まる
以前は、中古住宅の控除には「木造は築20年以内、マンションなどは築25年以内」という築年数の条件がありました。2022年の改正でこの条件はなくなり、「1982年(昭和57年)以後に建築された住宅」なら使えるようになっています。
1982年より前、つまり1981年以前に建築された住宅は、そのままでは対象になりません。現行の耐震基準を満たしていることを、次のどれかで証明する必要があります。
- 耐震基準適合証明書
- 建設住宅性能評価書の写し
- 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
耐震の境目「1981年6月」とは、ずれがある
ここで、ひとつ注意したいことがあります。建物の耐震基準が変わったのは1981年6月で、新耐震かどうかは「建築確認を受けた日」で判断します。一方、住宅ローン控除で見るのは「登記簿の建築日」です。この2つは、同じ日付ではありません。
建築確認を受けてから工事が終わり、建物が登記されるまでには時間がかかります。そのため、登記簿の建築日が1982年以降で、税金の上では対象になる建物でも、建築確認は1981年5月以前、つまり建物としては旧耐震ということがありえます。控除が使えることと、建物が新耐震であることは、別々に確かめてください。建築確認日の調べ方は「「古い家は寒くて地震に弱い」とは限らない。中古住宅の耐震性と断熱性を確かめる方法」でまとめています。
証明書の期限は「引渡しの日」
耐震の証明は、引渡しの前に調査を終える
1982年より前の家で控除を使うとき、いちばん多い失敗が「引渡しが終わってから証明書を取ろうとする」ことです。耐震基準適合証明書は、家を取得する日(引渡しの日)より前の2年以内に、証明のための調査が終わっている必要があります。既存住宅売買瑕疵保険も、引渡しより前に契約していなければなりません。
調査には売主さんの協力が要りますし、建物によっては補強が必要と分かることもあります。売買契約から引渡しまでの限られた期間で段取りするには、契約の前から準備を始めるのが現実的です。
引渡し後に耐震改修するなら、申請は引渡しまでに
今の耐震基準に合っていない家でも、買ってから耐震改修をして控除を使う方法があります。ただし条件があります。引渡しの日までに耐震改修をする旨の申請を済ませ、引渡しから6か月以内に入居する日までに、改修で耐震基準に適合したことを証明する必要があります(出典:国税庁タックスアンサーNo.1211-5)。
つまり、どちらの方法でも期限は引渡しです。制度は物件を買ってから考えるのでは間に合わず、最初から逆算して段取りするものです。
購入前に控除額を確かめる手順
登記簿で、建築日と床面積を見る
まず、気になる物件の登記簿(登記事項証明書)を見せてもらい、次の2点を確かめます。
- 建築日:1982年以降か。それより前なら、耐震の証明書をどう取るかを考える
- 床面積:40㎡以上か(合計所得金額が1,000万円を超える人や、子育て世帯の上乗せを使う人は50㎡以上)
床面積は、広告ではなく登記簿の数字で判断します。マンションの登記簿の面積は、壁の内側で測るため、広告の面積より小さくなるのが普通です。広告で42㎡の部屋でも、登記簿では40㎡を下回ることがあるので注意してください。
省エネ性能を証明できる書類があるかを聞く
次に、限度額を上げられるかを確かめます。中古住宅で「省エネ基準適合住宅」以上として控除を受けるには、建設住宅性能評価書か、住宅省エネルギー性能証明書が必要です。証明のための調査は、引渡しの前2年以内か、引渡しから6か月以内に終わっている必要があります。
証明書を作るときには、設計図書や建築確認の書類、フラット35の適合証明書などが手がかりになります。築年数が比較的新しい物件なら、売主さんがこうした書類を持っていないかを、早めに聞いてもらいましょう。書類があるかないかで、控除額が変わる可能性があります。

しあわせな家では、建築士やファイナンシャルプランナーの資格を持つ「技術営業」が、物件を見る段階で登記簿や図面を確かめ、その物件で使える控除の区分と、必要な証明書の段取りをお伝えします。耐震の証明に補強が必要なら、その工事費も内覧のあとすぐに概算を出します。控除のために無理な物件を勧めることはありません。工事でも売上が立つ仕組みなので、契約を急がせる必要がないからです。
まとめ
中古住宅の住宅ローン控除は、登記簿の建築日が1982年より前かどうかと、省エネ性能の証明書があるかどうかで、借入限度額と控除期間が変わります。そして、耐震の証明書は引渡しの日が期限です。登記簿で建築日と床面積を見る、耐震の証明書をどう取るかを決める、省エネ性能を証明できる書類を探す。この3つを物件を決める前に済ませておけば、「控除が思ったより少なかった」という後悔は防げます。
気になる物件があれば、その物件で使える控除を一緒に確かめましょう。初回相談で、資金計画と控除の段取りを整理するところから始めます。
このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役
積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。




