2026.10.26
中古住宅のリノベで見落とすアスベスト調査。2006年より前の家は購入前に工期への影響を確かめる
中古住宅を買ってリノベーションするとき、多くの方が気にするのは物件価格と工事費の総額です。一方で、アスベスト(石綿)については「昔の古いビルの話でしょう」と思っている方が少なくありません。重要事項説明で「石綿使用調査の記録:なし」と読み上げられても、そのまま聞き流してしまうことが多いと思います。
結論からお伝えします。アスベストは、2006年9月より前に工事が始まった住宅なら、戸建てでもマンションでも関係があります。そして今は、リフォームの規模にかかわらず、工事の前に資格を持つ人による調査が必要です。重要事項説明の「記録なし」は「アスベストなし」という意味ではありません。リノベーションを前提に買うなら、図面がそろっているかを購入前に確かめ、調査の期間を工事の予定に入れておくことが大切です。
目次
アスベストは「古いビルの話」ではない
2006年9月より前に建てられた家は、使われている可能性がある
アスベストを0.1%を超えて含む製品の製造や使用が全面的に禁止されたのは、2006年9月です。そのため法律では、新築工事の着工日が2006年9月1日以降であることを設計図書などの書類で確認できれば、それで調査を済ませてよいとされています(出典:石綿障害予防規則第3条)。
裏を返せば、それより前に工事が始まった建物は、どこかにアスベストを含む建材が使われている可能性がある、ということです。築20年前後の戸建てでも、着工が2006年より前なら対象になります。
リフォームでも、規模にかかわらず事前調査が必要になった
この10年ほどで、ルールは大きく変わりました(出典:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」)。
| 時期 | 変わったこと |
|---|---|
| 2021年4月 | 事前調査は、書類による調査と目視による調査の両方で行うことに |
| 2022年4月 | 請負金額が税込100万円以上の改修工事は、アスベストの有無にかかわらず調査結果の報告が義務に |
| 2023年10月 | 事前調査は、講習を修了した有資格者(建築物石綿含有建材調査者)が行うことに |
事前調査そのものは、工事の規模の大小にかかわらず、壊したり削ったりする部分のすべての材料について必要です。フルリノベーションのように床や壁、天井をはがす工事なら、ほぼ確実に関係してきます。

重要事項説明の「記録なし」は「アスベストなし」ではない
説明されるのは、調査の記録があるときだけ
建物の売買では、重要事項説明の項目に「石綿使用調査の内容」があります。ただし、説明されるのは、アスベストを使っているかどうかの調査結果が記録として残っているときだけです。記録があれば、調査した機関や範囲、調査日、アスベストの有無が説明されます。
過去にアスベストの調査をしていない、または記録が残っていない物件では「記録なし」となります。これは「調べた結果、アスベストはなかった」ではなく、「調べたことがない」という意味です。
不動産会社に、調べる義務はない
国土交通省は、この説明の決まりは、不動産会社にアスベストの調査そのものを義務づけるものではない、としています。
つまり、売買の手続きの中で、アスベストの有無が必ず調べられるわけではありません。そして、調査が必要になるのは、買ったあとリフォームを始める直前です。ここで初めて「調べてみたら含まれていた」と分かると、工事の段取りが変わります。
図面があるかないかで、工期が変わる
調査は「書類」と「目視」の両方で行う
事前調査では、まず設計図書などの書類で、使われている建材を確かめます。図面の仕上げ表に建材の製品名が書いてあれば、国土交通省と経済産業省の「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で、その製品にアスベストが含まれていたかを調べられます。そのうえで、現地で実物を目で見て確かめます。
ただし、データベースはすべての製品を網羅しているわけではありません。載っていないことが、アスベストを含まない証明にはならない点にも注意が必要です。
分からないときは、分析するか、含むものとして扱う
図面がない、製品名が分からない。こうした場合は、書類と目視だけでは判断できません。そのときは、建材の一部を採って分析するか、アスベストを含むものとみなして、飛び散らないための対策をとって工事を進めるかのどちらかになります。
どちらを選んでも、図面がそろっている家に比べて、手間と日数がかかります。調査の結果は記録として3年間保存し、工事の間は現場に掲示する決まりもあります。引渡しから入居までの日程を詰めて組んでいると、ここで予定が後ろにずれることがあります。
購入前にアスベストの影響を確かめる方法
図面と仕上げ表がそろっているかを確かめる
リノベーションを前提に中古住宅を選ぶなら、購入前に次の3つを確かめておきましょう。
- 新築工事の着工日:2006年9月1日以降かどうか。建築確認の書類や工事の記録で確かめる
- 図面の有無:竣工図や仕上げ表が残っているか。売主さんに早めに聞いてもらう
- 過去の調査:マンションなら、管理組合が共用部分のアスベスト調査をしたことがあるか
図面は、アスベストのためだけのものではありません。増改築の履歴や、壊せる壁と壊せない壁を見分ける手がかりにもなります。良いリフォーム会社かどうかを見分けるポイントのひとつに「竣工図を確認しているか」があるのも、そのためです。
工事の予定に、調査の期間を入れておく
2006年より前に着工した家を選ぶなら、事前調査と、場合によっては分析にかかる期間を、最初から工事の予定に入れておきます。賃貸の退去日や、今の住まいの売却時期と引渡しを組み合わせる方は、特に余裕をもたせてください。
表面だけを新しくするリフォームなら、壊す範囲は小さく済みます。けれど、配管の交換や断熱の工事まで行うフルリノベーションでは、壊す範囲が広くなります。どこまで壊すかによって、調査の範囲も変わります。

しあわせな家では、建築士やリフォーム業の経験を持つ「技術営業」が、物件を見る段階で着工の時期と図面の有無を確かめ、どこを壊す工事になるかまで含めて、調査と工期の見通しをお伝えします。購入前に分かっていれば、慌てる必要はありません。工事の段取りを組めるからです。
まとめ
アスベストは、2006年9月より前に工事が始まった住宅なら、戸建てでもマンションでも関係があります。リフォームの規模にかかわらず事前調査が必要で、重要事項説明の「記録なし」は「調べたことがない」という意味です。着工日、図面の有無、過去の調査の3つを購入前に確かめ、調査の期間を工事の予定に入れておけば、工事直前になって予定が崩れることは防げます。工事費の総額の考え方は「中古住宅のリフォーム費用で後悔しない方法。購入前に工事費を含めた総額を確かめる」でもまとめています。
気になる物件があれば、リノベーションの段取りまで含めて一緒に確かめましょう。初回相談で、物件選びと工事の進め方を整理するところから始めます。
このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役
積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。




