2025.06.19

地名が語る「土地の履歴書」

地名が語る「土地の履歴書」

中古住宅を購入するとき、周辺の環境や利便性を重視するのは当然。

でも、忘れてはいけないのが「地名が教えてくれる土地の履歴」。日本の地名には、その土地の過去の姿が刻まれています。

たとえば東京の「池袋」。いまでは再開発が進んだ賑やかな街ですが、もともとは池が多い湿地帯だったことが「池」という文字に残されています。渋谷の「谷」も同じで、谷に水が集まる土地だった名残です。

こうした“地名に刻まれた物語”を読み解くことは、土地探しで見落としがちな重要ポイント。地盤の弱さや過去の災害履歴を、地名がそっと教えてくれているかもしれません。

目次

1. 災害リスクを見抜く地名のサイン
a.水害リスクのある地名の漢字一覧
b.土砂崩れリスクのある地名の漢字一覧
c.液状化リスクのある地名の漢字一覧
2. 「●●ヶ丘」「●●台」などのキラキラ地名も注意
3. ではどうやって確かめるか?
4. まとめ

1.災害リスクを見抜く地名のサイン

土地の名前には、災害リスクを示すヒントが隠されています。水に関わる「池」「沼」「谷」だけでなく、「袋」や「江」など水害に関連する文字が入っている場合は注意が必要です。
特に、以下のような地名の漢字は、過去に水害や土砂災害の被害を受けやすかった土地を示すことがあります。

a.水害リスクのある地名の漢字一覧

地名の漢字 由来・意味
衾(フスマ) 狭間=低地で水が集まる土地。地下水が多い場所も。
滝(タキ) 滝のような急流・崖で浸食が進んだ場所。
女(オナ) 津波被害の記録を示す可能性。荒々しい波「男波(オナ)」に由来。
鶴(ツル) 川が鶴の首のように湾曲し洪水リスクが高い土地。
袋(フクロ) 水に囲まれた袋状の低地。堤防決壊による浸水しやすい。
龍・竜(リュウ) 水神伝説にちなみ、過去に激しい水害や津波のあった地域。
釜(カマ) 湾曲地形。津波や洪水で浸食・崩壊が起きやすい場所。
江(エ) 曲がりくねった川や浸食の進んだ大地の地形。
駒(コマ) 川に囲まれた土地で洪水が起こりやすい地形。

b.土砂崩れリスクのある漢字一覧

地名の漢字 由来・意味
柿(カキ) 「欠く」に由来。崩れやすい堤防決壊や津波危険も示す。
椿(ツバキ) 崩壊や浸食された斜面地形。「ツバケル(凸凹)」由来。
蛇(ジャ) 「蛇崩」「蛇抜」など、土砂崩れのリスクがある斜面地形。
萩(ハギ) 「剥ぐ」に由来。斜面が剥がれ落ちた土砂崩れ地形。
倉(クラ) 崩れやすい岩盤・切り立った断崖を示す地名に使われる。
猿(サル) 崖地など、外気にさらされ崩れやすい場所を示す。
桜(サクラ) 「裂ける」に通じる。豪雨で崩れやすい土地を示す。

c.液状化リスクのある漢字

地名の漢字 由来・意味
窪(クボ) 低地を示し、水が溜まりやすい地盤の弱い土地。
鮎(アユ) 軟弱な地盤を意味し、「揺く(アユク)」由来。
田(タ) 元は農耕地の埋立地。「新田」「野」「原」なども注意。
梅(ウメ) 埋立地の「埋」に由来するといわれる。
緑(ミドリ) 埋立地や新たに造成された住宅地などの地名に多い。

一見オシャレに見える「鶴」や「龍」といった漢字も、実は川の湾曲や激しい水害に由来していることが。地名の文字に込められた意味を知ると、災害リスクが見えてくるのです。

2.「●●ヶ丘」「●●台」などのキラキラ地名も注意

最近人気の「●●ヶ丘」「●●台」などの“キラキラ地名”は、新興住宅地に多い名前。自由が丘など、響きが良く高級住宅地のイメージを持たれがちですが、実際には元々の地形や災害履歴を隠しているケースも。
造成地や埋立地は、地震時に液状化しやすかったり、水害リスクを抱えていたりする場合があります。

たとえば「みずき台」などは、実際にはもともと湿地帯だったり谷地形だったり。宅地造成で「埋め立て」や「盛り土」を行い、名前までピカピカに変えられてしまいました。

さらに、神奈川県の「夢見ヶ崎」や大阪の「夢の丘」など、名前だけ聞けば夢あふれる楽園のようですが、実際には盛土や斜面の造成地で、地震のときに液状化や崩壊のリスクが指摘されるエリアもあります。

ちょっと意外なのは、北海道の「真駒内(まこまない)グリーンハイツ」や埼玉県の「緑台」。この“グリーン”や“台”という名前から、自然と共生する快適な高台のように感じられますが、開発前は水田や沼地が広がっていたエリア。地盤がゆるく、地震や水害に弱い場所が潜んでいるのです。

こうした“キラキラ地名”は、かつての地形の痕跡を消すことでイメージアップを図る一方、災害リスクまで隠してしまう恐れがあります。名前の響きに安心しきらず、土地の履歴を調べることが、後悔しない家探しのコツ。

3.ではどうやって確かめるか?

ポイントは「旧地名を調べる」こと。図書館の郷土資料や国土地理院の古地図、航空写真は強い味方です。最近では「今昔マップon the web」のような便利なサイトも登場。古い地図を見比べれば、かつての水辺や谷地、崩れた崖地などの履歴が見えてきます。

図書館の郷土資料や国土地理院の古地図、航空写真

図書館の郷土資料や国土地理院の古地図、航空写真は、まさに土地の“タイムマシン”。かつてどんな姿をしていたかを知ると、地名に秘められた危険サインも見えてきます。

地域の図書館の郷土資料コーナーには、昔の絵地図や古地図集、地域史の書籍が揃っていて、古い土地の呼び名や地形の変化が一目瞭然。小さな郷土資料館市民ミュージアムにも、驚くほど多彩な資料が眠っています。スタッフに「このあたりの昔の地図を探している」と声をかけると、親切に案内してくれるはずです。

国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス

ネットなら、国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」が強力な武器。航空写真や古い地形図をクリック一つで切り替えられ、いまの地形と並べて比較できます。見慣れた街の姿が、実は昔は川や池の跡地だった…なんて発見も。

今昔マップ on the web

さらに、「今昔マップon the web」は、地形図の新旧を左右に並べて見られるスグレモノ。古い地図の中に「谷」「池」「沼」といった文字が見つかったら、その地名のルーツを裏付ける手がかりになるでしょう。スマートフォンでも操作できるので、現地で歩きながら土地の過去を重ね合わせるのも楽しいです。

ハザードマップ

そして、忘れてはいけないのが市町村のハザードマップ。洪水・土砂災害・液状化の危険エリアが色分けされていて、視覚的にわかりやすい。役所のホームページで簡単に手に入ります。

もちろん、地名に危険な漢字が入っていても、すべてが危ないわけではありません。たとえば「霞ヶ関」という地名。名前の「霞」という言葉からは、なんとなく湿地や霧に包まれた危なげなイメージを受ける人もいるかもしれませんが、実際は霞のかかった景観の美しさを表した由来。災害リスクとは無関係です。

大事なのは、地名をきっかけに、ハザードマップや古地図を活用して「自分の目で確かめる」ことです。ただ、そうした方がいいのはわかっているが、面倒くさいし時間もない..というのがほとんどだと思います。

そんな時こそ、我らのようなプロに相談していただければと思います。
豊富な知識がありつつも、それをお客様にわかりやすく伝えられる「技術営業」がきっと役に立つはずです。

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4.まとめ

最後に、この記事でお伝えしていることをまとめておきます。
いろいろ話は聞きたいものの、業者や会社が多くて何を基準にして選べばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか?下記のポイントを、ぜひ参考にしてみてください。

  • 地名にはかつての地形や災害リスクのヒントが刻まれており、水害や土砂崩れの痕跡を知ることで、地盤の弱さや土地の歴史を見抜くことができる
  • 「○○ヶ丘」や「○○が丘」などの新しい地名は、実は埋立地や盛土造成地であることも。高級住宅街の響きに安心せず、過去の災害履歴をしっかり調べる視点が大切
  • ただ、とはいっても調べるのが大変であれば、まずはプロに相談を

しあわせな家では、素敵にリノベーションされたお客様の施工事例を多数ご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!

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