2024.06.23

中古住宅購入者が頭を悩ませる「購入後のアフターサービス」について

中古住宅は、新築に比べて値段も安く、興味がある方も多いはず。

しかし「古い=購入後のトラブルも多そう」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな時に重要になるのが「保証」や「アフターサービス」ですが、実態はどうなのでしょうか?

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中古住宅リノベ-ション

一般的な定義

一般的に「保証」は“法律に定められた責任”、「アフターサービス」は“売主が自主的に行う約束”と言っていいでしょう。

新築の場合「家を建てた人」も「家を買った人」も同じように「保証」を受けられます。具体的には10年間は住宅の躯体部分=住宅の構造体力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分に欠陥があった場合には補修をしてもらえます。

その上で「アフターサービス」が受けられるかどうかは売主によって様々で、1年点検や10年点検など売主独自のサービスを提供してもらえます。マンションや建売住宅よりも、注文住宅の方がアフターサービスが手厚い傾向にあります。私は分譲マンションにも、注文住宅にも住んだ経験がありますが、分譲マンションの「アフターサービス」は非常に機械的で、営業担当者が顔を出してくれることはありませんでした。

中古住宅の保証やアフターサービスは期待できない?

結論から言うと、2024年現在の商習慣では中古住宅の保証やアフターサービスはほとんど期待できません。中古住宅の仲介を行っている会社がそんなこと言っていいのか?と思われるかもしれませんが正直にお伝えするとそうなります。

ほとんどの中古住宅売買の売主は「個人」です。
個人間売買の場合、購入者に担保されるのは、一般的に3ヶ月間の契約不適合責任=構造上主要な部分の木部の腐食や雨漏れ等に対する補修です。また、主要設備については引渡しから7日以内に故障がみつかった場合は補修をしてもらえるという内容が多いです。
これは、一般的に売主が、新築=法人、中古=個人なので、個人に「長期の保証」を課すには無理があるという考え方に基づきます。

この保証の問題を解決するために「中古住宅瑕疵保険」というものがあります。第三者機関に建物調査をしてもらい、問題がなければ(問題があれば修繕をすることで)、構造上主要な部分の木部の腐食や雨漏れなどに対して、最長5年1000万円までの「保険」に入ることができます。費用は概ね10万円前後なので、住宅購入全体の諸費用からみると、そこまでインパクトのある金額ではないと思います。

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しかし、現場で仕事をしていて、この保険の利用が広がるのはなかなか難しいものがあると感じています。
理由は、
・そもそも仲介する不動産会社の担当者に、この保険の知識がほとんど無いから。
・売主に利用を勧め、建物調査の際に欠陥が見つかった場合、補修のために売主に費用負担が発生し時間もかかる。仲介会社の基本的なスタンスは「いかに早く売却を成立させるか」なので面倒なことは極力避けたいから。
・買主が利用したい場合、引渡しまでに手続きを済ませる必要があり、売主が居住中の場合には協力を得ることが難しく時間的に厳しいから。引渡し後にこの保険に入る仕組みもあるが、わかりづらいから。

中古住宅購入時の保険

中古住宅の「アフターサービス」

先述したように、中古住宅売買の「売主」のほとんどは個人であり、売主・買主間で契約不適合責任を超えてアフターサービスについて取り決めることは難しいです。
では買主は一切のアフターサービスを受けられないかというとそうではありません。

売主に代わって、仲介会社が独自にアフターサービスを提供していることがあります。3ヵ月間の売主による契約不適合責任の期間を過ぎてから2年に至るまでは、構造上主要な部分の木部の腐食や雨漏れ等について、MAX500万円まで保証してくれるという内容が多いです。瑕疵保険の短いものが付いてくるという感じです。

しかし、このサービスはあればあったで良いですが、中古住宅の買主が一番求めていることは、こういう保険でしょうか?

これまで1000件近い中古住宅売買に関わってきた経験より、買主が求めていることを私は以下のように考えています。

①建物の状態をきちんと把握してから購入したい
②その補修やリフォームに係る費用を把握してから購入したい
③入居後、建物のことをいつでも気軽に相談できる「かかりつけ」が欲しい

①は、ホームインスペクションを実施することで解決できます。
②は、弊社では当たり前に行っています。
③は、アフターサービスというよりはアフターフォローという言葉が近いのかもしれませんが、弊社には気軽に相談をしていただける環境があります。

また、弊社では「育家年表」というものを入居前にお渡ししています。これはマンションでいう「長期修繕計画案」のようなもので、これから20年間のメンテナンス費用がどこにいくら位かかりそうか、その合計額を満たすには月々いくら位の積立をしていく必要があるかをまとめたものです。これもアフターサービスのひとつと考えています。

しかし現実には、弊社は不動産会社でありリフォーム会社でもあるのでこのような対応ができますが、ほとんどの不動産会社はリフォーム会社ではありません。そのため、建物について気軽に相談したくても「リフォーム会社に相談してください」と言われてしまいます。

保証や保険も重要ですが、中古住宅の買主が求めているのは「かかりつけ」の存在だと考えます。中古住宅を検討される方には、ぜひこの点に注意をして、不動産会社選びをしていただければと思います。

 

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