2025.07.02

「家賃がもったいないとか言って家を購入する人って頭悪いよね」という意見に不動産のプロがポジショントーク無しで答えます

賃貸か持ち家か?」

持ち家を買うのは勿体ないという意見は、堀江貴文氏やひろゆき氏など、様々な人が以前に提唱して話題となりました。
また、これに合わせてネットなどでも、同様の意見を発信する人が増えました。
持ち家と賃貸のどちらが良いか考える上で多くの人が気になるのが「金銭的にどちらが得か」だと思います。ここは詳しく後述しますが、金額の多寡だけで考えると持ち家のほうが安くなるケースが多いです。
が、当然様々な条件により大きく変わりますし、どちらの意見にも納得できる点はあるので、プロの目線から、両者の意見を整理したいと思います。

目次

1. 賃貸派の意見
2. 持ち家派の意見
3. 金銭面での比較
4. プロの本音ではどうやって確かめるか?
5. まとめ

1.賃貸派の意見

欠陥や災害による破損等のリスクがある

持ち家に限らず、高額な買い物は「買ったら終わり」ではありません。大切に使い続けてこそ、やっと資産としての価値を守れるものです。
特に日本の木造住宅は、放っておくとシロアリ被害や雨漏りといった“トラブル製造機”に早変わり。定期的なメンテナンスは必須です。

さらに日本は災害大国。予期せぬ大地震が来たら、せっかくのマイホームが一瞬で台無しになるリスクもあります。
一方、賃貸なら家が壊れてもオーナーの責任。自分の財布を傷めずに新しい家を探せるのは、賃貸の大きな魅力です。

ライフスタイルの変化に弱い

持ち家を買うということは、「この場所でずっと暮らすぞ!」という大きな決意表明でもあります。
でも、現代の暮らしはそんなに単純じゃないですよね。仕事で転勤があったり、子どもが増えたり巣立ったり‥人生の計画はしょっちゅう書き換えが必要です。

最近の注目ポイントは「転職やキャリアの流動性」。総務省の統計でも、転職希望者が年々増えていて、30代以上の採用もどんどん増加中。
つまり、昔のような「一生同じ会社で、同じ家に住み続ける」という生き方は、だんだん現実味を失っているのです。

こうした世の中では、「若いうちに家を買ってしまうのは、むしろ足かせになるのでは?」という声も増えています。
働き方が変わる時代だからこそ、「家を持つ意味」もアップデートが必要かもしれません。

住宅ローンの金利上昇による買い渋り

ここ何十年と、住宅ローンはまさに「金利のない時代」と呼ばれるほどの超低金利状態でした。今、営業として住宅販売に関わる人のほとんどは「金利のある時代」のことを知らない世代です。ところが、2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除すると、一気に雲行きが変わり始めています。2025年以降は、住宅ローンの金利がじわじわと上がる兆しが強まってきました。「金利のある時代」について、きちんと語ることができるプレイヤーがほとんど居ないことは少し怖いですね。

実際、メガバンク5行が発表した最新の住宅ローン金利によると、10年固定型は一部引き下げられたものの、変動金利はすでに引き上げられている状況。さらに、金利上昇をにらんで変動型から固定型へ乗り換える動きも急増中だそうです。

こうした動きは、「今までより住宅を買う負担が重くなる」という現実を突きつけます。実際、りそな銀行の借り換え申請は前年の2倍以上に増えているそう。結果として、金利の先行き不安から「買い控え」の気配がじわじわ広がっています。

金利が上がれば、住宅ローンの総返済額も大きく膨らむ可能性があります。「買うより、賃貸に住み続ける方が安心かもしれない…」と考える人が増えているのも、無理はありません。
今はまさに「買い時」を見極める難しい時代。金利と家賃を天秤にかけて、冷静に判断する目が求められています。

2.持ち家派の意見

合理性だけを追い求めることがQOLを上げる手段ではない

小さい頃に見たホームドラマやアニメでは、家族がにぎやかに集まる“マイホーム”が当たり前でした。そうした記憶のせいか、「子育てするなら絶対に郊外の一戸建て!」と夢見る人は今でも多いようです。

たしかに、賃貸の狭い部屋より、庭付きの持ち家でのびのび子育てできるなら理想的。損得よりも「家族がくつろげる場所がほしい」という気持ちを優先したくなるのは、人間らしい感覚かもしれません。

持ち家は子ども世代まで資産になる

持ち家は、賃貸と違って自分の資産になるのが最大の魅力です。将来的に子どもに相続できたり、担保として活用することもできます。ただし、築年数が経つにつれて価値が下がるのでは…というのが賃貸派の意見でしょう。

でも実は、しっかり手をかければ価値を守れるのが持ち家の面白いところです。たとえばロレックスの腕時計は、定期的なオーバーホール(メンテナンス)で古くなっても価値を維持するどころか、さらに高値で売れることさえあります。
同じように、家もこまめなメンテナンスやリフォームを重ねれば、“古い家”ではなく“資産として価値を残す家”に育てられるのです。

さらに近年は、建築資材の高騰などで住宅価格そのものが上昇傾向。中古住宅でも高値で売れることが増えており、家族構成の変化などのタイミングで売却をすれば、買ったときとほぼ同じ価格で売れるケースもあります。
こうした背景を考えると、「持ち家は資産としてお得」というのは、決して夢物語ではありません。むしろ、賃貸に住み続けるよりも、長期的に見て賢い選択になる可能性は十分にあるのです。

3.金銭面での比較

3人家族で賃貸で暮らす場合にかかる費用を考えてみましょう。

賃貸の場合

子どもがまだ小さいなら、2LDKの間取りがちょうどいい広さ。東京都内だと、都心なら家賃は20~30万円、23区外なら10~15万円に収まることもあります。
例えば、家賃15万円の郊外のマンションに10年住むと仮定すると…

15万円×12ヵ月 =180万円/年

180万円×10年=1800万円
これが10年間の総家賃。もちろん引っ越すたびに敷金や礼金もかかるので、実際はもう少し増えるかもしれません。

持ち家の場合

一方、首都圏で中古住宅を購入すると、その価格は4,000万円を超えるのが一般的。これを30年ローンで年1%の金利で借りると、総額はおよそ4,600万円。
でも35歳で家を買って75歳まで住むとして、メンテナンス費用が10年で200万円かかるとしたら…

年間の負担は約135万円、月に直すと11万円ほど。

一戸建は30坪(約100㎡)・3LDK~4LDKが多いので、広さや快適さは賃貸の2LDKとは比べものにならないレベルです。

上記の通り、首都圏の住宅価格は、中古住宅でも4,000万円を超えてきます。仮に4,000万円の物件を30年ローンで購入した場合、平均の適用金利を年1%前後とすると、

総額はおよそ4,600万円となります。これにメンテナンス費用が10年で約200万円かかるのが一般的です。

この物件を35歳で購入して75歳で手放す場合、1年あたりの出費は約135万円、月額11万円ほど、固定資産税等を考えても月額13万円ほどとなります。

中古住宅は平均30坪(約100㎡)、間取りは3LDK~4LDKとなるので、広さ的にもコストパフォーマンスも、持ち家の方が良いという結果に

4.プロの本音

上記のように、金額面で比べると持ち家の方がお得なのですが、
パパママだったら、子育てしながら持ち家を持つ(一時的な大出費がある)ことによる心理的な負荷を軽減できる
独身だったら、購入は無理だけど賃貸なら払えるレベルの「イケてる家に住んで自慢したい」
という、金額では表現できない決断ポイントがいっぱいありますよね。

そうした面で結局、持ち家/賃貸どちらにも良いところがあって、

なんとなく都内の会社に就職して、そのまま結婚して子供は5歳。
月の残業は80時間くらいで年収800万円。今は30代でまだまだやれてるけど、体力的にキツくなってきて、都内に住む意味もないなと考えている

この人は、都内でガンガン稼いで、今後収入上げていくというよりは、稼げるうちに郊外に持ち家を買ってしまって、ワークライフバランスをとれる近くの会社に転職。月に11万円くらいの返済額で暮らす というのがよさそうですよね。

20代の時に横浜にマンションを購入して、いまは40歳。いわゆるDinksで、今後も子供を持つ予定はない。
夫婦共働きで、仕事も順調。世帯年収は2000万円。夫は商社で、昇進するときに転勤もありえそう。

この人は、むしろ会社の近くに賃貸暮らしのほうが生活にゆとりをもてますし、仕事に打ち込めそうですよね。

結局のところ、
人生において何に重きを置くのか?今後収入を維持できそうか?ご両親の老後はどうするのか?実家の相続はどうするのか? など、考える要素は無限に合って、金銭面の比較なんてその一要素でしかないと考えています。

というと、難しくさせてしまうようですが、
私たちは、住宅の専門家であると同時に、そうしたライフプランニングの専門家でもありますので、我らのようなプロに相談していただければと思います。
豊富な知識がありつつも、それをお客様にわかりやすく伝えられる「技術営業」がきっと役に立つはずです。

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5.まとめ

最後に、この記事でお伝えしていることをまとめておきます。

下記のポイントを、ぜひ参考にしてみてください。

  • 賃貸派、持ち家派どちらも正解で、結局は「人生においてな何に重きを置くのか?」で正解は異なる
  • 周りに相談したり、自分で考えるのも重要だが、プロに相談すれば具体的な事例と知識をもとに解決策を提示できるので、頼ってみるのも手。

しあわせな家では、素敵にリノベーションされたお客様の施工事例を多数ご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!

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