2026.10.12

「隠れた不具合が怖い」で中古をあきらめない。契約前に見抜く3段階のチェック方法

中古住宅も候補に入れて物件を探していると、「見た目はきれいでも、壁の中や床下はどうなっているのだろう」「買ったあとに雨漏りやシロアリが見つかったらどうしよう」と不安になる方は多いと思います。その不安から、やっぱり新築にしようと考える方も少なくありません。

結論からお伝えします。中古住宅の隠れた不具合は、「住んでみないと分からないもの」ではありません。契約の前に、書類・聞き取り・住宅診断の3段階で、そのほとんどを確かめることができます。不安の正体は、不具合そのものよりも「建物を判断できる人がそばにいないこと」にあります。ここでは、建築士の視点から、隠れた不具合を見抜くための3つの段階を順番に整理します。

なぜ中古住宅の不具合は「隠れて」しまうのか

新築を買った人の4人に1人が「隠れた不具合」を理由に中古を選んでいない

国土交通省の調査によると、三大都市圏で新築の分譲戸建を買った世帯のうち25.5%、新築マンションを買った世帯のうち25.9%が、中古住宅にしなかった理由として「隠れた不具合が心配だったから」を挙げています(出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」)。およそ4人に1人が、同じ不安を理由に中古住宅を選ばなかったことになります。

確かに、安い中古住宅には理由があることが多く、そのひとつが雨漏りやシロアリ、構造の劣化といった建物の老朽化です。ただ、これらは本当に「見えない」ものなのでしょうか。

一般的な担当者は、建物を判断する訓練を受けていない

一般的な不動産会社の担当者は、宅地建物取引士です。法律と書類の専門家ではありますが、建物の構造や劣化を判断する資格も訓練も持っていません。つまり、不具合が「隠れて」しまう理由の多くは、建物を見る目を持った人が、物件選びの場にいないことにあるのです。

リノベーション

第1段階:書類で確かめる

図面があるかどうかで、増改築の履歴が分かる

最初に確かめたいのは、その物件の図面があるかどうかです。図面からは、建てたときの間取りや構造に加えて、増改築の履歴が分かります。反対に、図面がない物件は、今の建物の状態と書類上の情報が食い違っている可能性があります。

2000年以降に建てられた戸建であれば、地盤調査報告書もあるはずです。売主に見せてもらえない場合は、地盤が軟弱である可能性も疑っておきましょう。

外装のリフォーム履歴は「繰り返し」に注目する

リフォーム履歴、特に外壁や屋根といった外装のリフォーム履歴も大切な手がかりです。注目してほしいのは、同じ場所が繰り返しリフォームされていないかどうかです。何度も手を入れている場所は、雨漏りなどの同じ問題が続いて起きている可能性があります。

マンションの場合は、管理組合の議事録や長期修繕計画が手がかりになります。外壁タイルの浮き、廊下や階段の白い汚れ(白華現象)、鉄筋の錆が染み出た跡なども、建物の劣化を示すサインです。

第2段階:聞き取りで確かめる

売却の理由は、売主ではなく担当者に聞く

書類の次は、聞き取りです。まず確かめたいのが売却の理由です。転勤や相続といった理由であれば、問題はありません。一方で、近隣トラブルや治安の悪化が理由になっている場合は注意が必要です。売却の理由は、売主に直接聞くのではなく、担当者を通して確認するのが無難です。

住んでいる人にしか分からない「暮らしの本音」を聞く

売主が住んでいる物件であれば、内覧のときに設備の不具合やリフォームの履歴を聞いてみましょう。「雨の日に気になるところはありませんか」「冬場に結露しやすい部屋はありますか」といった質問は、物件データには載らない情報を教えてくれます。

第3段階:住宅診断で確かめる

ホームインスペクションで見るのは、構造・雨漏り・設備の3つ

書類と聞き取りで気になる点を洗い出したら、最後は専門家による住宅診断(ホームインスペクション)で確かめます。国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」では、次の3つが重点的なチェック項目とされています。

  • 蟻害(シロアリの被害)・腐朽・傾き・ひび割れなど、構造の安全性に関わる問題
  • 雨漏りや水漏れが起きているか、その可能性があるか
  • 給排水や換気の設備に、日常生活に支障が出るような劣化がないか

まさに「隠れた不具合」として心配されることばかりです。

住宅診断は、売買契約の前に受ける

ホームインスペクションの費用は、5〜10万円程度が目安です。大切なのはタイミングで、売買契約の前に受けるのが原則です。契約のあとに問題が見つかっても、手遅れになるケースがあるからです。

ただし、住宅診断には売主の承諾が必要で、人気の物件は調査を待っている1週間のうちに売れてしまうこともあります。依頼のタイミングと段取りが大切です。しあわせな家では、一戸建の場合、申込みのあとに第三者機関による住宅診断を行うことを標準の流れにしています。住宅診断の詳しい流れは、「中古住宅のホームインスペクションについて解説!注意点もご紹介」でまとめています。

ここまでの3段階を一覧にまとめます。

段階 確かめること 見るポイント
書類 図面の有無 増改築の履歴が分かるか
書類 外装のリフォーム履歴 同じ場所を繰り返し直していないか
書類 地盤調査報告書(2000年以降の戸建) 見せてもらえるか
聞き取り 売却の理由 近隣トラブルや治安が理由になっていないか
聞き取り 暮らしの本音 雨の日・冬場の困りごと、設備の不具合
住宅診断 構造・雨漏り・設備 契約前に第三者の目で確かめる

不具合が見つかったら、その物件はあきらめるべきか

直せる不具合と、買わない方がいい不具合がある

不具合が見つかったからといって、すぐに候補から外す必要はありません。中古住宅である以上、どこかに傷みがあるのは自然なことです。大切なのは、その不具合がリノベーションで直せるものなのか、直すのにいくらかかるのか、そもそも買わない方がいいものなのかを判断することです。

「買わない方がいい」と言える担当者と探す

この判断は、売買の契約が成立して初めて仲介手数料が入る仕組みの中では、なかなか口にしにくいものです。しあわせな家は、リノベーション工事でも売上が立つ会社です。だから、問題のある物件には「この物件は買わない方がいい」とはっきりお伝えできます。担当者の技術営業は、全員が建築士またはリフォーム業の経験者です。物件探しの段階から内覧に同行して、建物の状態を一緒に確かめます。

気持ちが高まって今すぐ申し込みたいときにも、私たちは「一晩眠って、明日の朝も同じ気持ちなら申込書を書いてください」とお伝えしています。不具合を確かめる時間は、急がせないことから生まれます。

お客様に建物の判断ポイントを説明する技術営業

まとめ

中古住宅の隠れた不具合は、運に任せるものではありません。書類で履歴を確かめ、聞き取りで暮らしの本音を知り、契約の前に住宅診断を受ける。この3段階を踏めば、不具合の多くは「見抜けるリスク」に変わります。

「隠れた不具合が怖い」という理由で中古住宅をあきらめる前に、建物を判断できる担当者と一度物件を見てみてください。初回相談で、どんな物件をどう確かめればいいのかを整理するところから始めましょう。

このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役

積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。

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