2021.02.10

住まい選びの注意点④「リフォーム会社の見分け方」

リフォーム業界は以前に比べればだいぶよくなりましたが、なかにはまだ悪質や無知に基づくおかしな工事が散見されます。さくら事務所のホームインスペクション(住宅診断)現場の実例をいくつかご紹介します。

上の画像は工事後の中古住宅。床下になぜか床材が。本来ベニヤ板を貼ることろなのですが、工事を行う際にリフォーム業者さんがはがした床材をベニヤの代わりにここに貼った模様。廃材を利用してコスト削減をしようとしたのでしょうか?

これには問題が2つ。1つは「断熱材をはがしてしまっていること」。水色の断熱材切り取りが床下に置かれています。このままでは下から冷気が上がってきて冬場はかなり寒いでしょう。冷暖房の効率も悪く、コストのかかる家です。2つ目は「このような工事内容を、所有者が知らないこと」。業者さんは良かれと思ってなのかもしれませんが、だとしても断熱の知識がなくいただけません。

上の画像もやはり床下ですが、土台と建物の間に木片が挟まっています。このことも売主さんはご存知ないのです。配管の水漏れと木部の腐食を業者さんが修繕した際、隙間があったからやはり良かれと思って?木片を差し込んだ様子。地盤に問題があるのか、建物構造の問題なのか原因を調べ本格的な対処をしないと、このままでは危険です。

上の画像は、かつて水まわりを移動するリフォームを行った際、配管を通すために、リフォーム業者さんが勝手にコンクリート基礎を削り取ってしまったようです。おそらくこれもそんなに悪気はないのでしょうが、耐震性など建物の知識がないからできることです。

リフォーム業(建設業)は500万円未満の工事なら無許可でも請け負えます。建設業の免許が不要ということは極端に言えば、知識や経験のない素人でも開業できるということです。建設業免許があれば安心ということでは全くありませんが、工事品質にばらつきがあることは理解の上業者さんを選定する必要があります。

というわけで、ここでは「良いリフォーム会社の見分け方」をお知らせします。ポイントは大きく4つ。

●ポイント1:竣工図を確認しているか
そもそも希望しているリフォームができるかどうかは、竣工図(設計図)を見なければわからず、正確な見積もりも出せません。しっかりしたリフォーム会社なら、まず管理人室で竣工図の有無を確認し、図面を見るはずです。

●ポイント2:管理規約の閲覧を求めるか(マンションの場合)
管理規約には、例えば音のトラブルを防ぐために使用可能なフローリングの等級が定められていたり、リフォーム工事を実施する前に必要な申請手続き、リフォームが可能な曜日など、リフォームにまつわる様々なことが定められたりしています。工事可能なリフォームの中身や工程を割り出すには、管理規約の確認が不可欠。規約を「預かりたい」「コピーさせてほしい」と申し出てくるなら、まともなリフォーム会社の可能性が高いでしょう。預ける場合には「預かり証」の交付を求めましょう。竣工図や規約を見ずにリフォームしたい箇所だけを聞いて、「それは100万くらいでできます」と言ってくる会社は要注意。水周り一式30万円などのパック料金型も同様です。

図面を見ないで算出した見積もりは、金額が高いか安いかのどちらかにふれがち。床や壁を解体したとき、骨組みがどうなっているかを知らなかったために下地処理が必要だったり、予想外に工程が延びたりしたときの安全マージンを乗せるなど、リスクヘッジが必要になるためです。

また工事内容の判断を誤りやすく、たとえ見積もりが安くても、工事が始まってから採算がとれないことに気づくケースがあります。その時点で料金を上げるわけにもいかず、施主が気づかない箇所で手を抜くような悪質なケースもあるのです。

●ポイント3:見積書の中身は大ざっぱでないか
ポイント1・2を満たす会社なら、ほとんどのケースで本体工事の見積もり項目はおおむね正確でしょう。単価や数量、建材の型番などが明確に出るからです。ところが、工事の内容について「一式」とだけ書かれている見積書が多く見られます。

「解体工事」や「クリーニング」「残材処分」「現場管理」のような、いわゆる付帯工事に関することであれば「一式」でも問題ありません。しかし「造作工事」や「電気・水道工事」「内装・塗装工事」のような本体工事について大ざっぱな記載をしていたら要注意です。こういった見積書を出してくることが多いのが訪問型のリフォーム会社。基本的にリフォームのタイミングは人任せではなく自分で決めるべきです。訪問型の販売員の言葉をうのみにするのはやめましょう。

●ポイント4:契約段階から完成までの提出書類が整備されているか
契約前、建築中、契約(完成)後と、それぞれの段階に応じて必要な書類があります。まず契約前の「請負契約書」。これは金額の大小にかかわらず、必ず取り交わすことです。次に「請負契約約款」。これは、契約にまつわる具体的な約束事を書面にしたもので、クーリングオフについて定めているものがベスト。

リフォームトラブルで最も多い「言った、言わない」という問題を避けるために「打ち合わせシート」も必要です。建築中に必要なのは「工事内容変更合意書」。当初の仕様や金額が変わったら必ず取り交わしておきます。契約(完成)後は、「工事完了確認書」。アフターサービスがあれば、この書類の日付から開始となります。

これらの書類はインターネットで、住宅リフォーム推進協議会のサイトからダウンロードできます。これらの書類がそれぞれ的確なタイミングで出てくることが重要です。

※標準契約書式集(住宅リフォーム推進協議会) http://www.j-reform.com/publish/shosiki.html

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