2021.09.02
中古住宅の購入でフルローンは利用可能?住宅ローンの疑問を解決!
こんにちは。中古住宅仲介・リノベーションを行う不動産会社「しあわせな家」の高田です。
住宅を購入するときに住宅ローンを利用する方は多いと思います。
それは、中古住宅でも同じ。
では、自己資金をあてずにすべてローンで賄う「フルローン」は、中古住宅でも可能なのでしょうか?
そもそも古い中古住宅では住宅ローンの審査自体が通りにくい場合も。
今回は、中古住宅を購入する際の「フルローン」について解説します。
中古住宅でフルローンは可能なのか? 古い中古住宅で住宅ローンを通すためにできることは何か? そんな疑問を解消します!
中古住宅でフルローンは利用できる?
フルローンとは、自己資金で頭金などを準備しないで購入費用全額の融資を受けて住宅ローンを組むこと。
住宅購入にかかる費用は物件購入費だけではないので、完全に自己資金ゼロで購入するなら、以下の費用をすべてローンで賄う必要があります。
- 物件購入費用
- 住宅ローン契約に関わる諸経費(手数料、保証料、印紙代、登記費用など)
- 住宅購入に関わる諸経費(仲介手数料、火災保険料、印紙代、登記費用など)
諸経費は物件価格の7~10%程度が相場といわれており、仮に2,000万円の物件を購入するなら諸経費として約200万円がかかる計算になります。
リフォームするのを前提として中古住宅を購入するなら、リフォーム代も必要です。
そこで最初の疑問「中古住宅でフルローンは利用できるか?」という点ですが、仕組みとしてはフルローンを利用することは可能です。
住宅ローン商品にはいろいろな種類があります。
中にはリフォーム資金も融資対象とした住宅ローン商品もあり、融資上限額が物件価格の130%程度となっているため、「物件価格+諸経費」の融資を受けることが可能です。
フルローンで融資を受けることができれば、自己資金がなくても住宅を購入できますね。
しかし、実際には物件価格以上の融資を受けるのは難しいこともあります。
なぜなら、住宅ローンは購入物件を担保として融資を受ける契約。
金融機関は物件の担保価値を審査し、担保に見合った融資額を設定します。
中古物件は築年数が古い分、建物の担保価値が低いと判断されて実際の購入価格との差が生まれ、必要な額の融資を受けられない可能性があるのです。
たとえば物件価格が2,000万であっても、中古物件の担保価値が1,000万円しかないと判断されてしまえば、いくら担保価値の130%まで融資を受けられたとしても必要な額には届きません。
中古住宅で住宅ローンは希望通りの額で通る?難しいケースや注意点とは
物件価値がわかりやすい新築住宅と違い、中古住宅では希望通りの融資額で住宅ローンが通るとは限りません。
中古住宅で住宅ローンを利用する際に、審査が通りにくいケースや注意点すべき点などをご紹介します。
審査が通りにくいケースとは
審査が通るのが難しいケースとして、主に以下の2つがあります。
以下の条件に当てはまる場合は、ほかの資金確保が必要かもしれません。
【ケース1】築年数が古い
住宅ローンの審査では、金融機関が独自の基準で物件の資産価値・担保価値を査定します。
中古住宅の場合、築年数は必ず基準とされる項目のひとつです。
とくに戸建て住宅の場合、木造住宅の法的な耐用年数は22年とされており、築20年程で資産価値はほぼゼロとカウントされてしまいます。
修繕している、リフォームしてきれいになっているといったことは担保価値の審査にはあまり考慮されません。
リフォーム済みで物件価格が高くても、古い分だけ担保評価は下がってしまうため、価格と担保価値との差が生まれてしまう可能性があります。
【ケース2】ほかのローンや借入金がある
収入に対して借入金が大きくなりすぎる場合も、審査には通りにくいです。
年収に対する年間の返済額は「返済負担率」といい、住宅ローンの審査に通るにはこれが「35%以内」「40%以内」という基準を設けている金融機関が多いです。
返済負担率の計算には、住宅ローンだけでなく現在契約中のほかの借入金も含まれます。
車のローンやカードのキャッシングなどを利用中の方は、返済負担率が基準を超えてしまい、希望通りの金額で住宅ローンが通らない可能性があります。
中古住宅の住宅ローンの申込み前に確認したい注意点
中古住宅で住宅ローンを利用する際には、物件の築年数にとくに注意が必要です。
先ほど紹介した「物件の資産価値が下がる」のもそうですが、金融機関によっては「築年数30年以内」など、住宅ローン審査において築年数に条件をかけている場合があります。
金融機関の設定する条件を満たさない物件では、そもそも住宅ローンを契約することができません。
また、古い物件では現行の建築基準法の基準を満たしていないケースもあり、この場合も住宅ローンを利用できないことがあります。
購入予定の物件で住宅ローンを利用することができるのかどうか、金融機関や対象商品の条件をしっかり確認しましょう。
また、住宅ローン控除の条件についても確認を。
住宅ローン控除とは、住宅購入・入居から10年間(条件によっては13年間)、年末時点のローン残高の1%(上限あり)が所得税や住民税から控除される制度です。
中古住宅の購入でも利用できますが、物件の築年数が古い場合は対象外となることがあります。
住宅ローン控除を利用するには、マンションなどの耐火建築物では築年数25年以内、それ以外では20年以内、または新耐震基準に適合している証明書などが必要となります。
築年数の古い中古住宅でも住宅ローンを通すには?
築年数の古い中古住宅では担保価値が低いと判断され、希望する額の融資を受けられない可能性があります。
とくに物件価格よりも高額の融資となるフルローンで審査を通すのは難しい可能性が高いでしょう。
しかし「返済負担率」などとの総合的な審査によって可能なケースもありますので、諦めるのは早いです。
中古物件購入時の住宅ローンでは、自己資金を準備して頭金を設定し、希望融資額を下げることで、より審査に通る可能性が上がりますよ。
車のローンやキャッシング、クレジットカードリボ払いなどが残っている方は、審査前に返済しておくことも重要です。
中古住宅でフルローンは難しいかもしれない。申請前に注意点を知って対策を
フルローンを組むことができれば、頭金や諸経費などの自己資金がなくても住宅を購入できます。
中古住宅でも、リフォーム資金も対象とする住宅ローン商品で物件価格以上の審査が通れば実現可能。
しかし、実際には、中古住宅でフルローンを組むのは難しい可能性があります。
中古住宅は築年数が古い分、物件の担保価値が低く判断され、担保価値以上の融資を受けることが難しいからというのが理由です。
中古住宅の住宅ローンでは、自己資金をしっかり用意して借入金の希望額を下げた方が審査に通る可能性が高くなりますよ。
車のローンやキャッシングなど、ほかに借入金がある方は、審査の前に完済しておきましょう。