2026.11.01

中古住宅の買付申込書の書き方。値引き交渉の前に決める金額・条件・有効期限

気に入った中古住宅が見つかると、担当者から「では、買付を入れましょう」と言われる場面がきます。けれど、はじめての方には、何をどう書けばいいのか分かりにくい書類です。書いたらもう後戻りできないのか、値引きはこの紙でお願いするのか、ほかの人に先を越されないか。焦る気持ちと、決めきれない気持ちが入りまじる場面だと思います。

結論からお伝えします。買付申込書は、売主さんに「この条件なら買います」と伝える書面です。出した時点で購入が決まるわけではありませんが、売主さんはこの1枚を見て、誰に売るかを判断します。値引きの交渉も、この書面から始まります。だからこそ、出す前に「金額・支払い方法・条件・有効期限」の4つを決めておくことが大切です。そして、その4つを決めるには、建物の状態と、工事を含めた総額を先に確かめておく必要があります。

買付申込書は「この条件なら買います」と伝える書面

出しても、まだ契約ではない

買付申込書は、「購入申込書」「買付証明書」とも呼ばれます。購入したい意思と、希望する条件を売主さんに伝えるための書面です。

売買契約とは違い、出しただけでは購入は決まりません。原則として、出したあとに取り下げても、違約金などはかかりません。ただし、売主さんはこの申込みを受けて、ほかの購入希望者への対応を止めたり、引越しの準備を考え始めたりします。軽い気持ちで出して取り下げることは、売主さんとの信頼を損ないます。出すのは「この条件なら本当に買う」と決めてからにしましょう。

売主さんは、この1枚で誰に売るかを決める

同じ物件に複数の申込みが入ることもあります。そのとき、売主さんが比べるのは価格だけではありません。手付金の額、住宅ローンが通りそうか、引渡しの時期が自分の予定に合うか。条件全体を見て、誰と契約するかを決めます。

よく「買付は先着順」と言われますが、決めるのは売主さんです。早く出すことよりも、売主さんにとって安心できる申込みにすることが大切です。

買付申込書に書く4つのこと

金額:希望価格と手付金

まず、購入を希望する価格を書きます。値引きを希望する場合は、ここに希望の金額を書くことになります。

あわせて、契約のときに払う手付金の額を書きます。中古住宅では、売買価格の5〜10%程度が目安です。手付金の考え方は「中古住宅購入で支払う手付金とは?金額の目安やタイミングも確認」でまとめています。

支払い方法:住宅ローンを使うかどうか

住宅ローンを使うか、使う場合はいくら借りる予定かを書きます。住宅ローンを使う場合は、ローンが通らなかったときに契約を白紙に戻せる「融資特約(ローン特約)」を付けることを、ここで伝えておきます。

条件:契約日・引渡し日とその他の希望

契約したい時期と、引渡しを受けたい時期を書きます。今の住まいの更新時期や、子どもの入学に合わせたい場合は、ここで希望を伝えます。

そのほかの条件も、この欄にまとめます。たとえば次のようなものです。

  • 契約前にインスペクション(建物状況調査)をさせてほしい
  • 家具や不用品(残置物)は売主さん側で片付けてほしい
  • 隣地との境界を明示してほしい
  • エアコンや照明を残してほしい

あとから言い出すと交渉が難しくなる条件ほど、最初に書いておくのが基本です。

有効期限:1週間前後で区切る

最後に、この申込みの有効期限を書きます。1週間から10日ほどにすることが多く、期限までに売主さんの返事がなければ、申込みは効力を失います。期限を区切ることで、返事を待ち続ける状態を避けられます。

高台から見た住宅街の街並み

値引き交渉は、買付申込書から始まる

値引きの根拠は、建物の状態と相場

値引きを希望するときに大切なのは、金額の根拠です。「少しでも安く」という理由だけでは、売主さんは応じにくいものです。一方で、「屋根と外壁の補修に○○万円ほどかかるため」「近くの似た物件の成約価格がこのくらいのため」という根拠があれば、売主さんも検討しやすくなります。

そのためには、内覧の段階で建物の状態を確かめ、直す費用の見当をつけておく必要があります。値引き交渉の考え方は「プロが解説する中古住宅の値引き交渉について」で詳しくお伝えしています。

金額だけでなく、条件全体で選ばれる

値引きを希望する場合でも、ほかの条件で売主さんの希望に寄り添うことで、受け入れてもらいやすくなります。売主さんが早く現金化したいなら、契約や引渡しを早めに設定する。住み替え先が決まるまで待ってほしいなら、引渡しを遅らせる。価格以外の条件で歩み寄れるところがないかを考えてみてください。

出す前に確かめておくこと

住宅ローンの事前審査を通しておく

住宅ローンを使う場合は、買付を出す前に、事前審査を通しておきましょう。売主さんから見ると、事前審査が通っている人は「買える人」です。複数の申込みが入ったときにも、選ばれやすくなります。

工事を含めた総額を出しておく

リノベーションをする前提で買う場合は、物件価格だけで判断すると、あとで予算が足りなくなることがあります。買付の金額を決める前に、工事費と諸費用を含めた総額が予算に収まるかを確かめておくことが大切です。物件と工事はセットで判断する、というのが私たちの考え方です。

笑顔でお客様の話を聞く担当者

しあわせな家では、建築士やリフォーム業の経験を持つ「技術営業」が内覧に同行し、直す費用の見当と、工事を含めた総額をお伝えします。そのうえで、買付申込書の金額や条件を一緒に考えます。この物件は見送った方がいいと判断した場合は、そうお伝えします。

まとめ

買付申込書は、売主さんに「この条件なら買います」と伝える書面です。契約ではありませんが、売主さんはこの1枚で誰に売るかを判断し、値引き交渉もここから始まります。金額・支払い方法・条件・有効期限の4つを決め、値引きを希望するなら建物の状態や相場という根拠を添える。そして、住宅ローンの事前審査と、工事を含めた総額の確認を、出す前に済ませておく。これが、買付で後悔しないための順番です。

気になる物件が見つかったら、買付を出す前にご相談ください。初回相談で、物件の判断と資金の見通しを一緒に整理するところから始めます。

このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役

積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。

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