2026.10.29
中古住宅の不動産取得税はいくら? 築年で決まる控除額を評価証明書1枚で計算する方法
中古住宅の諸費用を調べていると、「不動産取得税」という項目が出てきます。買ってからしばらくして通知が届く税金で、「忘れたころに請求が来て驚いた」という話を聞いた方もいるかもしれません。一方で、「中古ならゼロになることもある」とも言われ、結局自分の物件ではいくらなのか、分からないままになりがちです。
結論からお伝えします。中古住宅の不動産取得税は、固定資産税評価額と、建物が「建てられた年」でほぼ決まります。築年ごとに決まった控除額があり、1997年4月以降に建てられた住宅なら控除額は1,200万円です。土地にも大きな減額があるため、建物も土地も税額がゼロになる中古住宅は珍しくありません。売主さんの固定資産税評価証明書が1枚あれば、購入前に自分で計算できます。
目次
不動産取得税は「評価額×3%」から控除を引く税金
買ったときに一度だけ、都道府県に納める
不動産取得税は、土地や建物を買ったときに一度だけかかる、都道府県の税金です。毎年かかる固定資産税とは別のもので、購入後にその都道府県から納税通知書が届きます。
税額は「課税標準×税率」で計算します。税率は本来4%ですが、住宅と土地は2027年(令和9年)3月31日までに取得した場合、3%に下げられています(出典:神奈川県「不動産取得税」)。
計算のもとは、売買価格ではなく固定資産税評価額
ここで大切なのは、課税標準が売買価格ではないことです。もとになるのは、市区町村が固定資産税のために決めている「固定資産税評価額」です。中古住宅の建物は年数とともに評価額が下がっているので、売買価格よりかなり低いことがほとんどです。
さらに、宅地は2027年3月31日までの取得なら、課税標準が評価額の2分の1になります。そのうえで、建物と土地それぞれに、次で説明する控除や減額があります。
建物は「建てられた年」で控除額が決まる
築年ごとの控除額の一覧
自分が住むための中古住宅を買った場合、建物の評価額から、建てられた時期に応じた額を差し引けます。主な区分は次のとおりです(出典:各都道府県の不動産取得税の案内。制度は地方税法に基づくもので、区分は全国共通です)。
| 建物が建てられた日(新築年月日) | 控除額 |
|---|---|
| 1997年(平成9年)4月1日以降 | 1,200万円 |
| 1989年(平成元年)4月1日〜1997年3月31日 | 1,000万円 |
| 1985年(昭和60年)7月1日〜1989年3月31日 | 450万円 |
| 1982年(昭和57年)1月1日〜1985年6月30日 | 420万円 |
| 1981年(昭和56年)7月1日〜12月31日 ※耐震の証明が必要 | 420万円 |
| 1976年(昭和51年)1月1日〜1981年6月30日 ※耐震の証明が必要 | 350万円 |
建物の税額は「(評価額-控除額)×3%」です。評価額が控除額より小さければ、建物の税額はゼロになります。
表を見ると、1989年3月以前と4月以降で、控除額が倍以上違うことが分かります。築35年前後の物件を比べるときは、建てられた年月日まで見ておくと、税額の差がつかめます。
控除を受けるための3つの条件
この控除には条件があります。
- 自分が住むための住宅であること
- 床面積が40㎡以上240㎡以下であること(2026年4月1日以降の取得。それより前は50㎡以上でした。出典:神奈川県「不動産取得税」)
- 1982年(昭和57年)1月1日以降に建てられていること。それより前の建物は、取得の日より前の2年以内に、新耐震基準に適合していることの証明を受けていること
3つ目は見落としやすい条件です。1981年以前に建てられた家は、耐震の証明がないと、表の控除が使えません。証明は「取得の日」より前に受けておく必要があります。
ただし、取得の日までに証明が間に合わなかった家にも、別の軽減があります。住み始める前に耐震改修をして、新耐震基準に適合していることの証明を受け、取得から6か月以内に住み始めて県税事務所に申請すれば、建てられた年に応じた額が税額から減らされます(出典:神奈川県「中古の場合の軽減措置」)。買ってから耐震改修をする予定なら、工事の段取りと申請の期限を最初から組み込んでおきましょう。

土地は「床面積の2倍」まで減額される
土地の税額から差し引かれる額の計算式
住宅の控除の条件を満たしていて、同じ人がその住宅と土地を、前後1年以内に取得した場合、土地の税額からも一定の額を差し引けます。差し引く額は、次の2つのうち多い方です(出典:静岡県「不動産取得税の軽減」)。
- 45,000円
- 土地1㎡当たりの評価額(宅地は2分の1にした後)×住宅の床面積の2倍(200㎡が上限)×3%
床面積の2倍まで減額されるので、敷地がそれほど広くない一般的な戸建なら、土地の税額もゼロ近くまで下がることが多くあります。
戸建の計算例:建物も土地もゼロになることが多い
1995年に建てられた木造戸建を例に計算してみます。建物の評価額は600万円、土地は150㎡で評価額2,000万円、建物の床面積は100㎡とします。
- 建物:評価額600万円-控除額1,000万円=マイナスのため、税額は0円
- 土地の税額:2,000万円×2分の1×3%=30万円
- 土地の減額:1㎡当たり約13.3万円×2分の1×200㎡(100㎡×2)×3%=約40万円
- 土地の税額:30万円-40万円=マイナスのため、0円
この例では、不動産取得税は建物も土地もかかりません。一方、1983年に建てられたマンションで、建物の評価額が800万円なら、(800万円-420万円)×3%=11.4万円が建物にかかります。同じ中古住宅でも、建てられた年で税額がこれだけ変わります。
購入前に税額を確かめる手順
売主さんの評価証明書か課税明細を見せてもらう
税額を計算するには、建物と土地の固定資産税評価額が必要です。購入前なら、売主さんの固定資産税評価証明書か、毎年届く固定資産税の納税通知書に付いている課税明細書を、担当者を通して見せてもらいます。登記簿(登記事項証明書)で、建物の新築年月日と床面積もあわせて確かめます。
この3つ、評価額・新築年月日・床面積がそろえば、上の表と計算式で税額の見当がつきます。固定資産税そのものの目安は「中古住宅の固定資産税はどのくらいになる?税金の疑問を解決!」でまとめています。
申告の期限と、通知が届く時期を知っておく
申告の期限や方法は、都道府県ごとに決まっています。神奈川県では、取得から10日以内の申告が原則ですが、2023年4月1日以降の取得で登記の申請をした場合は、申告は要りません(出典:神奈川県「不動産取得税」)。東京都など他の地域で買う場合は、その都道府県の案内を確かめてください。
納税通知書は、取得してから数か月たって届くことが多く、送り先は取得したときの登記上の住所です。引越しで住民票を移しても、送り先は変わりません。軽減が正しく反映されているかは、届いた通知書で確かめましょう。

しあわせな家では、建築士やファイナンシャルプランナーの資格を持つ「技術営業」が、物件を検討する段階で評価額と登記簿を確かめ、不動産取得税を含めた諸費用の見通しをお伝えします。1981年以前の建物で耐震の証明が必要な場合は、補強が要るかどうかも内覧のあとに判断します。
まとめ
中古住宅の不動産取得税は、固定資産税評価額と、建物が建てられた年でほぼ決まります。1997年4月以降の建物なら控除額は1,200万円で、土地も床面積の2倍まで減額されるため、税額がゼロになることも珍しくありません。注意したいのは、1981年以前の建物は、取得の日までに耐震の証明を受けていないと控除が使えないことです。
評価額、新築年月日、床面積の3つを購入前に確かめておけば、「忘れたころに思わぬ請求が来た」ということは防げます。気になる物件があれば、諸費用の見通しを一緒に確かめましょう。初回相談で、物件ごとの税金と資金計画を整理するところから始めます。
このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役
積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。




