2026.10.24
中古マンションの管理は国の基準で何点?
「マンションは管理を買え」。中古マンションを探していると、一度は耳にする言葉です。けれど、管理が良いとはどういうことなのか、何を見れば分かるのかは、あまり語られません。結局、エントランスがきれいか、管理人さんが感じよく挨拶してくれるか、といった印象で判断している方も多いと思います。
結論からお伝えします。マンションの管理の良し悪しには、国が定めた物差しがあります。2022年に始まった「管理計画認定制度」の基準です。国の調査に回答したマンションのうち、この基準をすべて満たしているのは4.8%しかありません。基準の項目を、購入前に手に入る4つの書類に当てはめれば、検討中のマンションの管理状態を自分で採点できます。
目次
「管理を買え」には、国の物差しがある
2022年に始まった「管理計画認定制度」
管理計画認定制度は、マンションの管理組合が作った管理の計画が一定の基準を満たしていれば、自治体が認定する仕組みです。法律の改正で、2022年4月に始まりました。基準は、管理組合の運営、管理規約、お金の管理、長期修繕計画などにわたり、「きちんと管理されているマンション」の条件を具体的に並べたものになっています。
この基準は、認定を受けていないマンションにも当てはめて使えます。つまり、管理の良し悪しを測る、国のお墨付きのチェックリストとして読めるのです。
基準をすべて満たすマンションは、4.8%しかない
国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、回答した1,589の管理組合のうち、認定の基準をすべて満たしていたのは4.8%でした。あと1項目だけ足りないマンションが12.8%あります(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」)。
逆に言えば、9割以上のマンションは、どこかに足りない項目があります。満点のマンションを探すより、どの項目が足りないのかを知ることのほうが、ずっと現実的です。

多くのマンションがつまずく項目
修繕積立金が、計画に対して低すぎる
同じ調査で、基準ごとの達成率を見ると、つまずきやすい項目がはっきりします。
| 基準の項目 | 満たしているマンション |
|---|---|
| 修繕積立金の平均額が著しく低くない | 37.4% |
| 管理規約で、緊急時の専有部分への立ち入りや修繕履歴の保管などを定めている | 41.6% |
| 長期修繕計画の期間が30年以上で、大規模修繕工事を2回以上含む | 42.5% |
| 長期修繕計画と修繕積立金の額を総会で決議している | 51.1% |
| 組合員名簿・居住者名簿を備えている | 59.4% |
| 長期修繕計画を7年以内に作成・見直ししている | 73.6% |
いちばん達成率が低いのが、修繕積立金です。修繕積立金の残高が長期修繕計画に対して「不足していない」と答えたマンションは39.9%で、「不足している」が36.6%、「不明」が23.5%でした。今の積立金が安いマンションは、将来の値上げを先送りしているだけ、ということがあります。目安として「専有面積×250円」を下回っていないかを見てください。値上げの読み方は「中古マンションの修繕積立金は購入後に上がる? 後悔しないために購入前に確認すること」でまとめています。
長期修繕計画が短い、または総会で決めていない
次につまずきやすいのが、長期修繕計画です。「期間が30年以上で、大規模修繕工事を2回以上含む」という条件を満たさない計画が半分を超え、計画と積立金を総会で決議していないマンションも半分ほどあります。
総会で決議されていない計画は、言ってみれば「管理会社が作った案」のままです。住んでいる人たちが、将来いくらかかるかを共有し、それに合わせて積立金を決めた、という裏づけがありません。計画書があるかどうかだけでなく、総会で決まったものかどうかまで確かめましょう。
購入前に手に入る4つの書類で採点する
項目ごとに、どの書類を見ればいいか
採点に使うのは、次の4つの書類です。
- 重要事項調査報告書:管理会社が作る書類。管理費・修繕積立金の額、積立金の残高、滞納の状況、借入金、予定されている値上げなどが分かる
- 長期修繕計画:計画の期間、大規模修繕の回数、積立金の将来の額が分かる
- 総会の議事録:計画や積立金が決議されているか、滞納や修繕でどんな議論があったかが分かる
- 管理規約:専有部分への立ち入りや、修繕履歴の保管、リフォームのルールが分かる
重要事項調査報告書は、仲介する不動産会社を通じて管理会社に依頼します。長期修繕計画や議事録、管理規約も、購入を検討していることを伝えれば、見せてもらえることが多い書類です。
書類が出てこないこと自体が、ひとつの答え
書類を頼んでも、なかなか出てこないことがあります。長期修繕計画がそもそもない、議事録が数年分しか残っていない、といったケースです。
書類が出てこないこと自体が、管理の状態を表しています。反対に、議事録や長期修繕計画の閲覧にすぐ応じてくれるマンションは、その姿勢だけで好感が持てます。
採点した結果を、どう判断に使うか
満点でなくても買っていい。見るのは「足りない理由」
4.8%という数字が示すとおり、満点のマンションはごくわずかです。満点でなければ買わない、と決めてしまうと、選べるマンションはほとんどなくなります。
大事なのは、足りない項目の「理由」です。名簿の整備が遅れているだけなのか、積立金が大きく不足していて、値上げの議論が総会で何度も否決されているのか。同じ1項目の不足でも、意味はまったく違います。議事録を読むと、その理由が見えてきます。外壁タイルの浮きや、ゴミ置き場の様子など、共用部分の見た目もあわせて確かめると、書類と現場の両方から管理を判断できます。
認定を受けたマンションは、閲覧サイトで探せる
管理計画の認定を受けたマンションは、公益財団法人マンション管理センターの閲覧サイトで公開されています。検討中のマンションが認定を受けているかを調べてみるのもひとつの方法です。ただ、認定を申請していないだけで、管理がしっかりしたマンションもあります。認定の有無だけで判断せず、書類で中身を確かめましょう。

しあわせな家では、建築士やリフォーム業の経験を持つ「技術営業」が、重要事項調査報告書や長期修繕計画、議事録を読み解き、足りない項目とその理由をお伝えします。共用部分の劣化も、内覧のときに建物の目で確かめます。管理に不安が大きいマンションなら、「ここはやめておきましょう」と率直にお伝えします。工事でも売上が立つ仕組みなので、契約を急がせる必要がないからです。
まとめ
「マンションは管理を買え」には、国の管理計画認定制度という具体的な物差しがあります。国の調査では基準をすべて満たすマンションは4.8%しかなく、多くは修繕積立金と長期修繕計画でつまずいています。重要事項調査報告書、長期修繕計画、総会の議事録、管理規約の4つの書類で採点し、足りない項目の理由を確かめる。そうすれば、印象ではなく根拠をもって、管理の良し悪しを判断できます。
気になるマンションがあれば、その書類を一緒に読み解きましょう。初回相談で、マンション選びで確かめておきたいことを整理するところから始めます。
このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役
積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。




