2026.10.04
安すぎる中古戸建には理由がある。再建築不可を見分ける「4mと2m」の法則
中古戸建を探していると、同じエリアの相場より明らかに安い物件に出会うことがあります。「掘り出し物かもしれない」と思う一方で、「もしかして、建て替えができない物件なのでは」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えします。建て替えられるかどうかは、建物の古さではなく、家の前の道路と、敷地がその道路にどう接しているかで決まります。物件資料に「再建築不可」と書いていないからといって、安心はできません。前面道路の種類と幅、敷地の入口の幅を、契約前に役所の記録と現地の両方で確かめる。これが見分け方の基本です。そのうえで、価格に見合うと納得して選ぶのであれば、再建築不可の物件を買うことは失敗ではありません。
目次
「建て替えられない家」は、なぜ生まれるのか
家を建てられるかどうかは「道路との接し方」で決まる
家を建てるには、原則として幅4m以上の道路に、敷地が2m以上接している必要があります。これを接道義務といいます。ここでいう「道路」は、見た目が道であればよいわけではなく、建築基準法上の道路として認められている必要があります。
ところが、この決まりができる前や、決まりが適用される区域に指定される前に、細い路地の奥や、他人の土地を通らないと出入りできない場所にも家が建てられてきました。そうした家は、今の基準では原則として建て替えができません。これが「再建築不可物件」です。敷地の周りに広い空き地があるなど、特別な条件を満たして例外的に建築が認められる場合もありますが、簡単に認められるものではありません。
相場より安いのは、この制約が価格に表れているから
私は「安さには必ず理由がある。その理由が許容できるかどうかを判断するのがプロの仕事だ」と考えています。安い物件の理由は、建物の老朽化、周辺環境、インフラの不備などいくつかに分けられますが、そのひとつが再建築不可のような「法的な制約」です。
建て替えられない土地は、買い手が限られます。住宅ローンを貸してくれる金融機関も限られます。その分が価格に表れているのであって、決して「お得な物件」というわけではありません。
物件資料のどこを見れば、見分けられるのか

「再建築不可」と書いていなくても、確認は必要
不動産広告のルールでは、建て替えができない土地には「再建築不可」または「建築不可」と書くことになっています。まずは備考欄などにこの言葉がないかを確認してください。「現況有姿」「現況渡し」などの言葉が添えられているときも、理由を担当者に聞いておくと安心です。
ただし、記載が漏れていたり、道路の扱いを読み違えていたりすることもあります。書かれていないことが、問題がないことの証明にはならない。ここが最初の注意点です。
前面道路の「種類」と「幅」を見る
物件資料の「接道状況」や「道路」の欄には、前面道路について「公道/私道」「幅員〇m」「〇m接道」といった情報が書かれています。確認したいのは次の3点です。
- 道路の幅が4m以上あるか
- その道路が建築基準法上の道路か(「42条〇項道路」などと書かれていることがあります)
- 公道か私道か(私道の場合は、道路の持ち主の確認も必要です)
敷地の入口の幅が2mあるかを見る
旗の竿のように、細い通路の先に敷地が広がっている土地(旗竿地)は特に注意が必要です。この通路部分の幅が2mに満たないと、道路に面していても建て替えができません。さらに、2mは法律上の最低限で、自治体の条例によっては、通路が長い場合などにもっと広い幅が求められることがあります。間取り図では通路が十分広く見えても、ブロック塀の厚みなどで実際の幅が足りないこともあります。

「セットバックが必要」と書かれていたら、何が違うのか
道路の幅が足りない分、敷地を後ろに下げて建てる
前面道路の幅が4mに満たなくても、建築基準法上の道路として扱われていれば、建て替えはできます。その代わり、道路の幅を確保するために、敷地の一部を道路として後ろに下げる必要があります。これがセットバックです。
建て替えはできるが、使える土地は狭くなる
セットバックした部分には、建物はもちろん、塀や門も造れません。資料に書かれている土地面積をそのまま使えるわけではない、ということです。物件資料に「セットバック要」「要セットバック〇㎡」とあれば、実際に使える面積を必ず確認してください。
| 状態 | 建て替え | 注意点 |
|---|---|---|
| 幅4m以上の道路に2m以上接している | できる | 道路が建築基準法上の道路かは確認が必要 |
| 建築基準法上の道路だが、幅が4m未満(セットバック要) | 敷地を下げればできる | 使える土地が狭くなる |
| 建築基準法上の道路に接していない、入口が2m未満 | 原則できない(再建築不可) | 住宅ローン・将来の売却に大きく影響する |
契約前に、自分で確かめられること・プロに任せた方がいいこと
現地でメジャーを当ててみる
内覧のときは、メジャーを1本持っていくと役に立ちます。家の前の道路の幅、旗竿地なら入口の通路の幅を、ざっと測ってみてください。4mと2mという2つの数字を覚えておくだけで、資料と現地の食い違いに気づけることがあります。
ただし、測った数字はあくまで目安です。道路の幅の測り方には決まりがあり、側溝や境界の位置によっても結果が変わります。
道路の種類は、役所で確認する
その道路が建築基準法上の道路かどうかは、見た目では分かりません。役所の建築指導課などの窓口で、道路の種類や過去の建築確認の記録を調べて、初めて判断できます。重要事項説明の前に、担当者がここまで確認しているかを聞いてみてください。
再建築不可と分かったうえで買う、という選択肢もある
再建築不可の物件でも、建物を壊さずにリノベーションして住み続けられる場合があります。価格や固定資産税が抑えられるのは、たしかに魅力です。ただし、法改正によって大規模な工事に建築確認が必要になるケースが増えているため、どこまで手を入れられるかは物件ごとの判断になります。
一方で、売却が難しい、住宅ローンが通りにくい、工事車両が入れず工事費が高めになるといったデメリットもあります。リノベーションでできることについては「再建築不可物件のリノベーションは可能?メリット・デメリットも解説」、道路の持ち主の問題については「私道持分0の物件を買うとどうなるのか?」でも詳しくまとめています。

まとめ
再建築不可は、絶対に避けるべきものではありません。ただ、知らずに買ってはいけないものです。建て替えられるかどうかは道路で決まり、その確認には役所の記録と現地の両方が必要です。
道路の種類を確かめ、そのうえで「この建物ならリノベーションで何ができるか」まで判断するには、法規と建物の両方の知識が要ります。仲介とリノベーションを同じ担当者が担う私たちだからこそ、そこまで一緒に見ることができます。相場より安い戸建を見つけたら、申し込む前に一度見せてください。初回相談で、その物件を選んでいいのかどうか、一緒に整理するところから始めましょう。
(株)しあわせな家 代表取締役 山田篤
積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。




