2026.11.02
中古住宅の契約不適合責任、「売主が個人なら3か月」の落とし穴。免責の特約を見分ける方法
中古住宅の契約書の案や重要事項説明書を読んでいると、「売主は契約不適合責任を負わない」「引渡しから3か月以内に限り」といった文言が出てきます。買ったあとに雨漏りやシロアリが見つかったら、売主さんが直してくれるものだと思っていた方は、ここで不安になるかもしれません。
結論からお伝えします。契約不適合責任は、民法では「買主が不具合を知ってから1年以内に伝えれば、売主さんに修補などを求められる」仕組みです。ただし、これは契約で変えられるルールです。売主が個人の中古住宅では、期間を「引渡しから3か月」に短くしたり、「責任を負わない(免責)」としたりする特約がよく使われます。どこまで守られるかは、契約書の特約と、物件状況報告書に何が書かれているかで決まります。だからこそ、不具合は契約の前に見つけておくことが大切です。
目次
契約不適合責任は「契約の内容と違ったとき」の売主さんの責任
2020年の民法改正で「瑕疵担保責任」から変わった
2020年4月1日に改正民法が施行され、それまでの「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。考え方の中心は「引き渡された家が、契約の内容に合っているかどうか」です。
ここが大切なところで、隠れていた欠陥かどうかではなく、契約書や説明に書かれた内容と違うかどうかで判断します。裏返せば、契約の時点で「雨漏りあり」と書かれていた家に雨漏りがあっても、契約の内容どおりなので、責任は問えません。
買主が求められる4つのこと
引き渡された家が、種類や品質、数量について契約の内容に合っていなかった場合、買主は売主さんに次のことを求められます(民法562条〜564条)。
- 追完請求:直してもらう
- 代金減額請求:直してもらえない場合などに、代金を減らしてもらう
- 損害賠償請求:損害を賠償してもらう
- 契約解除:契約をなかったことにする
売主が個人なら、責任は特約で短くも、ゼロにもできる
民法の「知ってから1年」は、契約で変えられる
民法では、品質などの不適合について、買主が不適合を知った時から1年以内に売主さんに伝えれば、責任を問えることになっています(民法566条)。ただ、この決まりは当事者の合意で変えられます。
中古住宅は、売主さん自身も建物の状態をすべて分かっているわけではありません。そのため、売主が個人の場合は、責任を負う期間を「引渡しから3か月」に区切る特約や、「責任を負わない」とする免責の特約がよく使われます。築年数が古い家ほど、免責になることが多くなります。
なお、免責の特約があっても、売主さんが知っていながら告げなかった不具合については、責任を免れることはできません(民法572条)。
売主が不動産会社なら「2年以上」が義務になる
売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合は、ルールが変わります。伝える期間を「引渡しから2年以上」とする特約を除き、民法より買主に不利な特約は無効になります(宅地建物取引業法40条)。リノベーション済みの物件を不動産会社から買う場合は、少なくとも2年は守られることになります。
| 売主 | 責任の期間 | 免責の特約 |
|---|---|---|
| 個人 | 特約で決める(引渡しから3か月が多い) | 有効(知っていて告げなかった不具合を除く) |
| 不動産会社 | 引渡しから2年以上 | 無効 |

免責の特約を見分ける3つのポイント
期間:「引渡しから何か月」かを見る
まず、責任を負う期間です。「引渡しから3か月」の場合、春に引渡しを受けると、夏の台風や秋の長雨を経験する前に期間が終わります。雨漏りのように、季節によって初めて分かる不具合は、期間内に見つけられないことがあります。期間が短いほど、契約前の確認の重みが増すと考えてください。
範囲:対象になる不具合が限られていないかを見る
次に、責任の対象になる範囲です。よく使われる契約書のひな型では、対象を「雨漏り」「シロアリの害」「建物構造上主要な部位の木部の腐食」「給排水管の故障」に限っているものが多くあります。
この場合、たとえば断熱の不足や、床のきしみ、建具の不具合などは対象になりません。さらに、給湯器やエアコンなどの付帯設備は、責任の対象外にするか、引渡しから1週間程度の短い期間に限ることが一般的です。
告知:物件状況報告書に書かれたことは、責任の対象外になる
3つ目が、売主さんが記入する「物件状況報告書(告知書)」と「付帯設備表」です。ここに「過去に雨漏りあり」「給湯器は故障中」と書かれていれば、それは契約の内容になります。つまり、あとからその不具合が出ても、責任を問うことはできません。
報告書は形式的な書類に見えますが、守られる範囲を決める大切な書類です。何が書かれていて、何が書かれていないかを、契約の前に担当者と一緒に読み込みましょう。
不具合は契約の前に見つけておく
契約前のインスペクションで、建物の状態を確かめる
ここまで見てきたように、売主が個人の中古住宅では、買ったあとに守られる範囲は限られています。だからこそ、不具合は契約の前に見つけておくのが基本です。
建物の状態を専門家が調べる「インスペクション(建物状況調査)」を契約の前に行えば、雨漏りの跡や構造の傷みを、買う前に把握できます。見つかった不具合は、直す費用を見込んだうえで価格を交渉するか、購入を見送るかを判断できます。契約前のチェックの流れは「「隠れた不具合が怖い」で中古をあきらめない。契約前に見抜く3段階のチェック方法」でまとめています。
既存住宅売買瑕疵保険で、引渡し後の備えをつくる
もうひとつの備えが、既存住宅売買瑕疵保険です。検査に合格した住宅について、構造や雨漏りの不具合が見つかったときの補修費用を保険でまかなう仕組みで、個人が売主の場合でも、検査事業者が加入する形で利用できます。保険期間は5年または1年です。詳しくは「既存住宅売買瑕疵保険とは?買主が得られるメリットをチェック!」を参考にしてください。

しあわせな家では、建築士やリフォーム業の経験を持つ「技術営業」が内覧に同行し、不具合が直せるものか、直すといくらかかるかをその場で判断します。契約書の特約や物件状況報告書も、建物を見たうえで一緒に読み合わせます。
まとめ
契約不適合責任は、引き渡された家が契約の内容と違ったときの売主さんの責任です。ただ、売主が個人なら、期間は特約で「引渡しから3か月」などに短くでき、免責にすることもできます。守られる範囲は、特約の期間と対象、そして物件状況報告書に書かれた内容で決まります。
中古住宅は「買ったあとに守ってもらう」より「買う前に見つけておく」ほうが確実です。気になる物件があれば、契約書と建物を一緒に確かめましょう。初回相談で、契約前に確認しておきたいことを整理するところから始めます。
このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役
積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。




