2026.10.08
その中古住宅、高いのか安いのか。価格が妥当かを「成約事例」と「建物の状態」で判断する方法
中古住宅を探し始めると、同じような広さ、同じような築年数なのに、物件によって価格がばらばらなことに気づきます。「この価格は高いのか、安いのか」「売出し価格でそのまま買わないとダメなのか」と迷ってしまう方は少なくありません。
結論からお伝えします。中古住宅の価格が妥当かどうかは、「近隣の成約事例」と「建物の状態から見た今後の費用」の2つを確かめれば判断できます。価格が判断できない本当の理由は、相場のデータと建物の評価を、同じ人が一緒に見てくれないことにあります。ここでは、相場と建物の両面から価格を確かめる方法を整理します。
目次
なぜ中古住宅の価格は「判断できない」のか
新築マンションを買った人の約2割が「価格が妥当か判断できなかった」
国土交通省の調査によると、三大都市圏で新築マンションを買った世帯の19.4%、新築の分譲戸建を買った世帯の16.1%が、中古住宅にしなかった理由として「価格が妥当なのか判断できなかったから」を挙げています(出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」)。
新築であれば、同じマンションの中で価格の差がはっきりしていて、比べやすいものです。一方、中古住宅は一つひとつの状態が違うため、価格の根拠が見えにくくなります。
掲載価格は、売主の「希望」にすぎない
まず知っておきたいのは、ポータルサイトに載っている価格は、売主が「この価格で売りたい」と考えている希望の価格だということです。実際にその価格で売れるとは限りません。
また、建物の価値を正しく評価できるかどうかは、不動産会社の担当者によって大きく変わります。リノベーションで十分に再生できる建物が、「古いから」という理由だけで土地として売られているケースもあれば、その逆もあります。同じ物件でも、見る人によって評価が変わるのが中古住宅なのです。
相場から価格を確かめる方法
掲載価格ではなく、近隣の「成約事例」と比べる
価格の妥当性を確かめる最初の手がかりは、近くで似た条件の物件が、実際にいくらで売れたかという「成約事例」です。掲載価格同士を比べても、それはあくまで希望価格の比較にしかなりません。成約事例と比べて、掲載価格が相場からどのくらい離れているかを確かめることで、その価格が高めなのか、交渉の余地があるのかが見えてきます。
売り出しからの期間と、価格改定の回数を見る
もうひとつの手がかりが、その物件がいつから売りに出されているかです。売り出しから成約までの期間が長くなるほど、値引きの幅は大きくなります(出典:東京カンテイ)。
| 売り出しから成約までの期間 | 値引きの幅(目安) |
|---|---|
| 1ヶ月以内 | 約2.4% |
| 3ヶ月 | 5.4% |
| 6ヶ月 | 7.4% |
| 12ヶ月 | 9.4% |
3ヶ月を超えると、業者の間でも「売れ残り」という見方が出てきます。掲載期間が半年を超えている物件や、価格の改定が2〜3回行われている物件は、まだ調整の余地があると考えられます。反対に、売り出しから1ヶ月以内の物件や、築浅・リフォーム済みで人気の高い物件は、値引きが難しい傾向にあります。

建物の状態から価格を確かめる方法
安い物件には、必ず理由がある
相場より明らかに安い物件には、必ず理由があります。多いのは、雨漏りやシロアリなどの老朽化、再建築不可などの法的な制約、騒音や臭いといった周辺環境の問題、事故などの心理的な瑕疵、都市ガスが整っていないなどのインフラの不備の5つです。
大切なのは、その理由が自分たちにとって許容できるものかどうかを判断することです。安さの理由が分からないまま買ってしまうと、あとから費用がかさみ、結果的に割高になってしまうこともあります。
リフォーム費用まで含めて「本当の価格」を出す
中古住宅の価格を判断するときは、物件価格だけでなく、これからかかる費用まで含めて考える必要があります。リノベーションでどこまで手を入れるのか、外壁や設備の交換はいつ必要になるのか、マンションなら修繕積立金が適正か(目安は㎡数×250円)。こうした費用を足したものが、その物件の「本当の価格」です。
建物の価格は、戸建なら築20年、マンションなら築30年ほどで下がりきり、底を打ちます。価格が下がりきった物件を、リフォーム費用まで含めて評価できれば、「この価格なら買う価値がある」という判断ができます。しあわせな家の技術営業は、内覧に同行し、内覧のあとすぐにリノベーション費用の概算をお伝えしています。相場と建物の両面から、価格を一緒に判断できるのが私たちの強みです。
価格に納得できないときは、どうすればいいのか
値引きは「値切り」ではなく「根拠のある再調整」
相場や建物の状態から見て価格が高いと感じたら、値引きを相談することもできます。ただし、感覚的な値引きの要求は、売主に嫌がられてしまいます。値引きは「値切り」ではなく、根拠をもとにした「合理的な再調整の提案」です。
根拠になるのは、近隣の成約事例、坪単価の比較、そしてリフォーム費用の概算見積もりです。数字をそろえたうえで、売主の立場を尊重した言い方で提案することが大切です。なお、3,980万円の80万円部分のような端数は、交渉がまとまりやすいラインです。値引き交渉について詳しくは、「プロが解説する中古住宅の値引き交渉について」でまとめています。
価格交渉は、関係づくりでもある
売主が住んでいる物件の場合、その家には家族の暮らしの記憶が詰まっています。内覧で「この壁紙、汚いですね」「この間取りは使いにくいですね」と口にしてしまうと、交渉そのものがうまくいかなくなります。値引きは金額の交渉であると同時に、関係の交渉でもあります。価格だけでなく、引渡しの時期や残置物、猶予期間といった条件を相談するのも有効な方法です。
最後に、価格を確かめるポイントを一覧にまとめます。
| 確かめること | 見るポイント |
|---|---|
| 近隣の成約事例 | 掲載価格が相場からどのくらい離れているか |
| 売り出しからの期間 | 3ヶ月・半年を超えているか |
| 価格改定の回数 | 2〜3回改定されているか |
| 安さの理由 | 老朽化・法的制約・周辺環境・心理的瑕疵・インフラのどれか、許容できるか |
| これからかかる費用 | リフォーム費用・修繕積立金まで含めた「本当の価格」 |

まとめ
中古住宅の価格は、勘で判断するものではありません。近隣の成約事例と売り出しからの期間で相場を確かめ、建物の状態から今後の費用を見積もる。この2つがそろえば、提示された価格が妥当かどうかは判断できます。
しあわせな家は、売買の契約を急ぐ必要のない会社です。だからこそ、「この価格なら買わない方がいい」とお伝えすることもあります。気になる物件があれば、その価格が妥当かどうかを一緒に確かめましょう。初回相談で、物件の価格をどう見ればいいのかを整理するところから始めます。
このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役
積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。




