2026.10.05

機械式駐車場があるマンションは要注意なのか?

中古マンションの資料を見ていると、「駐車場:機械式」という一文を目にすることがあります。車を持っている方なら「駐車場付きは便利」と感じるでしょうし、持っていない方なら「自分には関係ない」と読み飛ばすかもしれません。

結論からお伝えします。機械式駐車場は便利な設備に見えますが、1台あたり月6,000円ほどの維持費がかかり続け、空きが増えるほど管理組合の財政を圧迫します。そしてその影響は、車を持つかどうかに関係なく、所有者全員に及びます。購入前に、駐車場の空き台数、長期修繕計画、修繕積立金の水準の3つを確認すれば、将来の積立金の値上がりや一時金のリスクはかなりの程度まで見抜けます。

機械式駐車場は、なぜ管理組合の負担になるのか

中古マンションの外観

1台あたり月6,000円ほどの維持費がかかり続ける

機械式駐車場は、車を載せたパレットを機械で上下・左右に動かす装置です。安全に動かし続けるためには、定期的な保守点検や部品の交換が欠かせず、いずれは装置の入れ替えも必要になります。こうした費用をならして月々に置き換えた維持費の目安は、1台あたり月6,000円ほどです(出典:しあわせな家セミナー資料「中古住宅購入基礎編 38の数字」)。

たとえば30台分の機械式駐車場があれば、月18万円、年間では216万円になります。日々の点検や修理の支払いと、将来の入れ替えへの備えを合わせて、これだけのお金を駐車場の使用料や管理組合の会計から確保し続けることになります。

いずれ装置そのものの入れ替えが必要になる

機械式駐車場は、装置そのものにも寿命があります。特に屋外にある装置は、雨風にさらされてさびが進みます。いずれは装置全体を入れ替える大きな工事が必要になり、その費用は一度にまとめて出ていきます。月6,000円という目安は、この入れ替えまで見越して毎月備えておきたい金額だと考えると分かりやすいでしょう。それだけの備えができていないと、入れ替えの時期に資金が足りなくなります。

駐車場に空きが多いと、何が起きるのか

使用料が入らなくても、維持費は減らない

車を持たない世帯が増えたり、機械式駐車場に入らない大きさの車を選ぶ人がいたりして、空き区画が目立つマンションもあります。

空き区画からは使用料が入りません。それでも、装置の維持費は台数分かかり続けます。空きが増えるほど、1台あたりの負担は重くなっていきます。

足りない分は、修繕積立金から出ていく

駐車場の使用料は、本来、駐車場の維持費をまかない、残りを修繕積立金に回すためのお金です。使用料収入が減れば、積立金に回るお金が減り、日々の管理費の会計が赤字になれば、その穴埋めも必要になります。こうして管理組合の財政がじわじわと圧迫されていきます。

その結果、修繕積立金の値上げが必要になったり、装置の入れ替えや撤去のタイミングで一時金を集めることになったりします。

撤去するにも、まとまったお金がかかる

「使われていないなら撤去すればいい」と思うかもしれません。ところが、機械式駐車場を撤去して平面の駐車場にするにも、まとまった工事費がかかります。管理組合の総会で所有者の合意を得る必要もあり、話がまとまるまでに何年もかかることがあります。

購入前に、どこを見れば財政状態が分かるのか

駐車場の空き台数と、順番待ちの有無を聞く

まず確認したいのは、駐車場の総台数と、今何台空いているかです。順番待ちが出ているのか、空きが続いているのかで、駐車場が管理組合のお金を生んでいるのか、食っているのかが分かります。これは担当者を通じて、管理会社に確認できます。

長期修繕計画に、駐車場の費用が入っているかを見る

長期修繕計画は、将来の修繕の予定と費用をまとめた計画書です。今の国のガイドラインでは、30年以上の期間で、大規模修繕を2回含む計画を作ることが求められています(出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)。十分な期間の計画があるか、そして5年ごとに見直されているかで、管理組合がきちんと機能しているかが見えてきます。

この計画の中に、機械式駐車場の修繕や入れ替えの費用が入っているかを確認してください。入っていない場合は、将来の大きな出費が計画の外に置かれている、ということです。また、私がこれまで見てきた長期修繕計画では、修繕積立金が10〜15年後に数倍になる計画になっていることがよくあります。今の金額だけで判断しないことが大切です。

修繕積立金が㎡×250円を下回っていないか計算する

修繕積立金が足りているかどうかは、ひとつの目安で確かめられます。専有面積(㎡)×250円です(出典:しあわせな家セミナー資料「中古住宅購入基礎編 38の数字」)。70㎡の部屋なら月17,500円が目安になります。今の修繕積立金がこれを大きく下回っている場合、将来の値上げか積立不足のどちらかが待っている可能性が高いと考えてください。

ただし、この目安は建物本体の修繕のためのものです。機械式駐車場があるマンションでは、その分を上乗せして考える必要があります。㎡×250円をぎりぎり満たしているだけでは、駐車場の費用まで足りているとは言えません。

確認すること 見る資料 注意したい状態
駐車場の空き台数 管理会社への確認 空きが多く、何年も埋まっていない
長期修繕計画 長期修繕計画書 30年に満たない、5年ごとに見直されていない、駐車場の費用が入っていない
修繕積立金の水準 重要事項に関する調査報告書 ㎡×250円を下回っている(駐車場の分の上乗せがない)
管理組合の議論 総会の議事録 駐車場の赤字が話題になっているのに、何も決まっていない

機械式駐車場があるマンションは、避けるべきなのか

車を持たない人にこそ、確認してほしい理由

修繕積立金の値上げや一時金は、車を持っているかどうかに関係なく、所有者全員で負担します。「駐車場は使わないから関係ない」とは言えないのが、マンションという住まい方です。車を持たない方こそ、このリスクを知ったうえで物件を選んでください。

管理組合が手を打っているマンションは、むしろ評価できる

一方で、機械式駐車場があるからといって、すぐに候補から外す必要はありません。空き区画を外部の人に貸し出したり、一部を平面化したりと、すでに議論や対策を進めている管理組合もあります。総会の議事録にそうした話し合いの記録があれば、そのマンションの管理はしっかりしていると評価できます。

大切なのは、駐車場があるかどうかではなく、管理組合がその問題にどう向き合っているかです。マンション管理の見方は「中古マンション購入では「長期修繕計画」「修繕履歴」の確認が大事!」や「住まい選びの注意点②「マンション管理」」でも詳しくまとめています。

事例集を広げて打ち合わせをする担当者とお客様

まとめ

機械式駐車場は、1台あたり月6,000円ほどの維持費がかかり続ける設備です。空きが増えれば管理組合の財政を圧迫し、そのしわ寄せは修繕積立金の値上げや一時金という形で、所有者全員に届きます。購入前に、空き台数、長期修繕計画、修繕積立金の水準を確認することで、そのリスクはかなり見抜けます。要注意なのは、機械式駐車場があること自体ではなく、その費用に管理組合が備えていないことです。

ただ、長期修繕計画や総会の議事録は、慣れていないと読み解くのが難しい資料です。物件を売ることが目的ではない私たちなら、良いところも気になるところも、そのままお伝えできます。気になるマンションの長期修繕計画、一緒に読んでみませんか。初回相談で、その物件を選んでいいのかどうか、一緒に整理するところから始めましょう。

このコラムを書いた人:山田 篤 (株)しあわせな家 代表取締役

積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。
甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求しています。

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