2026.07.27

「収納が多い」はずなのに使いにくい家がある理由

中古住宅の物件情報を見ていて、「収納たっぷり」「収納豊富」という言葉に安心したことはないでしょうか。実際に内覧しても、扉の数や押し入れの広さを見て「これなら十分」と判断し、そのまま契約に進む方も少なくありません。ところが住み始めてから、「洋服が奥までかけられない」「布団を入れたら扉が閉まらない」といった不満が出てくることがあります。

結論からお伝えすると、収納の使いやすさは個数や帖数(広さ)では測れません。実際に物が収まるかどうかを決めているのは「奥行」です。洋服をかけるなら600mm以上、押入なら幅1820mmが標準的な目安になります。この数字を知っているかどうかで、内覧のときに見るべき場所がまったく変わってきます。

「収納が多い」はずなのに使いにくい家がある理由

収納は「個数」や「帖数」では測れない

物件情報でよく目にする「収納2箇所」「ウォークインクローゼット2畳」といった表現は、あくまで個数や面積を示しているにすぎません。㎡数を1.65で割ると帖数の目安になりますが、この計算式も広さを表すだけで、実際に何がどれだけ収まるかまでは教えてくれません。同じ2畳のクローゼットでも、奥行が浅ければ服を並べて収納することができず、結果として使い勝手の悪い空間になってしまいます。「収納2箇所」という表現だけを見て安心し、それぞれの奥行まで確認しないまま決めてしまうと、住み始めてから想定と違うということが起こります。

内覧で見落としがちな「奥行」という視点

内覧の場では、収納の扉を開けて「広さ」を確認する方は多いのですが、奥行まで意識して見る方は意外と少ないものです。パンフレットや間取り図には「収納」とだけ書かれていて、奥行の数字までは載っていないことがほとんどです。限られた内覧時間の中では、リビングの広さや水回りの状態に目が行きがちで、収納の奥行にまで気を配る余裕がないのも無理はありません。だからこそ、現地で自分の目と手で確認する価値があります。

クローゼットの奥行はどこまで確保されているべきか

洋服をかけられる最低ラインは奥行600mm

洋服をハンガーにかけて収納する場合、奥行600mmが確保されているかどうかが一つの基準になります。ハンガーにかけた服の厚みと、扉を閉めるためのゆとりを考えると、これより浅い空間では洋服を奥までしっかりかけることが難しくなります。

600mm未満だとどうなるか

奥行が600mmに満たないクローゼットでは、ハンガーが扉に干渉してしまい、結局は手前の一部しか使えないということが起こりがちです。棚板や扉の分だけ内寸はさらに狭くなるため、寸法上は十分に見えても、実際に服を並べてみると想定より入らない、ということが起こります。特にコートやダウンジャケットのように厚みのある服は、奥行が浅い収納だと扉自体が閉まらなくなることもあります。内覧時に「広そう」と感じたクローゼットほど、あとで奥行の浅さに気づいて後悔することがあります。

押入・和室収納は基準の考え方が変わる

押入の標準幅は1820mm

和室にある押し入れの場合、クローゼットとは異なる基準で見る必要があります。一般的な押入の幅は1820mmが標準です。この幅を基準に、実際の物件がどれだけ確保されているかを比較すると、押入の実用性が見えてきます。

布団・季節家電をしまうなら幅と奥行の両方を確認する

布団や季節家電のように、たたんで奥にしまうタイプの収納は、幅だけでなく奥行も合わせて確認することが大切です。幅は標準的でも奥行が浅ければ、布団を重ねて入れたときに扉が閉まらない、ということも起こり得ます。逆に奥行が十分にあっても幅が狭ければ、扇風機や季節家電のような大きさのあるものは入れにくくなります。収納するものの種類によって、見るべき寸法が変わることを知っておくと、内覧時の判断がぶれにくくなります。

収納の種類 見るべき寸法 目安
クローゼット(洋服) 奥行 600mm以上
押入(布団・季節家電) 1820mm

内覧時に収納をどう見ればいいか

メジャー1本あれば奥行は測れる

収納の奥行は、内覧の際にメジャーを1本持っていくだけで確認できます。特別な道具や専門知識がなくても、扉を開けて奥行を測るだけで、その収納が「服をかけられるレベルか」「布団をしまえるレベルか」が判断できます。メジャーを忘れてしまった場合でも、持ち歩いているものの長さを目安に大まかに測ることはできますが、正確に判断したいなら数字で確認するのが一番確実です。数字で確認できる部分があるというだけで、内覧の安心感はかなり変わってきます。

リノベで変えられる収納・変えられない収納の違い

奥行が足りない収納であっても、リノベーションで解決できる場合とできない場合があります。壁の位置や配管、構造によって変更できる範囲は物件ごとに異なるため、その場で判断するには建物の知識が必要です。壁を動かすことが難しい場合でも、空間の形に合わせてオーダーメイドで作る造作家具であれば、限られた奥行の中でもぴったりサイズの収納に造り替えられることがあります。

しあわせな家の担当者は「技術営業」と呼ばれ、建築士やリフォーム業の経験を持っているため、内覧のその場で「この収納は広げられるか」「造作で解決できるか」まで含めて判断できます。宅地建物取引士としての知識だけを持つ一般的な担当者では、ここまでの判断は難しいのが実情です。

まとめ

収納は「個数が多いか」「広く見えるか」ではなく、奥行という具体的な数字で判断できる部分があります。洋服なら600mm、押し入れなら幅1820mmという基準を知っているだけで、内覧で見るべき場所がはっきりします。「収納たっぷり」という言葉に安心する前に、その言葉が個数の話なのか、奥行まで含めた使い勝手の話なのかを、自分の目で確かめる習慣を持っておくと安心です。

次に内覧に行くときは、メジャーを1本持っていってみませんか。もしよろしければ、初回相談で、収納も含めた物件の見方について、担当者と一緒に整理するところから始めることもできます。

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