2026.10.03
中古住宅の内覧で見るべきポイントとチェック方法|メジャー1本で分かる寸法の 目安
気になる中古住宅が見つかり、初めて内覧の予約を入れたとき、「当日はどこを見ればいいのだろう」と迷う方は少なくありません。日当たりや内装のきれいさに目が行くのは自然なことですが、それだけでは、住み始めてから「洋服がかけられない」「冷蔵庫が入らない」と気づくことになりかねません。
結論からお伝えします。内覧は雰囲気を見る場だと思われがちですが、実はメジャー1本で「数字」を確かめる場です。収納の奥行600mm、キッチンの通路幅800mmといった一般的な寸法を先に知っておけば、その物件が平均より上か下かを、その場で判断できます。そして、基準より小さい寸法が見つかったときに、それがリノベーションで変えられるものかどうかを見極めることが、物件選びの分かれ目になります。ここでは、内覧の当日にどこを、どう測ればいいのかを順番に整理します。
目次
内覧の前に、何を準備しておけばいいのか
持ち物はメジャーと間取り図とスマートフォン
内覧に持っていきたいのは、メジャー、物件の間取り図、そしてスマートフォンの3つです。間取り図には測った数字をその場で書き込みます。スマートフォンでは、測っている様子をメジャーの目盛りごと写真に残しておくと、帰宅してから複数の物件を比べるときに役立ちます。
売主が住んでいる物件の場合は、測ってもいいか、担当者を通して先にひと声かけておくと気持ちよく進められます。
物件情報の㎡数を、帖数に直しておく
物件情報に書かれている部屋の広さは㎡数のことが多く、そのままでは広さの感覚がつかみにくいものです。「お部屋の㎡数÷1.65=帖数」で、帖数に直してから内覧に行きましょう。たとえば20㎡の部屋なら、おおよそ12帖です。
私たちがセミナーでお伝えしているのは、「平均的な数字を知ることで、ハイレベルを見極められる」ということです。これから紹介する数字は、どれも「一般的な住宅ならこのくらい」という目安です。目安を知っていれば、目の前の物件がそれより広いのか狭いのかが分かります。
廊下や天井の高さは、どう確かめればいいのか
廊下や階段の幅は910mmが基準になっている
日本の住宅では、910mmが家を造るときの一般的な単位になっています。廊下や階段の幅も、この910mmを基準に決められていることが多くあります。
注意したいのは、戸建はこの尺貫法で造られるのが普通ですが、マンションはそうではないという点です。マンションは設計ごとに寸法の決め方が違うため、「廊下なら910mm」と思い込まず、実際に測ってみることが大切です。大きな家具や家電を運び入れられるかも、廊下の幅で決まります。
天井の高さは、戸建とマンションで100mm違う
一般的な天井の高さは、戸建で2400mm、マンションで2300mmです。わずか100mmの差ですが、部屋に入ったときの開放感はかなり変わります。
内覧では、床から天井までメジャーを伸ばして測ってみてください。目安より高ければ、それはその物件の長所です。

収納は、幅よりも奥行を測る
押し入れの幅は1820mmが標準
和室の押し入れは、幅1820mmが標準です。これは先ほどの910mmのちょうど2つ分にあたります。測ってみて1820mmより狭い押し入れは、布団を入れるにも窮屈に感じるかもしれません。
奥行600mmがないと、洋服がかけられない
収納でいちばん測ってほしいのは、幅よりも奥行です。洋服をハンガーでかけるには、奥行が600mmは必要です。これに届かない収納は、洋服をかける場所としては使えません。
間取り図では、収納の幅はなんとなく分かっても、奥行はほとんど分かりません。見た目に大きなクローゼットでも、奥行が足りずに「洋服をかけられない収納」だったということは珍しくありません。押し入れをクローゼットに変えるリノベーションを考えている場合も、まず奥行を確認しておきましょう。
キッチン・お風呂・洗面所は、どこを測ればいいのか
キッチンは幅・奥行・通路幅の3か所を測る
一般的なキッチンは、幅が2400mm、奥行が650mmです。そして、キッチンと背面の壁や食器棚との間の通路幅は、800mmが一般的です。
ただし、通路幅800mmは、2人で並んで作業するには狭い寸法です。夫婦で一緒に料理をすることが多いご家庭なら、通路幅は必ず測っておきたいところです。

冷蔵庫と食器棚が置けるかを、奥行で確かめる
キッチンでもうひとつ確かめたいのが、冷蔵庫と食器棚を置く場所です。冷蔵庫は奥行650mm、幅700mm前後のものが多く、食器棚の奥行は450mmが目安です。今使っている冷蔵庫や、これから買いたい冷蔵庫のサイズを控えておき、置き場所の奥行と幅を測って照らし合わせましょう。
冷蔵庫や食器棚を置いたぶん、通路幅は狭くなります。置いたあとにどのくらいの幅が残るかまで考えておくと、暮らし始めてからの使い勝手が具体的に想像できます。
お風呂と洗面台は、サイズの呼び方を知っておく
お風呂の大きさは「1616」「1418」といった4桁の数字で表されます。一般的な戸建のお風呂は1616、マンションは1418です。物件情報や設備の資料にこの数字があれば、一般的な大きさと比べる目安になります。
洗面台は幅750mmが一般的です。朝の身支度が家族で重なるご家庭なら、この幅で足りるかを考えてみてください。
最後に、内覧で測りたい場所と目安を一覧にまとめます。
| 測る場所 | 一般的な目安 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 廊下・階段の幅 | 910mm | 家具・家電を運び入れられるか |
| 天井の高さ | 戸建2400mm/マンション2300mm | 目安より高ければ長所 |
| 押し入れの幅 | 1820mm | 布団が無理なく入るか |
| 収納の奥行 | 600mm | 洋服をハンガーでかけられるか |
| キッチンの幅・奥行 | 幅2400mm/奥行650mm | 作業スペースが足りるか |
| キッチンの通路幅 | 800mm | 2人で作業するなら狭い |
| 冷蔵庫置き場 | 奥行650mm・幅700mm前後 | 手持ちの冷蔵庫が入るか |
| お風呂 | 戸建1616/マンション1418 | 浴室の広さの目安 |
| 洗面台の幅 | 750mm | 家族の身支度が重ならないか |
基準より小さかったら、その物件はやめるべきか
リノベーションで変えられる寸法と、変えにくい寸法がある
測ってみて基準より小さい寸法が見つかっても、それだけで候補から外す必要はありません。収納の奥行や間取りは、リノベーションで変えられることが多いからです。
一方で、変えにくい寸法もあります。たとえばキッチンのそばにパイプスペース(配管を通すための縦の空間)があると、通路幅を広げられないことがあります。マンションでは、配管が下の階の天井裏を通っていると、配管の交換工事が実質不可能に近くなります。戸建でも、ツーバイフォー工法の家は壁そのものが建物を支えているため、壊せない壁が多くなります。同じ「狭い」でも、直せる狭さなのか、直せない狭さなのかで、その物件の価値はまったく変わります。
数字の意味を、その場で判断できる人と内覧する
寸法を測ることは、メジャーがあれば誰にでもできます。難しいのは、その数字をリノベーションでどこまで変えられるのか、いくらかかるのかを判断することです。
物件の内覧に同行するのは、通常は不動産会社の担当者だけで、リフォーム会社はその場にいません。しあわせな家では、建築士やリフォーム業の経験を持つ技術営業が内覧に同行し、内覧のあとすぐにリノベーション費用の概算をお伝えしています。「この収納は奥行が足りないけれど、ここまで広げられます」という判断を、その場でできるのが私たちの強みです。
内覧で売主や担当者に何を聞いておくべきかは、「中古住宅の内覧で忘れずに聞くことは? 内覧ポイントやマナーも確認」にまとめています。「聞くこと」と「測ること」の両方をそろえておくと、内覧の精度はぐっと上がります。

まとめ
内覧は、雰囲気を感じるだけの場ではありません。収納の奥行600mm、キッチンの通路幅800mm、天井の高さ2400mmといった目安を知り、メジャーで測ることで、「なんとなく良さそう」が「ここは平均より広い」「ここは狭いけれど直せる」という具体的な判断に変わります。
そして、その数字が変えられるものかどうかを見極めるには、建物の知識が欠かせません。気になる物件の内覧に行く前に、一度お話を聞かせてください。初回相談で、物件のどこを見ればいいのかを一緒に整理するところから始めましょう。
【このコラムを書いた人】
山田 篤:㈱しあわせな家 代表取締役

積水ハウスで13年、起業して18年。「中古住宅購入×リノベーション」を軸に、売上高ではなくサービスの質で日本一を目指す。甘い社名とのギャップが大きい「技術営業」という名のゴリゴリの目利き集団を率いて、「お客様のしあわせな家」を追求している。





