2026.09.21
変動金利と固定金利、結局どちらを選ぶべきか
住宅ローンを組むにあたって、「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶべきか、決めきれずに立ち止まっている方は少なくありません。特に「今は金利が上がっている局面らしい」という話を耳にすると、なおさら判断がつかなくなるものです。周りの人に聞いても「変動でいい」「いや今は固定にすべき」と意見が割れ、結局どちらを選べば後悔しないのか、答えの出ないまま契約日が近づいてくることもあります。
結論からお伝えすると、変動金利と固定金利のどちらが得かという答えは、実は後になってみないとわかりません。それよりも大事なのは、金利が上がったときに、その負担増を自分の家計が無理なく吸収できるかどうかです。「得か損か」という比較のしかたそのものを一度脇に置き、順番に整理していきます。
目次
変動金利と固定金利、そもそも何が違うのか
「基準金利」はどうやって決まっているのか
住宅ローンの基準金利(店頭金利)は、短期プライムレートに一定の利率を上乗せする形で決まっており、短期プライムレートは令和8年11月2日から2.625%に引き上げられる予定です。短期プライムレートは各金融機関の資金調達コストなど経済情勢を反映して動くため、基準金利も一度決まったら固定されているものではなく、時間とともに動く前提のものだと理解しておく必要があります。変動金利型のローンは、この基準金利に連動して一定のタイミングで金利が見直される仕組みです。一方、固定金利型は借入時点の金利が、完済までそのまま適用されます。
| 変動金利 | 固定金利 | |
|---|---|---|
| 金利が決まるタイミング | 借入後も定期的に見直し | 借入時点で完済まで固定 |
| 借入時点の金利水準 | 相対的に低めのことが多い | 相対的に高めのことが多い |
| 将来の金利上昇リスク | 借り手が負う | 金融機関側が負う |
変動と固定は「将来の不確実性を誰が負うか」の違い
変動金利は将来の金利上昇リスクを借り手が引き受ける代わりに、借入時点の金利が固定金利より低めに設定されているのが一般的です。固定金利は金融機関側がそのリスクを引き受ける代わりに、あらかじめ高めの金利が設定されています。「金利が変わる・変わらない」という表面的な違いだけでなく、「将来の不確実性をどちらが引き受ける契約か」という性質の違いとして捉えると、選ぶときの軸が見えてきます。
なぜ今、急に金利の話が気になり始めたのか
基準金利が上がると、返済額はどう変わるのか
基準金利が上昇すると、変動金利型のローンを組んでいる場合、次の金利見直しのタイミングで返済額に反映される可能性があります。多くの金融機関では、返済額の急激な増加を避けるための緩和措置(見直し幅や返済額の上限を一定期間抑える仕組み)が設けられていますが、これは負担が消えるという意味ではなく、先送りされているだけだと理解しておく必要があります。
「今後金利は上がるか」を予想することに意味はあるのか
今後の金利動向を正確に予想することは、専門家であっても簡単ではありません。「上がるか下がるか」を当てにいく発想では、いつまでも答えの出ない議論になりがちです。それよりも、「上がった場合にどう対応するか」をあらかじめ決めておくことの方が、実務的には意味のある備え方になります。
「得か損か」で選ぶと、判断を誤りやすい理由
過去の実績だけでは、これからも同じとは言えない
過去の一定期間を振り返ると、平均的には変動金利を選んだ方が総返済額を抑えられた、というデータが紹介されることがあります。ただし、これはあくまで結果として振り返った数字であり、これから借りるローンについて同じ結果になる保証はありません。金利が低い局面が長く続いた過去の実績を根拠に「これからも変動が有利」と決めつけるのは、これから始まる35年という長い返済期間を考えると、判断材料として心もとないものです。「過去はこうだったから」という理由だけで金利タイプを決めるのは、実は根拠として弱いということです。
本当に見るべきは「上がったときに家計が耐えられるか」
変動金利と固定金利のどちらが得かという議論は、将来の金利を正確に言い当てない限り答えが出ません。それよりも実務的に意味があるのは、「もし返済額が一定程度上がったとしても、家計が無理なく耐えられるかどうか」という視点です。得か損かという土俵で比較するのではなく、家計の耐性という土俵で考えると、選ぶべき方向が見えやすくなります。

金利タイプを選ぶ前に、家計側で確認しておきたいこと
返済額が上がっても大丈夫か、実際に試算してみる
試算の目安になるのが「返済負担率」という考え方です。現在の住宅金融支援機構の基準では、年収に対する返済比率は35%まで借りられるとされていますが、これはあくまで審査に通る上限であり、無理なく返せる水準とは意味が違います。かつての住宅金融公庫の基準では、返済比率は年収の20%までが目安とされていました。金利が上がって返済額が増えても生活を維持できるかどうかは、審査上の上限ではなく、この20%前後という水準を基準に試算しておくと、より安心できる判断がしやすくなります。教育費や老後資金など、住宅ローン以外にかかる将来の支出も含めて考えると、より実態に近い判断ができます。
ファイナンシャルプランナーの視点も持つ担当者と試算する違い
一般的な不動産会社の担当者は宅地建物取引士としての知識を持っていても、資金計画全体を専門的に試算する訓練までは受けていないことがほとんどです。しあわせな家の技術営業は、宅地建物取引士に加えてファイナンシャルプランナーの資格も持っており、金利タイプの選択を含めた資金計画全体を、物件探しと同じ担当者が一緒に試算できることが特徴です。「借りられる額ではなく返せる額から逆算する」という考え方は、35年という借入年数を検討するときだけでなく、金利タイプを選ぶときにも共通しています。

まとめ
変動金利と固定金利のどちらが正解かという問いに、絶対的な答えはありません。大事なのは、金利が上がったときに自分の家計がどこまで耐えられるかを、具体的な数字で把握しておくことです。得か損かという比較に答えを求め続けるより、自分の家計の実情に合わせて判断できる材料を持つ方が、結果として納得のいく選び方につながります。
しあわせな家では、物件を内見する前の段階から、資金計画についての相談を受け付けています。先に物件を決めてから金利タイプを検討すると、どうしても「今更変えられない」という前提で考えてしまいがちです。まずは資金計画から一緒に整理しておくことで、無理のない選び方が見えてきます。
まずは初回相談で、今検討している借入額や返済計画について、担当者と一緒に整理するところから始められます。





