2026.05.14

「旧耐震マンション」は不安だから、検索条件から外すのが正解か?

中古マンションを探していると、「旧耐震だから危ないのでは」という不安にぶつかることがあります。1981年より前に建てられたマンションを、検索条件から外している方も多いのではないでしょうか。

実は、旧耐震のマンションが一律に危険というわけではありません。阪神淡路大震災のデータを見ると、旧耐震マンションの8割は軽微な損傷か、まったく損傷がなかったという記録が残っています。とはいえ、数字だけを見て「じゃあ大丈夫」と即断してしまうのも早計です。今回は、この数字が何を意味しているのか、そして旧耐震マンションとどう向き合えばいいかを、順番に整理していきます。

「旧耐震」とはいつより前に建てられたマンションのこと?

1981年6月が新耐震基準の分かれ目

1981年6月、建物の耐震基準が大きく見直されました。この年を境に、それ以前の基準を「旧耐震」、それ以降を「新耐震」と呼びます。旧耐震基準は震度5程度の地震を想定したものでしたが、新耐震基準ではこれよりも大きな地震に耐えられるよう、基準そのものが引き上げられています。

判断基準は「新築年月日」ではなく「建築確認申請日」

ここで見落としやすいのが、新耐震か旧耐震かを分けるのは「新築年月日」ではなく「建築確認申請日」だという点です。建築確認申請から実際の完成まで時間がかかることがあるため、築年数だけを見て判断すると、実際の耐震基準を取り違えることがあります。物件情報を確認する際は、建築確認日がいつだったかを担当者に確認しておくとよいでしょう。「築年数を見れば耐震基準がわかる」という思い込みは、中古マンション選びで意外とつまずきやすいポイントです。

旧耐震のマンションは本当に地震に弱いのか

阪神淡路大震災のデータで見る実際の被害

阪神淡路大震災時のマンション被害状況を見ると、旧耐震のマンションであっても、軽微な損傷または損傷なしだった割合は80.5%にのぼります(出典:東京カンテイ「旧耐震と新耐震 阪神淡路大震災 兵庫県下8市のマンション被害状況」)。震度7クラスの揺れを経験しても、旧耐震マンションの8割は大きな被害を受けなかったということです。数字だけを見ると意外に思われるかもしれませんが、これは実際に記録として残っているデータです。「旧耐震=即・危険」というイメージと、実際の被害データの間には、これだけの開きがあります。

新耐震でも壊れることがあるという事実

一方で、1981年以降の新耐震マンションでも、大破・中破が1.6%発生しています(出典:同上)。新耐震だから絶対に安全、旧耐震だから絶対に危険、という単純な話ではないということです。数字だけを比べれば新耐震のほうが被害の割合は低いものの、「新耐震なら何も確認しなくていい」という考え方も、実は正確ではありません。築年数の分類だけで機械的に判断するのではなく、個別の建物の状態を見る視点が、旧耐震・新耐震どちらの物件を検討する場合にも必要になります。

旧耐震マンションを選ぶときに見るべきポイント

個別の管理状態・立地でリスクは変わる

同じ旧耐震のマンションでも、管理組合がどのように建物を維持してきたか、どのような土地に建っているかによって、実際のリスクは大きく変わります。管理規約や長期修繕計画案を確認すれば、修繕がきちんと積み重ねられてきたかどうかが見えてきます。逆に、閲覧を渋る管理組合や、計画そのものが作られていないマンションは、そのこと自体が管理状態を判断する材料になります。

専門家が現地で確認しているチェックポイント

一般的な不動産会社の担当者は宅地建物取引士で、法律と書類の専門家ではあっても、建物の構造や劣化を判断する訓練は受けていません。しあわせな家の担当者は「技術営業」と呼ばれ、二級建築士・宅地建物取引士に加えて、ファイナンシャルプランナー、JSHI公認ホームインスペクター、リノベーションコーディネーターといった資格を持ち、建物そのものを見る目を持っています。

図面の有無、リフォーム履歴(特に外装)、擁壁の状態、配管の経路など、宅建士だけでは判断が難しい部分まで現地で確認したうえで、旧耐震という分類だけでなく、その建物が実際にどういう状態にあるかを判断します。旧耐震かどうかは検討の入り口にすぎず、そこから先を専門家と一緒に見ていくことが本当の見極めです。

「安いから」だけで判断する前に知っておきたいこと

安さの裏にある理由は旧耐震だけではない

中古住宅の価格が相場より安い場合、その理由は旧耐震であること以外にも、いくつかのパターンがあります。老朽化(雨漏り・シロアリ・構造劣化)、法的な制約(再建築不可・違反建築)、周辺環境のネガ(騒音・臭気・嫌悪施設)、心理的瑕疵(事故・事件歴)、インフラの不備(下水未整備・LPガスのみ)といった要因です。旧耐震という条件だけを理由に価格を見ているとすれば、本当の理由を見落としているかもしれません。

理由を許容できるかどうかを見極める視点

大事なのは、安さの理由が何であれ、それを自分が許容できるかどうかを判断することです。旧耐震というだけで検討から外してしまうと、状態の良い物件を見逃してしまう可能性もあります。逆に、理由を正しく理解したうえで「これなら許容できる」と納得して選ぶのであれば、それは十分に合理的な選択です。

まとめ

旧耐震のマンションは、一律に危ないと決めつけるものではなく、個別に見極める対象です。築年数の分類だけでなく、建物の実際の状態を確認できる目を持つことが、後悔しない中古マンション選びにつながります。逆に言えば、その目を持たないまま検索条件を狭めてしまうと、本当は状態の良い選択肢まで最初から除外してしまうことになりかねません。

この物件、一緒に見極めてみませんか。旧耐震かどうかで迷っている段階でも構いません。まずは初回相談で、気になっている物件やこれからの探し方について、担当者と一緒に整理するところから始められます。

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