和のしつらえで心豊かに暮らす、
仲間と演奏を楽しむ家。

横浜市中区 Y邸
マンション
横浜市中区 Y 様 中古マンションを中規模リノベーション 家族構成:一人暮らし 築年数:20年  

子供のころから音楽に親しんできたYさん、将来家を持つなら、グランドピアノが弾ける家で暮らしたいと思っていました。緑に囲まれた閑静な住宅地に、本格的な防音室を備えた、思う存分演奏を楽しめるお部屋ができました。心に豊かさが生まれるような和のしつらえの住まいです。

  • 売買担当 高田 邦穂
  • リフォーム担当 望月 陽介

横浜市中区 Y邸

和風過ぎないちょうどいい「和の家」。

南部鉄器で湯を沸かし、急須でお茶を入れる。時には抹茶を点てることもあるというYさん。お部屋に置いてあるものを見ただけでも、その心豊かな暮らしぶりが伝わってきます。
リノベーションに「和」を取り入れたいと希望されていたYさん、畳の部屋に憧れがあったそう。「以前から古いものが好きでした。昔からよく旅行していて、旅先で見た古民家のデザインに心惹かれました。自分の家を持つなら畳がある家がいいなと思っていました。」
家を購入する上で大前提にあった条件が、「グランドピアノが入れられる防音室がつくれる家」。グランドピアノがある和テイストのお部屋の構想が始まりました。和風過ぎず、西欧のものともマッチするレトロなお部屋。Yさんお好みのアイテムが散りばめられた、心和むお住まいになりました。

防音室をつくるために適した物件探し。

Yさんとのお付き合いの始まりは、しあわせな家ウェブサイトからのお問い合わせでした。
「防音室のことを検索していて、こちらに辿り着きました。専門業者とコラボして本格的な防音室も出来るというお話が聞けて、安心しました。」とYさん。
まず始めたのは物件探し。防音室をつくるためには、物件の選定がとても重要です。特にマンションなど集合住宅では、音に関する問題がないか、部屋の構造は防音室をつくるのに適しているか、チェックするポイントが多くあります。こちらの物件は、管理がよく、建物の構造も防音室をつくっても大きな窓が2面取れるベストな形でした。「ここは建物も気に入りましたが、目の前に大きな公園があって周辺環境がいいんです。窓から光がたくさん入って、緑もよく見えます。」とYさん、よく散歩に行かれるそう。静かな立地でも、防音室があれば気兼ねなくピアノが弾けますね。

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スイス漆喰の白い壁をプロジェクターの投影場所に。配信動画も大画面で楽しめます。

リビング奥のスペースは、Yさんが一番くつろげるという畳の空間、ここで過ごす時間が一番長いそう。白い壁はすべてスイス漆喰で、味がありながらも表情を出しすぎないフラットな仕上げに。プロジェクターの投影場所にすることを想定したプロの仕上げです。両サイドにスピーカーを設置、配信で映画を観たり、日常的に投影して楽しまれているそう。無垢の天板が素敵なこちらのコタツは、Yさんこだわりのオーダーメイド、暖かい季節はローテーブルとして使えます。

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くつろぎスペースは昔ながらの「い草の畳」、床板で囲んで空間の締まりをつくります。

近年の住宅には、色や柄を楽しめるデザイン畳や、和紙製などの縁なし畳が使われることが多くなりました。しかしYさんが選ばれたのは、昔ながらのい草の畳、熊本産の本格高級畳です。畳縁は伝統的な麻の葉柄、本物ならではのい草の香りに癒されます。周囲のタモ材、フローリングはオーク、周りを囲むことで空間の締まりをつくっています。スピーカーやストーブを置く場所としても安定感があって安心。畳は座って過ごす場所なので、実際の天井の高さ以上に開放感を感じます。

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Pick Up

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大正時代のものも、現代のものも、
イメージをレトロな和で統一して。

古い建物が好きなYさん、ご自身でも古道具専門店に足を運び、レトロなアイテムを取り入れていきました。
選んだアイテムは、実際に古いものばかりではありません。ダイニングの照明器具(写真右下)は大正時代のヴィンテージですが、畳スペースの照明器具(写真左上)は現代のものです。乳白のシェードとデザインのテイストが合っているので、時代を超えて違和感なく馴染んでいます。
レトロなデザインは人気で、ヴィンテージ風を扱う専門店も多くあります。高価な本物のヴィンテージで揃えなくても、テイストを統一して選ぶことで、無理なくレトロな雰囲気のお部屋づくりが叶います。

LDKのスペースを最大限に活かす、あえての壁付けキッチン。

既存のキッチンは対面式で、現在テーブルがある位置に、空間を隔てる形で配置されていました。その分リビングが狭くなってしまい、お一人暮らしでは勿体無い空間の使い方です。あえてキッチンを壁付けにすることで、無駄なくスペースを活用、動線をシンプルにして使い勝手もよくなりました。冷蔵庫はリビングから見えないよう、壁をつくって隠しています。この部分は収納スペースにもなっていて、壁の一部にマグネットが付けられる工夫つき。キッチン横の動かせないパイプスペースも利用して、縦長の収納をつくりました。小さなスペースも無駄にしないデザイン設計です。

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丁寧な造作を施して、空間デザインに合わせたキッチンをつくる。

Yさんが選ばれたキッチンは、ブラックチェリー柄とステンレス、ポイントの黒の組み合わせがカッコいい、シンプルなデザインのもの。並ぶ形で、家電・ダストボックスの収納場所となる棚を造作しました。大工さんによる現場造作なので、キッチンと一体化したピッタリサイズの丁寧な造りです。側面にもタイルを贅沢に施しました。キッチン本体はシンプルでクールなデザインですが、Yさん好みのタイルや、壁面収納の造作を加えたことで、部屋の雰囲気にマッチした佇まいになりました。

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Pick Up

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壁の中の空間を活かした、
外見より奥に広い「ニッチ吊り戸棚」。

キッチンの壁面収納として採用した吊り戸棚は、設置時にひと工夫がされています。壁の中の空間を有効活用して、壁側に埋め込む形で、キッチン側に出る奥行きを少なくしています。キッチンに立つ時の圧迫感を軽減しつつ、収納を多く確保できます。
この場所は和のお茶セットの定位置。急須や茶筒、抹茶道具など、たっぷり収納できました。日常的に使うものをサッと出し入れできる位置に収納することで、使い勝手がグッとよくなります。
ベージュのタイルで柔らかい印象になったキッチンに、白い扉がアクセントになってデザインも引き締まりました。

レトロな“ダイヤガラス”が懐かしい、ラワンベニヤのこだわり建具。

リビング入り口の扉は、素朴な表情のあるラワンベニヤを使った建具です。Yさん邸にぴったりのものをと、リフォーム担当望月がこだわり抜いてご提案したもの。「古風な建具がわたしも好きで、はじめはよく利用する時代家具を扱う店で探そうと思ったのですが、Yさん邸には和に寄り過ぎて合わないと感じました。そこで今回依頼したのは、町の小さな建具屋さんです。素材を選んで完全オリジナルでつくってもらいました。」 ガラスは昭和型板ガラスの一つ“ダイヤガラス”、ノブはハンコックのアンティークブラス、額縁の面取り形状など細部までこだわった造りです。扉を開けると珈琲道具を納めるオープンラックがあり、レトロなカフェのような雰囲気です。

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グランドピアノがリビングに溶け込む、本格的な防音室。

Yさん邸の防音室の最大の特徴は、リビングに溶け込む形で設置されていることです。閉鎖された防音室ではなく、クリアなサッシで仕切ることで、リビングでは美しいグランドピアノが視界に入り、防音室の中でも閉塞感がありません。二重構造のサッシや換気システムは防音室専用もので、閉めるとほとんど中の音は聞こえません。
今回の防音専門業者さんはYさんのご紹介、設置に問題点などないか、リノベーションと連携をとってもらえるか、まずはお会いしてご相談するところから始まりました。「密に連携をとってもらえたので、床や壁の素材をリビングと揃えたり、希望がちゃんと反映できてよかったです。」とYさん。

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書斎スペースと隔てる防音室の壁は、音の反響を考えて斜めにつくりました。

壁を斜めにすると音の反響がよくなるとの専門業者さんのアドバイスで、書斎との間の壁を斜めにつくりました。もともとここは洋室が一つあったところですが、窓際にデスクを造作し、壁で防音室と仕切ることで、書斎スペースをつくりました。壁を斜めにしたことでリビング方向に書斎も広くなり、より使い勝手のいい形になりました。こちらの防音室は浮き床を採用し、建物に振動が伝わらないように設計された本格仕様。必要遮音性能のレベルによっても構造は異なります。グランドピアノも今回新調したもの。「音のトラブルが起きたら弾けなくなってしまうので、本格的な防音室ができて本当によかったです。まだ夜間は様子見ながら弾いてます。」と慎重なYさんです。

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引き戸やニッチ棚を活用して、狭く感じさせない洗面スペースに。

キッチンのサイズを優先したことで、洗面スペースは既存より狭い設計になりましたが、狭さを感じさせないデザインに出来上がりました。廊下側にしかなかった出入り口をキッチン側にもつくり、動線を効率的にする引き戸を設置しました。引き戸を開けていれば、LDKとつながる空間となり、狭さは全く感じません。壁の空間を利用してニッチ棚を設置、収納もたっぷりです。ミラーは余った床材で大工さんが造作してくれました。タイルはキッチンのものと色違い、カウンターはタモの集成材で造作。鳥好きのYさんの小物使いが楽しい世界観をつくっています。メーカーのオプションで選んだ収納の取手も可愛いアクセントです。

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収納扉とお揃いの板でコーナー飾り棚も造作。
可愛いポイントができました。

トイレは、TOTOのキャビネット付きのトイレに交換、上の吊り戸棚は扉だけ交換しました。扉はタモの集成材で造作、現場で合わせてカットしているので、サイズピッタリに仕上がります。Yさんのご希望でコーナーに小さな飾り棚も造作、小鳥の置物が可愛く座っています。
Yさんも最後まで迷ったという壁紙は、サンプルを取り寄せて選んだもの。赤味がかったグレージュで、やさしい色味でまとまりました。アイアンのペーパーホルダーとタオルハンガーは、柔らかな色調のカカオブラウン。レトロイメージともマッチしています。

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外の景色が絵画のように滲んで見える
揺らぎのあるレトロガラスの魅力。

防音室の壁側には大きなFIX室内窓を設置、二重構造で遮音性能もしっかりあります。内側は防音室専用素材ですが、外側のガラスに揺らぎのあるレトロガラスを使用しました。防音室から外の景色を見ると、絵画のように像が滲んで、やさしい雰囲気を醸しています。この室内窓は、テラス側の緑を防音室からも感じられるようにと設置されました。「今は季節がら緑は少なめですが、夏に向けて緑でいっぱいなります。レトロガラスは通す光も柔らかくて、ピアノを弾く時間を気持ちよく過ごせそうです。」
室内窓やクリアなサッシで壁面積を少なくすることで、隣接スペースとつながり、開放感のある防音室になりました。音楽仲間とのセッションも窮屈に感じずに楽しめそうです。

「ちょっと手間がかかるくらいの方がいい。」

「洗練された無駄のない空間より、レトロでちょっと手間がかかるくらいの方が好きなんです。家を考え始めてから、ネットでいろんなリノベーション事例を調べましたが、しあわせな家さんの事例を見て、ここなら自分に合うな…って思ったんです。僕の強いこだわりにも、どこまでも嫌がらず付き合ってもらえました。僕が図面に書き込んで言いたい放題出した希望を、望月さんが専門知識で上手くまとめてくれました。動線や使い勝手のことをアドバイスもらったりして。」
住んでみてどうですか?との問いに、「すごくいいですよ、使いやすい、納得の仕上がりです。立地も建物もいい物件に決められたし、希望どおりのイメージにできました。この間さっそく音楽仲間を呼んでセッションしたんですよ。」と、素晴らしいジャズピアノを披露してくださいました。手間をかけて丁寧な暮らしをされているYさんのお住まいづくりに、日々の暮らしの大切さを改めて感じました。

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