収納たっぷりで使い勝手を追求した
回遊動線のある間取りの住まい
- 神奈川県藤沢市 H様 中古マンションを中規模リノベーション 家族構成:ご夫婦 お子様1人 築年数:30年
ご結婚前から同じマンションの1階にお住まいだったHさん、お子さんの成長とともに手狭となり、上階の少し広い部屋を購入してリノベーションすることにしました。Hさんの一番のご希望は収納をしっかり確保した設計でした。そこでご提案したのが収納を活かす回遊動線のある間取り、予算内でご要望をしっかり実現する、+αのアイデア光るリノベーションです。
回遊動線の間取りのメリット。
「回遊動線の間取り」とは、行き止まりがなく、スムーズに家の中を移動できる間取りのことです。リビングから寝室、バスルーム、キッチンへと、日々の移動がスムーズでストレスがなく、効率よく動けるので家事の時短にもつながります。壁が少なくなるため、空間に開放感が生まれるメリットもあります。
こちらのマンションの構造は「ラーメン構造(柱・梁で建物を支える構造)」、壁を動かすことができるので、間取り変更の自由度が高い構造です。生活しやすい動線を考え、各スペースの実用性を再検討してベストな間取りに設計できました。
コストを考えて、扉は必要なところにだけ設置、「扉があるところも開放していることが多いですね。空気の循環もいいし。」とHさん。
回遊動線が常につながっている状態が保たれているようです。
ポイントは動線に沿った収納の確保。
回遊動線のデメリットとしてよく上げられるのが、壁面が減ることによる収納の減少があります。Hさんのご要望は収納UP、ここで+αのアイデア登場です。
まず大切なのは「収納を増やしたい」の分析です。以前のお住まいでは、物が多くて片付かず、ひと部屋を物置として使っていたそう、これから子供部屋も必要になるので、今度は部屋を潰さないように収納を充実させたいとの思いからでした。
そこでご提案したのは動線に沿って収納を分散させるプランです。収納場所が使う場所のすぐそばにあれば、収納動線もスムーズでストレスがありません。無駄なく収納が活かされ、住まいのデッドスペースがなくなります。また回遊動線と共に設計することで、より便利に活用できます。
「今は収納は十分と感じています。オープンな収納なので、使い勝手もいいです。」とHさん。
アーチ開口の収納スペースは、お子さんのおもちゃ収納庫に。
リビングにつくった収納は、遊び心あるアーチ開口にしました。「あのアーチ型が可愛くてお気に入りです。」と奥様。アーチ収納の前はお子さんのプレイスペースになっています。お子さんが自分でおもちゃを出したり仕舞ったりできて、お片付けの習慣が身につきそうです。ここはキッチンからよく見える位置なので、お子さんの様子も分かって安心。アーチ内は奥行きが深く、可動棚もあるので、収納力も十分。お子さんの成長とともに変わる収納用途、どんなものにも対応できそうですね。
リビングから寝室へ、WTC(ウォークスルークローゼット)のメリットを活かした動線。
WTCとは通り抜けできるクローゼットのこと。収納スペースと通路を兼ねた構造なので、回遊動線と相性のいい収納です。扉を開放しておけば、風がよく通って湿気がこもるのも防げます。バルコニーの洗濯物を取り込んだあと、そのままクローゼットへ仕舞える動線もスムーズで、家事の時短が叶います。
リビング奥の壁には、空気清浄効果と調湿効果がある『エコカラット』を採用。「マンションは湿気が気になるので、エコカラットにしたくて。見た目にも上質感が出てよかったです。」とHさん。さらに寝室の枕元の壁にも『エコカラット』を採用、コストを考えて全面ではなく、部分配置のデザインにしました。
予算内に収まる最善の選択を考える。
Hさん邸の床材は、WPB(ウッドプラスチックボード)という新素材のフローリングシートを採用しました。既存の床の上から貼るだけの簡単施工なので、短工期・省コストで設置できます。高強度で耐久性もあり、無垢材のフローリングと同じように、サネ(つなぎ目)があるので、見た目も足触り感もシートとは思えないリアルさです。
「予算内の最善をご提案できるように、といつも考えています。」と技術営業の奥野。予算内でできることの最大限を目指して思考を巡らせているそう。造作用の集成材が余りそうな部分を見つけると、他のところで活かす提案をしたり。Hさん邸玄関のシューズボックス兼ベンチも、そんな余った資材を使って、大工さんに造作してもらったものだそうです。大工さんの対応力には頭が下がりますね。
キッチンはオープンな対面にリノベーション、
パントリー併設で収納もたっぷりです。
既存のキッチンは閉鎖的で狭く、暗い印象でした。そこで壁位置をダイニング側に少し移動して、キッチンのスペースを広くしました。パントリーを併設して、収納もたっぷり。オープンなパントリーですが、リビングダイニング側からは棚の一部が見えるだけ、程よく隠されていてスッキリ見えます。
キッチンの高さは奥様の身長に合わせて90cmに。「今まで使っていたキッチンは高さが合わなかったので、今はとっても快適。広く開放的になってよかったです。」と奥様。毎日使う場所の使い勝手や居心地はとっても大切ですね。
お子さんもハイスツールに乗って、並んでおしゃべりしたり楽しそうな空間です。
Pick Up
L型キッチンの使い勝手の良さを
II型キッチンで実現しました。
作業動線が短く効率よく動けるL型キッチンは人気ですが、コーナー部分にデッドスペースができやすく、価格もI型やII型より上がってしまいます。そこでご提案したのが、II型キッチンを造作カウンターでつなげて、L型のようにレイアウトする方法です。
コーナーにパイプスペースを取り込み、オープンラックを設置して、家電収納スペースに。カウンター下の空間は、ダストボックス置き場にして、無駄なくスペースを活用しています。L型キッチンのデメリットを解消しつつ、使い勝手のいいところを取り入れられるアイデアです。
価格もだいぶ抑えられ、予算に合う設計ができました。
アールの壁と斜め框で広々とした玄関に、マンションでも叶う土間のカタチ。
「戸建ての事例で見た土間に憧れていたんです。マンションでもつくれて嬉しいです。」と奥様。マンションの玄関は狭いイメージがありますが、アールの壁と框を斜めにする工夫で、こんなに広くすることができました。既存の窓を活かして光を取り入れ、とても明るく気持ちのいい玄関です。玄関ドアから収納スペースまで土間がつながっているので、お子さんの自転車もそのまま引いて収納できます。予算を抑えるために採用した床材は、キッチンのフロアタイルの色違い。水に強く耐久性にも優れていて、土間の床材としても十分な機能があります。既存の下地の上から施工できるので、短工期・省コストです。上部にはアイアンバーも設置、濡れた上着の一時置き場にも便利です。
洗面スペースは造作洗面台でシンプルに美しく、洗濯機周りにも収納を充実させました。
白い壁にブルーのタイルが爽やかな清潔感ある洗面スペース、アールの壁に合わせたデザインが印象的です。洗面台は造作でカスタム設計、オープンラックや隙間収納をつくって使い勝手よく、反対側にある洗濯機スペース周りにも造作棚を設置しました。洗剤類は全てココに収納、使ってすぐに仕舞える動線がスムーズです。
天井にはアイアンバーを二本並列設置、洗濯ものを干す時にとても便利そうです。現在水遊びで使うおもちゃを乾かす場所としても活躍中。
Pick Up
アール壁を活かした造作洗面台、
職人さんの技術で曲面施工が実現しました。
シンプルで美しいアールの壁ですが、施工は簡単ではありません。洗面カウンターを壁の曲面にピッタリ合わせてつくること、タイルを壁の曲面にそわせて貼ること、どれをとっても高度な技術が必要、なかなか職人さん泣かせのデザイン設計です。
「職人さんには、無理なお願いをよくしてしまうのですが、“またアールかい”って言いながらも、いつもきれいに仕上げてくれるんです。ついつい頼ってしまいます。」と技術営業の日比。
ブルーのタイルは奥様が選んだ名古屋モザイクのもの、角丸でふくらみのある形状で、レトロな雰囲気がアールの壁にピッタリです。
ユニットバスのサイズダウンでコスト削減、
トイレに手洗い器も設置できました。
ユニットバスを選ぶとき、いくつか決まった規格の中から、湯船のサイズを基準に選ぶことが多いと思います。Hさん邸でサイズダウンしたのは、湯船ではなく洗い場スペースの方。お風呂の洗い場を使っている時間は少ないので、少し狭くなってもあまり気にならなかったりします。「お風呂掃除もちょっと楽になるし、おすすめです。」と技術営業の日比。
ユニットバスのサイズダウンでできたスペースで、トイレを少し広げました。お子さん用の補助台も置くことができる広さです。手洗い場をつくりたいとのご要望もあり、手洗い器と棚を設置しました。棚は手摺り代わりにも、スマホなどのちょい置きスペースにもなって便利そうです。ブルーグリーンの壁紙は奥様のセレクト、撥水機能のある壁紙で水回りでも安心です。
「価格よりワクワクする方を選びました。」
「専門業社紹介サイトSUVACOで、2社紹介されたうちの1社がしあわせな家さんでした。はじめに両方の会社にプランと見積もりを出してもらって、実はもう1社の方が価格は低かったんです。でもプランが悪くはないけど…という印象で。しあわせな家さんは提案書がすごく良かったんです、ワクワクする感じで。後悔しないと思う方を選ぼうと思って、最初の提案段階で決めました。その後の打ち合わせの中で、予算についてもすごく考えてくれて、最後まで安心感がありました。」
「アーチのデザインとかすごく素敵で、ただきれいにリフォームするだけじゃないプランが嬉しかったです。予算内でこんな風にリノベーションできるなんて大満足。」とHさん夫妻。
取材終わり、お子さんが自転車に乗りながら玄関からするりと出てきて、あっという間にお出掛けスタンバイOK。動線がいい住まいって快適ですね。