受け継いだ実家の思い出も大切に、
賃貸へ繋げるリノベーション

戸建
川崎市 M様 中古戸建を2戸同時に中規模リノベーション 家族構成:ご夫婦 お子様2人 築年数:40年  

思い出ある実家が空き家となったとき、取り壊してしまうのは寂しいと感じた奥様、リノベーションで新たな価値を見いだす道を選ばれました。ただ「きれいにする」のではない、残せる部分は残す、賃貸を考えても安心な耐震にもしっかり対応したプラン。老朽化が気になりだしたご自宅も同時リノベーションです。

  • リフォーム担当 日比 小百合
  • リフォーム担当 岩田 一彦

ただ“きれいにする”だけじゃない、
思いに寄り添うリノベーション。

自宅の老朽化が気になり始めたころ、ご実家も受け継ぐことになった奥様、どちらの家も生かすリノベーションの道を探していました。
「リフォーム会社に相談に行ったら、取り壊して“きれいにしますよ”って方向で、話すのは費用のことばかり。いろんな思いがあるのに要望を聞いてもらえないと感じで…3ヶ月くらい業者さんを探していました。」と奥様、このWEBページを見つけてくださいました。
「実家を評価してくれたこと、それがとても嬉しかったですね。“ここはそのまま使いましょう”って残す道も一緒に考えてくれて。初めは老朽化したところだけ修繕しようかとも思っていたんですが、いろいろと相談に乗ってもらっているうちに、ワクワクして来たんです。」とMさん。

「価値を見いだせる」古い家だからこそある魅力。

家を見せてもらった時“価値を見いだせる”と感じたというリフォーム担当岩田。
「賃貸を視野に考えた時、新しさだけでは新築に敵いません。でも古い家には時を経たものにしか出せない味わいがあります。賃貸として強みになる付加価値です。残せるところを生かして設計することで、家主の思い出を残せたり、コスト面でもプラスの効果があります。」
費用の面から考えて、賃貸なら単純に取り壊して建て替えるのでもいいのか?と考えたこともあったというMさん。
「だんだん“待てよ?”という気持ちになったんです。賃貸なら選ばれる魅力が必要、単純な建て替えより、お金は少しかかるけど、賃貸だからこそ、リノベーションがいいと思い直しました。思い出ある実家をこういう形で残せてよかったです。」

賃貸を視野に入れて生まれ変わったご実家は、
現在息子さんが借主です。

「ゆくゆくは賃貸にする予定ですが、今は息子が住んでいるんです。でもしっかり家賃ももらっていますよ。」と奥様。家賃は周辺相場を調べて設定したそう。
「ここはあと20年住めればいいかなと思っていたんですが、今の家賃設定なら、余裕で元が取れる計算です。息子が結婚して出たら賃貸にしたいなと思っているんですが、居心地良すぎるみたいで…」と複雑な母の笑み。
今回、玄関周りは少し手を加えたぐらいですが、外壁塗装を数年後に施す予定。さらに素敵になりそうです。現在借主の息子さんは、シングルライフを楽しんでいるご様子で、趣味のものを飾って、とても素敵に住まわれています。
窓横のニッチのラックは、雨戸の戸袋があったスペースを活用してつくりました。奥行きがあるので、たっぷり飾れます。

Pick Up

「和」過ぎない古民家建具で風情をプラス。

古民家建具の格子戸が印象的なご実家のリノベデザイン。「和」過ぎない雰囲気が若い人のお部屋としても馴染みますね。
壁は空気清浄効果のあるスイス漆喰、古民家建具との相性ぴったりです。床材はアカシア、艶感がある深い色味で、アンティークな雰囲気に合います。
昔の日本家屋は、建具の高さが一定で、古民家建具が合わせやすい利点もあります。この格子戸は、岩田が時代家具屋「古福庵」で見つけてきたもの。Mさん邸に合うように少し加工を加えて取り入れています。既存の枠はそのままで交換できるので、工事の費用が抑えられます。

Pick Up

賃貸にも有利になる、耐震基準適合証明書を取得。

賃貸を視野に入れた場合、耐震基準適合証明書取得も重要です。特に築古の建物からのリノベーションでは、安全面で不安に感じる方も多いかもしれません。
しあわせな家では、耐震補強診断してもらうために、免許を持った専門の設計士にも入ってもらっています。賃貸として運用するときに、耐震基準適合証明書の記述を入れられるかどうかで信頼度が変わります。また、住宅ローン減税も適用になるので、売買することになった場合にも有利になります。
単に建物をつくるだけでなく、安心して住んでもらえる準備、賃貸としての価値をしっかりとつくることが大切です。

大胆な設計は、大工さんの高い技術に支えられています。

点在する柱の木の風合いが、古民家風デザインの空間とマッチしています。この柱は耐震強度を考慮しても外すことはできますが、あえて残しています。もともと入っていた柱のままではなく、表面を木の板で化粧貼りしています。貼ってあるとはわからないほどの自然な仕上がりです。
「この仕上げは、大工さんの腕がいいからできるんです。」と岩田。大胆な設計実現の影にはいつも腕のいい大工さんの存在があります。
柱を出すことで、空間を広く見せたり、デザインのアクセントになったりします。この柱にはハンモックの金具もつけられています。プラスのアイデアで、柱に意味が生まれるんです。

窓を小さくすることで、寒さ・防犯対策になります。

築40年のご実家、部屋には掃き出し窓が並んでいました。昔はホウキで掃除をしていたので、掃き出し窓が多く採用されていました。壁を外して、一つの空間にした部屋には、掃き出し窓は一つあれば十分です。半分は壁をつくって、腰高窓にしました。ここの立地は密集地のため、あえて窓を小さくすることで、防犯対策にも寒さ対策にもなります。
腰高窓には棚を造作。隣の家との距離が近くても、窓の外の視線が気にならない工夫です。観葉植物を並べても素敵ですね。

人が通るだけの廊下をリビングに取り込んで空間を生かす工夫。

ご自宅は、部屋数が多く仕切りが多い、昔ながらの構造でした。そのため、玄関からリビングへ繋がる廊下部分は、人が通るためだけの暗い空間でした。そこで、玄関横の和室を無くし、大容量の収納をつくりました。他の仕切りもできるだけ外して空間を繋げ、玄関を入るとそのままリビングへ繋がる広いスペースができました。
「すごく明るくなりました! 以前はとても暗くて改善したかったんです。こんな風に大きく変わるなんて驚きでした。」とMさん。
仕切りである壁を外すとき、耐震を考慮することが大切です。生かされていなかった空間を、いかに生活の中心へ取り込むか、プロの知識とアイデアを集結させてご提案します。

「実用的な視点をもって提案してくれてるって、住んでみて実感しています。」

対面キッチンの場合、リビングから手元が見えないように、キッチンに少し高さのあるカウンターをつける方も多いですが、Mさんのキッチンの場合は、比較的フラットな設計になっています。
「あれ?立ち上がり無いの?ってはじめ思ったのですが、この形で大正解でした!」と奥様。「食器の片付けもしやすいし、リビング側の視界が広く感じられて、キッチンに立つのが気持ちいいんです。設計は何度もプランを出してくれて、動線とかすごく考えられているんだなと思いました。実際に住んでみて、使い勝手の良さをすごく感じています。」
キッチンからの風景を優しくしている、掃き出し窓のカーテンは、Mさんこだわりのセレクトです。やわらかい光が気持ちいいですね。

隠れた収納スペースで、リビングはいつでもスッキリ。

リビングに独立壁をつくってTVを設置、裏側はたっぷりの収納スペースになっています。リビングをゆるく仕切った空間は、圧迫感なく、しっかり目隠ししてくれます。収納用途だけでなく、オンライン会議など仕事に集中したいときにも使えます。録画デッキが納まるニッチは、裏側では小さなデスクになっています。
壁裏の一部は可動棚にして整理しやすくしました。
狭かったバススペースを広げるため、洗濯機をリビングに移動。白い扉を締めれば、壁と同化して、全く存在を感じさせません。「リビングに洗濯機」という選択は、実は家事の動線がよくなり、密かに人気です。キッチン横の壁にはお家型の可愛いニッチをつくりました。インターフォンを飾ったデザインが素敵です。キッチンの照明の飾り付けは奥様によるもの。黄色のテーマカラーと合わせて爽やかです。

既存のトップライトを最大限に生かす、思い切った設計をご提案。

トップライトはもともと既存でありましたが、天井裏スペースの中で、部屋の採光には全く役立っていませんでした。
ここはとても暗くて、リノベーションするなら室内窓をつくってもらおうと思っていたという奥様ですが、岩田のプランは全然違うものでした。
「天井を外して、こんなに明るく広い場所になるなんて、ここが一番びっくりしました!」とMさん。よくここでWii Sportsを楽しんでいるそう。柱にはハンモックも設置してあり、家族の憩いのフリースペースになりました。レンガ調の壁紙も天井の高い空間に合っていて素敵です。
階段横のアイアンの柵はMさんのDIY、溶接してつくった力作です。

Pick Up

古い家の隠れた“ポテンシャル”を
発見して生かすのが得意なんです。

「天井裏をみたところ、立派な梁が出てきました。この家はポテンシャルがある!って確信しました。」と岩田。
トップライトがあったため、天井が雨漏りで痛んでいました。そこで屋根の修繕をしながら、採光も叶う、天井を取っ払うという大きな設計変更をご提案しました。
木造の家は見えないところにポテンシャルが隠れているという岩田、そういうところを発見して生かすことが得意だそう。古い家に対する愛情が深いです。梁を見せたことで、広く明るくなっただけでなく、デザイン的にも印象的な空間になりました。エアコン設置の業者さんも、“これはすごい! きれいに設置しますからね。”と褒めてくれたそうです。

DIYで家に思い出を詰め込んで。

Mさん邸にはご主人によるDIYがいたるところにあります。トイレのタイルやラック、洗面台の収納などなど、その腕前はプロのようで、DIYとは気づかない程です。材料はもとの家の家具の一部や、100円ショップやホームセンターというから驚きです。ご実家のキッチンの収納部分、アイランド部分も全てDIYです。
洗面台など、枠だけ大工さんに造作してもらって、中の収納を付け加えたり、プロと合作されています。
「実はDIYを入れることは工程管理の面で大変なこともあるんですが、自分の住む家に自分で手を入れることで、ものから気持ちが入るような、思い出が詰まってくると思うんです。いつもお客様にはどこか1箇所でもDIYしませんかとオススメしています。」と岩田。

素材は何度もショールームに通って、
選び抜きました。

「他の業者さんに相談に行った時、素材は選択肢が決まっていて、もっとこんな風にしたいのに…って思いがあったので、何度も行くのは大変だったけど、たくさん見て選ぶことができて、とっても楽しかったです。選び抜いた甲斐がありました。お気に入りがいっぱいです。」と奥様。
玄関の壁紙は特にこだわって、光の角度で表情が変わるものをセレクト。造作ベンチだけのシンプル空間にちょうどいいアクセントです。
「“toolbox”も楽しかったなー。ワクワク感がすごかったね。」とMさん。お二人とも率先してDIYにも参加して、リノベーションをとても楽しんでくださったご様子です。

とにかくワクワクが止まりませんでした。

「“リノベーション”って、なんか敷居が高いイメージがあったんです。お洒落でこんな風につくったらすごくお金がかかるんだろうな…とか。でも最初に提案してもらった設計プランが、あったかい手作りイラストだったんです。図面だとわかりづらいけど、コメント付きで、すごく実感を持ってイメージできたのがよかったです。それを土台に、“こんな風にできたりするかな?”とか具体的な希望も出てきて、相談しやすかったですね。」とお二人。
「ここがこんな風になったの!?とか、想像を超える感動が次々出てきて、ワクワクが止まりませんでした。」「母が大事に住んでいた家が、こんな風に残せて本当によかったです。」と奥様。
ご実家のリノベーションは実はまだ進行形。2Fは賃貸にした時に、住む人に自由にリノベーションを楽しんでもらおうと残してあります。楽しみですね。

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEで送る