憧れのインテリアに囲まれた
定年後のセカンドライフを楽しむ住まい

マンション
横浜市緑区 S様 中古マンションを中規模リノベーション 家族構成:ご夫婦 築年数:24年  

定年退職の時を迎えられたSさん、これからは夫婦ふたりで過ごす時間を大切にしたいと、長年お住まいだったお部屋をリノベーションすることにしました。お仕事柄インテリアに造詣が深いご夫婦の、名作家具との調和が美しいお住まいの完成です。

  • リフォーム担当 日比 小百合

丁寧な暮らしに憧れて。

建築関係のお仕事で出張や単身赴任が多く、家族と過ごした時間が少なかったというSさん、定年退職を迎えた時、ある思いがありました。
「仕事ばかりで家庭を顧みずで…。今まで出来なかった分、何かやっておきたいなという思いがありました。これからは二人の時間が長いんで、妻も自分も好きなインテリアに囲まれた居心地のいい空間をつくりたいと思ったんです。」とSさん。
夫婦だけならこのままでもいいかなと思っていたという奥様でしたが、娘さんがご結婚されて来客が増え、古くなっていたお住まいが気になり始めていたそうです。お部屋に飾られたインテリア小物は全て奥様の見立て、暮らしを楽しまれている様子が伝わって来ます。家具や照明、小物に至るまで、名作と言われ長く愛されているものばかり、美しく整った空間には丁寧な暮らしぶりが見て取れます。

「どこから始めたらいいんだろう…」

リノベーションしようと思い立ったけれど、はじめは紆余曲折あったそう。
「どこに依頼すればいいのか、自分たちでは探せなくて…。マンションにも業者を紹介してくれるサービスがあったんですが、設計プランが思った感じでは無くて。そんな時、娘がSUVACOっていうのがあるよって教えてくれたんです。」とSさん。そこで紹介された3社のうちの1社がしあわせな家でした。
「選んだ決め手はやっぱりプランの良さと印象ですね。仕事柄、専門的なことがわかっているので、いろいろ見えてくるものがあって。キッチンを広くしたいという希望に、こういう形で叶えるプランを出して来たのは、しあわせな家だけだった。つくる側の希望を勧めるのではなく、こちら側に立って考えてくれているのが分かる。それに会社の理念も気に入ったんですよね。」とSさん。
専門家とつなげてくれるSUVACOさん、大切なのは「誰とつくるか」だと言います。この人と一緒につくりたいと思ってもらえることは大切ですね。

名作家具の佇まいが美しく映える空間づくり、織田邸との出会いがありました。

北欧風というと白く明るいイメージがありますが、Sさん邸は石目調の天井と無垢の木部、グレージュの壁、照明も実際の北欧の暮らしのような明るさを抑えた暖かい色の灯りです。広く落ち着いた空間の中に、フリッツ・ハンセン、ルイスポールセン、名だたる名作家具や照明が並んでいます。長年建築関係のお仕事をされて来たSさんは、元来インテリアに造詣が深いかたですが、椅子研究家 織田憲嗣氏の織田邸との出会いから、さらに理想のお部屋のイメージが膨らんだそうです。織田邸は、名作家具たちを使うことを前提にして、広さや配置場所を考え空間づくりされています。こまめに埃を拭い暮らしを整える、織田氏が体現する“丁寧な暮らし”がSさんのお住まいにも感じます。

Pick Up

既存エアコンの配線を利用した
ペンダントライトのコーナー。

Sさん邸にはダウンライトがほとんどありません。照明に明るさを求めるのではなく、名作照明器具の暖かい灯りの色とその美しい佇まい、優しく局地的に広がる光の空間を楽しむための設計です。照明器具は全てルイスポールセンのもの。はじめは少し暗いかなと感じたそうですが、慣れるととても心地いい空間となるそうです。
印象的なコーナーは名作VL45 ラジオハウスペンダント、ここには絶対コレがいいと決めていたというSさん、設置にはひと工夫が必要でした。ここは配線の関係でペンダントNGの場所。そこで考えたのが、既存のエアコン用電源を流用するアイデアです。エアコンは移動したのでここに専用電源は不要、アールのコーナーを造作して美しく設置出来ました。

「キッチンを広くしたい」を実現するための
様々な問題を乗り越えるアイデア。

「以前のキッチンは狭っ苦しいというか、閉鎖的だったんです。絶対にキッチンを広くしたいというのは、最初にSUVACOさんに出した要望でした。」と奥様。
「広くするには配管の問題があることが分かっている中で、3社からプランを出してもらいました。全体像は似通ったものが出て来たんですが、問題への対処方法が違っていた。他社案は対面キッチンじゃなかったり、床を上げないといけないからと天井が低くなっていたり、遮音性能等級LL40という厳しい規約があるマンションなので、床を無垢材にするにはコストの面が厳しくなるという話だったり、逆にコストを抑えるためのアイデアが遮音性能の面で心配がある内容だったり…。」と技術面でも心配があったというSさん。そんな中、技術営業の日比のアイデアだけが視点が違っていたそう。

既存の収納や動かせない配管を巧みに取り込んだ、技あり設計のキッチン。

ご提案したプランは、スペースを広くするためにLD側にキッチンを700mm移動、動かせない配管は造作壁でオープン棚の後ろに隠し、デザインの一部に取り込んでしまうアイデアです。天井には、キッチンの位置に合わせて下り天井を組み、木目エンボスのある壁紙を貼って美しいラインをつくっています。梁までグレージュの壁紙にしてラインをつなげているのもポイント。通路を挟んだところにある収納は、既存だったものを改良。壁紙と色を合わせたダイノックシートを貼り、内部も手を加えて使い勝手よくしています。キッチン周りに必要なものの出し入れにも便利な距離感、ここまでキッチンが広がったようにも感じます。既存では壁のラインまで収納でしたが、あえて収納を減らしてキャビネットが置けるコーナーをつくり、空間がより広く感じられるように設計されています。
「これはいいな〜ってふたりで感心。床のこともLL40やコスト面をクリアしつつ、無垢の質感も味わえる素材を提案してくれたんで、本当によかった。」とSさん夫妻。

Pick Up

II型キッチンをオープン棚でつないで、
使い勝手のいいL型キッチンにしました。

技術営業の日比が得意とする技ありキッチン設計、II型キッチンでつくるL型キッチンの第2弾です。
今回はコストの問題ではなく、配管の位置の都合でL型キッチンが設置できないケースです。通常のL型キッチンはコーナーが埋まっているため、キッチンと重なる位置に配管は通せません。今回はII型で配管を挟むようにレイアウトしています。配管スペースを造作の壁とオープン棚で隠すことで、見た目のデザイン性も高くなり、スペースを余すところなく活用できる利点もある、マイナス要素の配管問題をプラスへ変えるアイデアです。

リビングからは見えないパントリー。

美しく飾られたキッチン、リビングからはキッチン周りに生活感あるものが見当たりません。実は冷蔵庫の横にパントリーが隠れているんです。床から天井まである大容量のパントリー、可動棚がついているので、お好みの収納ケースのサイズに合わせて整理できます。コンロと対面の位置で、使い勝手の良い動線です。
給湯器のリモコンもパントリーの内側に収納、グレージュの壁に白いリモコンが目立ってしまうのを回避しています。もう一つ気になるインターフォンは、リビング入り口の壁に浅いニッチをつくって、照明関係の集合スイッチと一緒に目立たないように設置しています。奥様の手によるインテリア小物の配置も絶妙です。細部まで行き届いた造り込みが美しさの完成度を上げています。

TVの存在感を感じさせない濃いブルーのアクセント、壁紙と木部との色合いが美しいリビング。

お二人とも野球観戦がお好きというSさん夫妻、TVスペースはふたりでよく過ごす場所です。TVコーナーの壁紙は濃いブルー、リビングの主役アルネ・ヤコブセンが残した不朽の名作エッグチェアのブルーに合わせました。深い色なので、TVの形や配線類が目立たず、造作したフローティングのTVボードのラインが美しく映えています。照明は明るさを調整できる間接照明に、他の照明器具の優しい灯りを邪魔しません。濃いブルーとグレージュ、木部との色合いが美しいリビングです。右の扉は納戸の入り口、以前あった和室の押入れ部分を少し広げて納戸として残しました。可動棚も設置して、収納庫としての機能も充実しています。

TECIDOの壁紙が美しい寝室は『ねむリノベ』仕様、安定した湿度で快適です。

「極端に湿度が下がることがないんですよね。夏もさらっとして暑くなかったし、すごく快適です。」とSさん。TECIDOのアクセントクロスが印象的な寝室は、『ねむリノベ』仕様につくられています。床はウールのカーペット、ウールは冬暖かくていいのはもちろんのこと、調湿作用があり夏でも快適なんです。天井は少し暗めの色に、照明は暖かい色で直接光源が見えない間接照明を設置しました。アクセント以外の壁はコテ塗りテクスチャーのあるテラコッタ風壁紙。カーペットやカーテンの色に合わせて、照明スイッチはチャコールにしました。Sさん邸のスイッチ類は、部屋ごとのカラーに合わせて選んでいるため、全部色が違います。

Pick Up

施工が難しい繊細な輸入壁紙も
腕のいい職人さんの手で美しい仕上がりに。

「TECIDOの壁紙をどうしても使いたくて、難しい場所と分かっていながら、無理を言ってお願いしました。」とSさん。
この壁はマンションの戸境、コンクリート直の壁なんです。そのままでは壁紙がコンクリートの凸凹を拾ってしまうので、パテで下地を整えてから貼る必要があります。特にこのTECIDOの輸入壁紙は薄手でとても繊細、下地の出来がそのまま仕上がりに出てしまいます。
「難しさが分かるからちょっと心配してたんですけど、いや〜見事見事! いい職人さん抱えてますよね。」とSさん。
しあわせな家でお願いする職人さんは、無理難題にいつも応えてくださる腕のいい職人さんばかりなんです。

少し暗めのアンティーク調の照明と、
こだわりの輸入壁紙が上品なトイレ空間。

トイレには、たんぽぽ柄の壁紙を選びました。こちらもTECIDOが取り扱うスウェーデンの壁紙です。可愛らしい「たんぽぽ」というモチーフですが、繊細なタッチと落ち着いた色使いが、大人っぽいたんぽぽ柄です。
既存トイレにも手洗いカウンターがありましたが、収納付きの大きなサイズ、スペースを狭い印象にしていました。手洗い器を小さなものに替え、タモ集成材でカウンターを造作しました。たんぽぽと無地の黄色、アンティーク調のガラスシェードとのコーディネートが素敵、少し暗めの灯りでとても落ち着く空間です。

デザイン重視で二人暮らしにちょうどいいサイズ感の洗面スペース。

洗面スペースの壁は、ライトグレーの石目調、清潔感がありながら真っ白より落ち着いた雰囲気です。カウンターと飾り棚は造作、洗面ボウルを小さめにして、カウンターを広く設計しました。洗面ボウルは二人暮らしにちょうどいいサイズ感、広いカウンターは作業スペースとしても便利そうです。棚は収納ではなく飾ることを目的に、住む人の暮らしに合わせたデザイン設計です。タイルは名古屋モザイクのガラスモザイク、ダークトーンでも光の反射でキラキラと豊かな表情を見せてくれるので、コントラストがつき過ぎずやわらかい印象です。

ガラスブロックの室内窓とクリアガラスのリビング扉で、玄関からの動線を明るい印象に。

「玄関がとにかく暗くて、明るくしたいとずっと思っていたんです。」とSさん。築古マンションの玄関は狭くて暗いとお悩みの方が多いです。Sさん邸は、既存の天井まであった大きな下駄箱を半分の高さにし、タモ集成材でカウンターを造作、玄関ドアに近い部分は傘などの収納に便利なフリースペースにしました。カウンターに整然と並ぶインテリア小物が美しく、空間にゆとりが生まれています。ポイントは左の寝室に新しく設置したガラスブロックの室内窓、外光がたっぷり入る部屋の光を玄関にも取り込んでいます。リビングの扉をクリアガラスにしたのも効果的、距離のある廊下ですがリビングの光がここまで届いています。

美しく暮らしを整えるということ。

長年建築関係のお仕事をされてきて、様々な美しい家具やインテリアに出会い、いつか自分もと思いつつ忙しく過ごされてきたというSさん、夢がありました。
「このエッグチェア、いつか欲しいとずっと夢だったんです。リビングの扉がクリアガラスなので、帰った時に玄関から見えるのも嬉しいんですよね。」と嬉しそうに微笑むSさん、いつも取材終わりに撮影する記念撮影でも、エッグチェアに座るSさんと横に並ぶ奥様のしあわせそうな笑顔が印象的でした。
「いつ訪れてもインテリアが素敵なんですよー」と担当日比の言葉通り、どこを見ても整えられていて、美しいお住まいです。隙がない美しさではなく、暮らしと共にある美しさを感じました。定年退職されて家で過ごす時間が多くなるセカンドライフ、丁寧に暮らすことで心も豊かになりそうです。

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