「10周年を迎えて」代表取締役山田篤よりご挨拶

10周年を迎えて

「37歳、資本金1000億円超上場企業会社員、勤続13年の管理職、持ち家、住宅ローンあり、子ども1歳、年収1000万円超」
から、
「従業員自分だけ、半年後にはどうなっているかわからない資本金1000万円の零細企業、年収400万円、持っているのは宅建の資格と強い気持ちだけ」
10年前、この環境に自ら飛び込む決断をしたのが私です。

平成30年6月11日、株式会社しあわせな家は10周年を迎えることができました。この10年間、弊社に関わってくださった全ての皆様に御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。あれから10年、イイことも、そうでないことも沢山ありましたが、ちょうど良い節目なので、少しだけ過去を振り返ると共に、次の10年について考えていることを記してみようと思います。

まず始めに、冒頭の決断に気持ち良く背中を押してくれた妻に感謝をしたいと思います。正直、あの時どういう気持ちだったのか、恐ろしくて聞いたことがありませんが、いざとなったら公園の草を一緒に食べるくらいの覚悟をしてくれていたのだと思います。この10年、仕事のことで文句を言われたことは一度もなく、本当にやりたいようにやらせてくれています。心から感謝です。

さて、あらためて10年前の自分を思い返してみます。
「これからは新築じゃない。中古の時代が来るんだ!新築に比べてずっと時代遅れだった中古の世界。自分がやりたい。自分がやらなきゃいけないんだ!」と、とにかく強い気持ちを持っていました。何の根拠もないのに、ただただ気持ちだけ。「一番大事なのは強い気持ちなんだ。これがあれば何とかなる。」そう考えるようになったきっかけは高校時代に遡ります。

私は横浜翠嵐高校の野球部出身です。高2の夏、自分達の代から監督が代わりました。その監督の名は宮台監督。今年、東大法学部から日本ハムに入団した宮台投手のお父様です。メジャーリーグに移籍した大谷投手とはまた違った、究極の二刀流を育てたスゴイ人です。この1年は本当にキツかったです。何度も逃げ出したくなりました。でも、やりきって本当に良かったと思っています。野球の技術だけでなく、物事に取り組む姿勢や論理的思考力、そして、最後の最後に重要なのは「強い気持ち」であることを学びました。今の自分の原点というか、仕事をする上でのベースの考え方がここで身に付いたと思っています。

この強い気持ちだけを持って、一人一人出会ったお客様のしあわせな家を追求し、時には会社の仕事にならなくとも、お客様のしあわせを一番に考えて行動してきた結果、スピードはゆっくりではあるものの、一歩ずつ階段をのぼることができました。新横浜の20㎡のオフィスからはじまり、横浜駅西口のデザイナーズマンション、そして315㎡ある今のモデルルーム「道しるべ」、同時に表参道に支店を出すこともでき、常に成長を感じていられました。

しかし、気持ちが強すぎたが為に失敗したこともありました。
自分の信念のひとつに「世の中にイイことをしていれば、お金は後から付いてくる。」があります。そのため、普通の会社が普通に行っている、お金をかけて戦略的に広告宣伝することが嫌で、口コミだけで何とかしたいと考えていました。結果として、お客様との出会いの数に波があり、コンスタントに成績を上げることが難しく、会社を去って行ったスタッフが何人か居ました。彼らはきっと仕事の内容自体は嫌いではなかったと思います。もっともっとたくさんのお客様との出会いの場をつくってあげられれば、きっと長く弊社で働いてくれたことでしょうし、会社も、もっともっと大きくなっていたと思います。本当にごめんなさい。

過去の話はこれくらいにして、これからの10年について考えていることを書いてみます。

今も強い気持ちは持ち続けていますが、その中身は変化しています。創業当時は「業界を変えてやる!」みたいな、とにかく大きいことをやりたいと考えていましたが、現在はもう少し現実的になっています。背伸びをしてでも業界の仕組みをつくる側に立とうという気持ちは無く、与えられた仕組みの中で、どこまでお客様のしあわせな家を追求できるか、という方に向いています。

2018年4月から宅建業法が改正されインスペクションの説明が義務化されました。「検査の説明が義務化」という時点でなんのことやら?という感じだと思いますが、どんなに深く考えられた美しい理念であっても、現場の最前線で利用されなければ何の意味もありません。私達はこの与えられた仕組みの中から、お客様のしあわせな家にとって必要なものを選択し、上手に利用をしていく。言い換えると現場第一主義。評論家ではなく、常に職人肌の現場人間であり続けることが弊社の使命であり、これこそがお客様が求めるスタイルであると考えています。

現在、弊社の事業は4つに分類されます。①中古住宅売買、②中古住宅買取再販、③築古物件賃貸管理、④リフォーム/リノベーションです。それぞれについて、次の10年のヴィジョンを書いてみます。

①中古住宅売買仲介

何と言っても弊社の最大の強みは中古住宅を選ぶノウハウがあることです。ホームインスペクションも10年前から導入しており、戸建もマンションも、様々な物件を取り扱ってきました。ストレートに申し上げると、特に戸建の場合、未来に残すべき建物と、そうでない建物があります。売主様の意向というよりは、不動産会社のサジ加減で、本来、中古住宅として流通させるべき物件が土地として販売されていたり、その逆も多く見られます。この見極めができる人材がまだまだ少ないことがこの業界の課題であり、これができることが弊社の強みです。

次の10年はここにAIが登場し、役割分担をしながらお客様のしあわせな家を追求していくことになります。変わる変わると言われながら、なかなか変化することができなかったこの業界も、AIの登場でいよいよ変化せざるを得なくなるでしょう。売買仲介担当者の存在意義は何なのか?仲介手数料とは何に対する報酬なのか?常にお客様目線で考え、変化していくことが求められる激動の10年になることでしょう。そこでのキーワードは「しあわせな家」です。業者の効率を優先するのではなく、お客様のしあわせな家を追求したものだけが生き残れることになるでしょう。しつこいですが、兎にも角にも「しあわせな家」という言葉に尽きると考えています。

②中古住宅買取再販

リノベーション物件ブランド「ものがたりのべ」を展開していきます。キャッチコピーは「大切な人に話したくなる、物語のあるリノベーション」です。この事業の目的は、住宅地や戸数の多いマンションを中心に「このお部屋はこんな風に変化させることができ、こうすればあなたのしあわせな家になるのではないでしょうか」というリアルなモデルルームとして、様々な場所で展開していくことです。移動住宅展示場として、弊社のことを知っていただく機会を増やすと共に、積極的にその地域の皆様のしあわせな家に貢献できればと考えています。

③築古物件賃貸管理

この事業は3年半前からスタートしましたが、普通の会社ならとっくに止めているくらいの大○字です。それでも弊社は絶対に止めません。なぜなら、ここを一生懸命やっている会社がほとんど無いからです。不動産会社からみると、賃貸事業は薄利多売。1件1件に多くの時間をさくことは難しく、とにかく効率が重視されています。築古で入居が決まらないものに対して、親身になって本気で改善策を提示している会社は本当に少ないと思います。人口減少に伴い、今後ますますこのニーズは高まると思われますので、1件1件しっかりと、弊社のリノベーションノウハウを駆使して改善策を練り、オーナー様と入居者様のしあわせな家を追求していこうと考えています。

④リフォーム/リノベーション

上記3つの事業を支える、弊社の根底にあるのがリフォーム/リノベーション事業です。2014年にリノベーションオブザイヤーを受賞しましたが、それ以降、提案力、施工力ともに、年々進化していると思っています。

皆さん住まいに対する想いはそれぞれですが、長く住み続けたくなる居心地の良い空間が欲しいという点は共通だと思います。私が考えるそういう空間は、カッコイイキッチンや、高級な素材に囲まれたものも嫌いではありませんが、それよりは、美しくないものが視界に入らない、揃うべき所がしっかりと揃い、ズレるべき所がしっかりとズレている、そういう空間こそが、飽きがこなくて美しいと考えています。ここをベースに、お客様一人一人のご要望に対して期待を上回るご提案をし、しあわせな家を実現していければと考えています。

こうやって書き出してみると、本当にしつこいですが「しあわせな家」が結論ということになります。目の前のお客様一人一人にじっくりと向き合い、どこにもない深さでお客様のしあわせな家を追求していくこと。これが、次の10年の弊社の在り方です。

創業当時は恥ずかしい思いを何度もしたこの社名ですが、今はイイ名前を付けたと自負しています。立ち止まった時は常に社名を思い出す。多くを語らずとも、スタッフ全員のベクトルがしっかりと揃います。次の10年の株式会社しあわせな家を、どうぞご期待ください。ありがとうございます。

平成30年8月9日 代表取締役 山田 篤