イタリアの片田舎風キッチンのある
母との思い出を残した実家リノベーション

戸建
神奈川県相模原市 N様 中古戸建を中規模リノベーション 家族構成:ご夫婦 お子様1人 築年数:30年  

結婚してご実家を離れていた奥様、ご両親が建てられた実家の維持問題が気がかりでした。老朽化で水漏れや雨漏りが始まり、修繕が必須な段階。「両親が思い入れを持って建てた家、建て替えではなく残したかった」という奥様。お母様との思い出を大切に残した実家リノベーションです。

  • リフォーム担当 日比 小百合
  • リフォーム担当 岩田 一彦

「実家どうする?」問題

実家を離れて暮らす若い世帯に、いつか訪れる「実家どうする?」問題。Nさんのご実家でも水漏れや雨漏りが始まって、一度は簡易的に修繕したものの、このままにはできない段階に来ていました。
「ここは両親が注文住宅で建てた思い入れのある家なので、ずっと気になっていたんです。」と奥様、お子さんの学校入学前のタイミングで、リノベーションして移り住むことを決断されました。
「ネットで業者さんを探している中で、リノベーション会社を紹介してくれるサイトSUVACOを見つけました。そこで紹介してもらったのがしあわせな家さんでした。2社紹介してもらったのですが、もう1社は私の希望を全部そのまま取り入れたプランを、しあわせな家さんはいい意味でのダメ出しをしてくれたより良いプランを出してくれました。それが私にはよかったですね。」と奥様。

衝撃だったけどよかった反対意見

「ウッドデッキに憧れていて、つくりたいなと思っていたんです。でも“ここにウッドデッキってどうかな…”ってアドバイスされて、確かに!って納得。場所的に合わないことに気づけました。私たちの立場で考えて率直に意見を言ってくれるんですよね、余計な出費を防げました。素人には分からないプロだから分かることがあると思うから、言ってもらえてよかったです。反対意見って他では言われなかったから、結構衝撃でしたけどね。」と思い出し笑いの奥様です。
お部屋に入ってすぐに目に留まるのはセンスのいい雑貨たち、アパレル関係のお仕事をされていた奥様が集められていたものです。以前のお住まいでは、飾れる場所がなく残念に思っていたそう。「やっと飾れるようになって嬉しいです。ここにこれを置いて…とか、相談しながら収納の設計をしてもらいました。」と奥様。
収納は造作なので、細かなオーダーメイドが可能です。

「母と旅行したイタリア片田舎のイメージに」お母様お気に入りのタイルも移植しました。

イエローの壁とオープンラックが印象的な温かい雰囲気のキッチン。「母が気に入っていたタイルを形見として残したいことと、母と旅行したイタリアの片田舎のイメージにしたいことを伝えて設計してもらいました。特に壁の色はこだわって、担当の日比さんと一緒にイタリアの写真を見ながら決めたんです。すごく気に入っています。」と奥様。正面のカウンター収納は造作、キッチンをほどよく隠してゾーニングしつつも、出窓のラインとつながってキッチンが広く感じられます。お母様のタイルはデザインのポイントとなるように設置しました。

開けても閉めても美しい、
リビングに直結した洗面スペースの引き戸。

リビングに違和感なく存在する、天井まである大きな木の引き戸、実は洗面スペースの出入り口なんです。既存は開くドアでしたが、空間をスッキリさせるためにオリジナルの引き戸を造作しました。
「既存の間口は狭く、規格の戸は入れられない構造でした。そこで、開けておいてもカッコいいアウトセットにしましょうとご提案しました。」と技術営業の岩田。壁のラインピッタリのこだわりの設計です。取手はアイアンのシンプルなものを合わせました。
「床にレールが無くてフラットなので掃除もしやすいんですよ。」と奥様。

Pick Up

美しさにこだわって設計された
オリジナルの引き戸ができました。

アウトセットの引き戸は、下レールのない上吊り構造ですが、壁の外に戸が出ているため、上のレールはどうしても見えてしまいます。ここはリビングに直接面した部分、レールは隠したいところです。
そこで、技術営業の岩田が考えたのがレールを隠すためのカバー、現場にて大工さんがピッタリのサイズで造作してくれました。ただ隠すだけじゃない美しさを追求したデザインです。
開いたときに、開口部の木枠ラインと反対側の壁ライン、両側共にズレのない位置でピタリと止まります。とても精度の高い仕上がりです。

ニレ古材のミラーとマリンランプで
シンプルながら味わいある洗面スペースに。

洗面スペースは、造作のカウンターとスクエア洗面ボールの組み合わせ。シンプルなデザインですが、toolboxで見つけたニレ古材のミラーとマリンランプを新たに取り入れて、味わいある洗面スペースになりました。どこか懐かしい雰囲気のモザイクタイルもマッチしています。
「日比さんと行ったショールームまわりがとっても楽しくて、toolboxなんか大好 きな感じで興奮しちゃいました!」と奥様。
タオル掛けのある壁は新たに造作したもの、裏側に収納棚をつくりました。収納が目立たない、シンプルで美しい洗面スペースなので、リビングの戸を開けたままで見せても素敵です。

オープン収納で、リビングにつながる広がりあるキッチンスペースができました。

Nさん邸のキッチンは壁付きのシンプルなI型キッチンですが、まるでオープンキッチンのように開放的で広く感じます。既存のキッチンも同じ場所にありましたが、違いは収納、吊り戸棚が全面にあるタイプでした。システムキッチンは新しくシンプルなものに交換、上部の収納は無くし、全てオープン収納にしました。白いタイルもリビングの壁と違和感なくつながって、明るく広々としたキッチンスペースになりました。

見た目も使い勝手もいい、
造作を駆使したキッチンスペース。

「吊り戸棚がなくても収納は十分。今のシステムキッチンは収納が充実しているし、パントリーもつくってもらったので、まだまだ余裕ありますね。」と奥様。
奥にアーチ開口の造作壁を設置、冷蔵庫とパントリーを隠しています。システムキッチンの対面にはカウンターデスクとオープンラックを造作、収納するものに合わせたカスタム設計です。デスクは奥行きがあり、いろんな用途に使えそうです。造作の素材は、タモの集成材にチェスナット塗装を施したもの。
「タモはそのままの色もいいのですが、Nさん邸では周囲の木部の色味に馴染むよう、少し赤みを足しています。」と技術営業の日比。
床のエイジドストーンのフロアタイルも、イタリア片田舎風にピッタリです。

Pick Up

信頼する大工さんの腕があるから実現した、
板一枚だけの美しいオープンラック。

キッチン正面の長いオープンラック、見えるのは一枚の板のみ、支える金具がありません。壁の中で固定されています。これだけ幅のあるものを施工するのは簡単なことではありません。
「いつも頼りにしている大工さんに相談して実現できた設計です。あの人ならきっと可能にしてくれると思えるから、無茶なアイデアも提案できるんです。うちの強みですね。」と岩田。
信頼できる技術のある大工さんがいるから、美しさをとことん追求できるんですね。

斜め配置が絶妙なソファがポイントの、広々としたリビング空間。

リビングの中心にあるグリーンのソファは、ショールームまわりで立ち寄った家具店で偶然見つけたもの。「一目惚れだったんです。背面から見ても綺麗で。」と奥様。「背面が見せられるソファだったから、斜め配置がご提案ができました。」と日比、初期段階でこのソファに決まったことは大きかったようです。リビングの動線も自然と生まれています。写真は和室の入り口から見たリビング、窓を塞がないレイアウトなので、とても広く明るく感じます。

古い間取りの「和室どうする?」問題、残す良さを活かすご提案。

古い間取りの家には和室があることが多く、広いリビングをつくりたいとき、和室を無くしてスペースを増やすこともありますが、和室として残したい場合もあります。
「2階に子供部屋もつくる予定ですが、小さいうちは和室を遊んだり勉強したりするキッズスペースとして利用して、将来的には大人のくつろぎスペースにしたいと思っています。」という奥様、扉を無くしてリビングとひと続きにすることで、キッチンやリビングから子どもの様子が感じ取れるようにもしたいとご希望でした。リビングとつながっても違和感のない空間にするために、半畳畳とグレーのスイス漆喰でモダンな和室にリノベーションしました。コーナーRの開口部はリビングとやさしくつながります。内側にロールスクリーンを設置、空間を閉じることもできます。

既存の美しいデザインを残して、新しいものと融合させた玄関。

Nさん邸はもともと注文住宅だったこともあり、こだわりを感じる美しいデザインが施されていました。玄関から見える踊り場のデザイン柵もその一つ。「子どもがまだ小さいし、危ないから隙間を埋めてもらった方がいいかなと思っていたら、岩田さんが“いいですねこれ!”って言ってくれて、やっぱり残そうと思い直しました。今思うと本当に無くさないでよかったです。」と奥様。リビングへの扉も既存のまま残しました。扉横のアーチの開口部は、和室のもとの出入り口部分を利用した収納スペースです。玄関にもともとあった大きな靴箱を撤去して、コンパクトな収納に変更、明るく広い玄関になりました。

耐震補強・外装改修もハイグレード仕様に。動線のいい自転車置き場もできました。

築年数30年以上の築古となると、やはり心配になるのが耐久性のこと。Nさん邸は雨漏りもあったため念入りに検査し、屋根全面改修・バルコニー防水・外壁塗装と、耐震補強はもちろんのこと、外装面でもしっかりと改修しました。特に外壁塗装には、遮熱断熱塗料「キルコ」を使用、省エネ効果が期待できる塗料で、室内環境を快適に保ちます。エントランスには動線を改善して自転車置き場をつくりました。既存の外構は、門扉のある昔ながらの設計、急階段で使い勝手の悪いものでした。そこで、門扉を排してスペースをつくり、2方向に動線のある設計に変更。車の駐車スペース側をメインエントランスとして、レンガの階段と植栽を設置、自転車置き場側にはモルタルの階段をつくりました。玄関の扉を出ると、どちらへも最短でアクセス出来る、使い勝手の良いエントランスになりました。

「思いをわかってもらえている感覚」

「プランの第一印象がよかったんです。センスもですが、こんな風にしたいって話したときの“こういう感じですね”って汲み取ってくれたものがピタッ合う感じ。わかってもらえてるって感じました。あと担当してくれた日比さん、岩田さんのチームワークがなんか見てていいんです。ふたりとも楽しそうだし、私もすごく楽しかったです。」と奥様。
「今思い返すと今回も相当悩んだんです。でも楽しいんですよね。」と岩田。
リノベーションの形は様々、ひとつとして同じものにはなりません。住む人にとって理想の住まいにするために何が出来るか、考え抜いて形になります。つくる人も住む人も、楽しかった気持ちが残ったリノベーションは、一番理想の住まい実現に近いのかもしれません。

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